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第2話 小さな宴会

王虎の牙の集落。


今日の街づくりはいつもより少し早めに切り上げられていた。


理由はただ一つ。


皆で食卓を囲むことになっていたからだ。


「……すごい量」


俺は次々と並べられていく料理を見ながら呟いた。


集落の中央。


まだ大きな食堂なんてものはない。


広場へ簡素な机をいくつも並べ。


その周囲へ椅子を置いただけ。


木材を組み合わせた実用性重視の机。


椅子の高さも。


形も。


まったく揃っていない。


足りない分は木箱まで使っている。


それでもそこへ集まる人たちの表情は明るかった。


「さすがにこの人数になると大変ですね!」


たるとが両手に皿を持ちながら走っていく。


その後ろをNPCの女性たちが料理を運んでいる。


「たるとさん、次はこちらです」


「ありがとうございます!」


「スープもできましたよ」


「そっちはあっちの机にお願いします!」


「分かりました」


以前からこの場所で暮らしていたNPCたち。


今では当たり前のようにプレイヤーたちと一緒に宴会の準備をしている。


「おい!」


豪快な声。


「酒はどこだ!」


「……」


見る。


ドランだった。


両手にはなぜか料理ではなく酒瓶。


「もう持ってるじゃん」


俺が言うとドランが眉を寄せる。


「これはワシの分じゃ」


「……一人で?」


「何か問題でもあるかの?」


「あると思う」


「ガハハハハ!」


横からガンテツの笑い声。


「ドラン!」


「俺の分も残しておけよ!」


「お前は飯を食え!」


「酒も飯だろ!」


「違うわ!」


「……」


仲がいいな。


昔からこの二人はこんな感じだった気がする。


その時。


「ガウ」


声をかけられる。


振り返るとシズクがいた。


両手に料理の載った大きな皿。


「どうしたの?」


「これを運ぶのを手伝ってもらえますか?」


「もちろん」


皿を受け取る。


「……」


シズクが少し驚いたように目を瞬かせた。


「何?」


「いえ」


「ガウがこうして普通に料理を運んでいるところが少し意外で」


「私だってそれくらいはするよ」


「そうですね」


シズクが小さく笑った。


「最近は街づくりも手伝っていますし」


「……そんなに珍しい?」


「少しだけ」


「ひどいな」


また笑われた。



しばらくして料理がすべて並び終わった。


「……」


改めて見る。


多い。


ものすごく多い。


肉。


魚。


野菜。


パン。


スープ。


果物。


料理だけじゃない。


集まっている人数そのものが以前とは比べものにならない。


《王虎の牙》。


《白銀戦線》。


この場所で新しく暮らすことを選んだプレイヤーたち。


元《深淵の剣》の構成員。


NPCの住民たち。


同じ場所にこれだけの人が集まっている。


「……」


少し前までは想像もしていなかった光景だ。


「それでは!」


たるとの声。


騒がしかった広場が少しずつ静かになる。


たるとは皆を見渡した。


「今日は本当にお疲れ様でした!」


「まだ街は完成していません!」


「外壁も途中です!」


「家も足りません!」


次々と問題が出てくる。


「……やることいっぱいあるな」


ハヤテが呟く。


「あります!」


たるとは元気よく答えた。


「でも!」


笑う。


「こうして皆で食事を囲める場所ができました!」


「……」


「それだけでも」


たるとの声が少し柔らかくなる。


「私はすごく嬉しいです!」


静かな笑みが広がる。


「だから今日は!」


両手を合わせる。


「難しいことは忘れて!」


「いっぱい食べましょう!」


「おおー!」


ガンテツが一番大きな声を上げた。


「それでは!」


たるとが笑う。


「いただきます!」


「いただきます!」


多くの声が重なった。


宴が始まった。



宴が始まった瞬間、広場は一気に騒がしくなった。


「これ美味しい!」


「おかわり!」


「肉まだある!?」


「野菜も食べなさい!」


「えー!」


NPCの子供たちが元気に騒ぐ。


「いっぱいあるから慌てなくていいですよー!」


たるとが笑いながら料理を配っている。


「おお!」


