暴露
そわそわしているジョンに父親は問い質した。ジョンは不快を露にしたが、父親はなかなか引き下がらない。ネットで交流している湯利が日本から来るとだけ伝えても父親は納得しない。貴族であるアリスも最近フォレストフィッシュに何回も来ている。母親は恋愛をしてこなかった息子が新たな挑戦をしているのだろうと思って父子の口喧嘩を眺めながら苦笑いしている。父親は真顔で、
「ロックさんはMI6なんだろう。湯利は何者なんだ」
アリスの正体を見破られてジョンは息を飲んだ。母親も驚いて真顔になった。ジョンは狼狽しながらも、
「いきなり何を言い出すんだよ」
父親はジョンを真っ直ぐ見据えながら、
「警察官だった俺の勘を馬鹿にするなよ」
「考え過ぎだろ」
ジョンが反論しても父親は、
「どう見てもお前は動揺しているだろ。図星だ」
ジョンは母親を見やる。母親は父親の発言を確信しているのか睨み返している。ジョンはスマホでアリスに連絡した。
翌日。アリスがコール一家の家に来た。アリスはアッサリと諜報員であることを認めた。父親は苦い顔をし、母親は青白い顔をした。ジョンが目を泳がせているとアリスは、
「湯利は一度テロ事件を起こしました。その更生の為にジョンと会うのです」
ジョンの目が丸くなった。母親はポカンと口を開けた。父親は目を吊り上げて、
「何故、テロリストが我が国に入国して、しかもジョンが会わなければならないんだ」
「湯利はネットで科学と文化で話が盛り上がっていた友人でしょう」
母親は腑に落ちない様子だ。ジョンは青ざめた顔で俯く。アリスは落ち着いた様子でこれまでの経緯を話す。話を聴いているうちに母親は恐怖で体を震わせた。父親は怒りで目元が皺だらけになった。アリスは冷静な声で、
「日本から公安警察が同行して湯利を見張っています。勿論、私達も問題を防止するように近くで厳重に監視します。ジョンの身柄を保障します」
母親は納得できずにアリスを睨んでいる。父親はジョンに振り向き低い声で、
「まさかそのテロリストにお前は恋愛感情を抱いているのか」
ジョンは険しい顔で目をそらす。母親は不安そうにジョンを睨む。父親は、
「ふざけるな!」
と、怒鳴る。アリスは平然とした口調で、
「私が諜報員だと分かった以上、貴方方にも協力してもらいます」
父親は歯を食いしばってアリスを睨んだが何も言わなかった。MI6の諜報員の実力と影響力は警察官だった父親がジョン以上に理解している。反対できない。諜報員だと暴露することも禁じられている。父親は肩を落としながら溜息を吐き、
「俺も監視させてくれ」
「分かりました」