ガンテツが皿に盛られた肉を頬張る。


「うまい!」


「お前さんは少し落ち着いて食え」


向かい。


ドランが呆れた顔で酒を飲んでいる。


「細かいこと気にすんな!」


「お前の場合、食う量が細かくないんじゃ!」


「ガハハハハ!」


「笑い事ではない!」


そんな二人を少し離れた席からサイオンが眺めていた。


「すごいッスね~」


「何が?」


近くにいたアイスが尋ねる。


サイオンがガンテツを見る。


「食べる速度ッス」


「戦ってる時より速い気がするッス」


「……否定できないな」


アイスが苦笑する。


「おい!」


ガンテツが振り返る。


「聞こえてるぞ!」


「褒めてるッスよ~」


「そうか!」


「たぶん褒めとらんぞ」


ドランが即座に突っ込んだ。


近くの席から笑い声が上がる。


「……相変わらず騒がしいな」


白銀戦線の席から声がした。


グレイだ。


目の前の料理へ手を伸ばしながら。


ガンテツたちの方を見る。


「でも」


その隣でミーナが笑う。


「こういうのも悪くないんじゃない?」


「前の拠点じゃこんな人数で食べることなんてなかったし」


「……確かに」


ロイドも周囲を見回した。


「……意外と馴染めそうだ」


「意外とは何だ」


アイスが苦笑する。


ロイドは肩を竦める。


「ギルドごと別の集落に転がり込んだんだ」


「もっと居心地が悪いと思ってた」


「それは俺も思ってたッス」


サイオンが頷く。


「でも皆さん普通に接してくれるッスからね~」


ミーナが料理を一口食べる。


「それにご飯も美味しいし」


「……そこ重要か?」


グレイが尋ねる。


「重要でしょ?」


即答。


ロイドが笑った。


「ミーナらしいな」


「何よ」


「何でもない」


そんなやり取りの横。


長弓を脇へ置いた少女が少し緊張した様子で料理を食べていた。


エルナだ。


「……美味しい」


小さく呟く。


その声を俺はたまたま近くで聞いた。


「口に合った?」


「……!」


エルナの背筋がものすごい勢いで伸びた。


「ガ、ガウさん!」


「うん」


「はい!」


「すごく美味しいです!」


「……そっか」


なんでそんなに緊張してるんだろう。


「もっと食べたら?」


「はい!」


「まだいっぱいあるから」


「はい!」


全部、返事が同じだ。


「……」


サイオンがにやにやしている。


ミーナもなぜか口元を隠している。


グレイは黙って料理を食べているが微妙に視線がこちらへ向いている。


ロイドまで笑っている。


「……何?」


俺が尋ねる。


「何でもないッスよ~」


サイオンが答える。


「絶対何かあるでしょ」


「ないッス」


「じゃあ何で笑ってるの?」


「気のせいッスよ~」


「……」


怪しい。


エルナを見る。


顔が赤い。


さらに分からない。


「ガウ」


アイスに声をかけられる。


「何?」


アイスは広場を見渡していた。


「改めて」


少し笑う。


「ありがとう」


「……?」


「僕たちまで受け入れてくれて」


「それはたるとに言って」


「もちろん言ったさ」


アイスが苦笑する。


「ただ」


視線を白銀戦線の仲間たちへ向ける。


「こうして皆が笑っているのを見ると」


一度、言葉を止める。


「ここへ来てよかったと思う」


「……」


俺も周囲を見る。


「そっか」


「うん」


アイスは小さく笑った。


「まだテント生活だけどね」


「そこは……」


俺は少しだけ目を逸らす。


「一緒に頑張ろう」


「ははっ」


珍しく、アイスが声を出して笑った。



少し離れた場所。


「お兄ちゃんって強いの?」


突然、子供の声が聞こえた。


「……え?」


声をかけられたのは。


元《深淵の剣》の男だった。


男が戸惑ったように自分を指差す。


「俺?」


「うん!」


小さな獣人の男の子。


男が腰に下げている剣を興味津々に見ている。


「だって強そうな剣持ってるから!」


「どんな魔物倒したの?」


「……」


男が言葉に詰まった。


周囲を気にする。


当然だ。


少し前まで彼は敵だった。


《深淵の剣》の構成員。


この集落へ来てからも自分から誰かへ話しかけることは少ない。


だが子供はそんなことは関係なかった。


そこにあるのは純粋な興味だけ。


「……まあ」


男が困ったように頭を掻く。


「いろいろだな」


「大きい魔物は!?」


「倒したことはある」


「すごい!」


「空飛ぶやつは!?」


「それもある」


「すごい!」


何を答えても。


すごい。


男が少しだけ笑った。


「お兄ちゃん!」


「今度剣見せて!」


「剣?」


「うん!」


男は腰の剣を見る。


それから子供を見る。


「……分かった」


「ああ」


「今度な」


「やった!」


子供が走っていく。


「みんなー!」


「剣見せてもらえるって!」


「俺も見る!」


「私も!」


次々と子供たちが集まってくる。


「ちょ、ちょっと待て!」


男が慌て始めた。


「一人ずつだ!」


その姿を見て、近くにいた元《深淵の剣》の仲間が笑った。


「人気者だな」


「うるせぇ」


「先生にでもなるか?」


「誰がなるか!」


でも顔は少し笑っていた。


「……」


俺はその様子を静かに見ていた。


恐怖でも。


憎しみでも。


警戒でもない。


ただ強い人への子供らしい憧れ。


誰かを傷つけるために握っていた剣。


それがいつか誰かを守るための剣になるかもしれない。


そんなことを少しだけ思った。



「あっ!」


元気な声。


見ると。


ツキが子供たちに囲まれていた。


「ツキちゃん!」


「一緒に遊ぼ!」


「え?」


突然誘われツキが目を丸くする。


「いいの?」


「もちろん!」


「こっち!」


「行こう!」


両手を掴まれる。


ツキの顔が一気に明るくなった。


「うん!」


数歩。


走ったところで。


「あっ」


立ち止まる。


振り返る。


「お姉ちゃんも!」


少し離れた場所にヨミが座っている。


「……」


料理の皿を持って。


無表情。


こちらを見ている。


ただし尻尾は。


ぶんぶん。


左右へ揺れていた。


「……」


ツキが笑う。


「お姉ちゃん」


「嬉しいんでしょ?」


ピタッ。


尻尾が止まる。


「……別に」


「嘘」


「……」


「尻尾が言ってるよ」


ヨミが自分の尻尾を見る。


そして何事もなかったように尻尾を手で押さえた。


「ぶはっ!」


ハヤテが吹き出した。


「ヨミ!」


「分かりやすすぎるだろ!」


「……」


ヨミがハヤテを見る。


「怖っ!」


「お姉ちゃん怒ってる!」


ツキが楽しそうに笑う。


「怒ってるのも尻尾で分かるよ!」


ヨミの尻尾がぶわっと膨らむ。


「ほら!」


「……」


周囲から笑い声。


ヨミは少し困ったような顔をしていた。


「お姉ちゃん!」


ツキが手を伸ばす。


「行こ!」


「……」


ヨミはその手を見る。


数秒。


そして小さく。


「……うん」


手を取った。


そのまま子供たちの輪へ連れていかれる。


最初は少し離れた場所に立っていただけ。


でもいつの間にかツキだけじゃなくヨミまで一緒に遊んでいた。


「……」


少しずつ馴染んでいるようだった。



宴は続く。


「おいドラン!」


「なんじゃ!」


「この肉うまいぞ!」


「だから酒を飲んでるワシに肉を押し付けるな!」


「食え!」


「いらん!」


「食え!」


「いらんわ!」


ガンテツとドラン。


その横でハヤテが呆れている。


「子供かよ……」


「お前も食うか!」


「俺を巻き込むな!」


別の席では、シズクとノエルが話していた。


「明日は結界核の配置をもう少し増やしたいですね」


「外壁の厚みも確認しておきます」


「お願いします」


「でも」


ノエルが料理を一口食べる。


「今日は仕事の話はここまでにしませんか?」


「……そうですね」


シズクが小さく笑った。


「せっかくの宴会ですから」


その隣でモルフォが何やら料理をじっと見つめている。


「……」


「モルフォ」


俺が嫌そうな顔をする。


「何見てるの?」


「この料理の香辛料に使われている素材ですが」


「虫じゃないよね?」


「違います」


「よかったぁ……」


「ただ」


「ただ?」


「一部の甲虫から似た香りの成分を――」


「聞きたくない!」


俺が耳を塞いだ。


セリアが隣で眠たそうに笑う。


「ガウは虫苦手なんだね~」


「普通でしょ!」


また笑い声。


そして白銀戦線の席でもいつの間にかかなり賑やかになっていた。


「サイオン」


アイスが呆れたように言う。


「食べすぎじゃないか?」


「今日めちゃくちゃ働いたッスから~」


「それ、三皿目だろう」


「四皿目ッス」


「増えてるじゃないか」


「成長期ッス」


「君はいくつだ」


「気持ちは成長期ッスよ~」


ロイドが吹き出した。


「無茶苦茶だな」


「ロイドも結構食べてるじゃないッスか~」


「俺は普通だ」


「それ二皿目じゃない?」


ミーナが指摘する。


「二皿なら普通だろ」


「じゃあ私も二皿目いこうかな」


「まだ食うのか?」


グレイが呟く。


ミーナがじろりと見る。


「何か?」


「いや」


「好きにすればいい」


「最初からそうするわよ」


「……」


グレイが黙ってパンを食べる。


「グレイ負けたッスね~」


「何の勝負だ」


「知らないッス」


エルナが口元を押さえて笑う。


「皆、変わらないですね」


その言葉にアイスが少しだけ目を細めた。


「そうだね」


変わったものは多い。


拠点。


暮らす場所。


周囲の人々。


けれど仲間たちは変わらない。


それだけで少し安心できる。


「エルナも食べるッス?」


サイオンが料理を差し出す。


「え?」


「これ美味しいッスよ~」


「ありがとうございます」


受け取る。


「でも……」


エルナがちらりとこちらを見る。


目が合う。


「……!」


すぐに逸らした。


「……?」


なんだろう。


「エルナ」


ミーナが笑う。


「顔赤いけど大丈夫?」


「だ、大丈夫です!」


「暑い?」


「暑くないです!」


「じゃあ何で?」


「何でもないです!」


グレイがちらりとこちらを見る。


ロイドも何かを察したように笑った。


「なるほど」


「何がですか!?」


「いや」


「何でもない」


サイオンまでにやにやしている。


「……」


絶対何かある。


でも聞いても答えてくれそうにない。


俺は諦めることにした。



楽しい時間はあっという間に過ぎていった。


空はすっかり暗くなっている。


一人。


また一人。


席を立ち始める。


「今日はありがとうございました」


「明日もよろしくお願いします!」


「ごちそうさまでした!」


住民たちが笑顔で言葉を交わしていく。


まだ完成した街じゃない。


それでもこの場所には新しい思い出が一つ増えた。


「片付けは私たちも手伝うよ」


俺が皿を持ち上げる。


「ありがとうございます!」


たるとが笑う。


そして。


すぐに。


「でも」


俺を見る。


「ガウは少し休んでくださいね」


「大丈夫」


「これくらい平気」


「……」


たるとがじっと見る。


「何?」


「ガウはいつも頑張りすぎです」


「そうかな?」


「そうです」


即答。


「でも――」


「そうです」


「まだ何も――」


「そうです」


「……」


勝てない。


俺は目を逸らした。


「分かりました」


「はい!」


たるとは満足そうに頷いた。


その後ろ。


「ガウ」


リンファが皿を持ちながら笑っている。


「諦めなさい」


「……はい」


今日も俺はたるとに勝てなかった。



片付けが終わる頃。


集落には静かな時間が戻っていた。


灯りの数は少ない。


街灯のようなものも。


まだない。


家も足りない。


あちこちに簡易的なテントが並んでいる。


その一角。


《白銀戦線》のテント。


サイオンが自分の寝床を見つめていた。


「……」


「まさか本当にテント生活になるとは思わなかったッスね~」


隣。


アイスも。


自分のテントを見る。


「僕もだよ」


「前の拠点とは大違いッス」


「確かに」


その近く。


グレイが荷物をテントの中へ押し込んでいた。


「屋根があるだけましだろ」


「これ布ッスよ~」


「雨が降らなければ同じだ」


「絶対違うッス」


ロイドが笑う。


「まあまあ」


「寝られれば十分だろ」


「ロイドは適応早いッスね」


「文句言っても家が生えるわけじゃないからな」


「それはそうッスけど~」


ミーナはテントの入口を覗き込んだ。


「思ったより狭い……」


「何を期待してたんだ?」


グレイが尋ねる。


「もう少しこう」


両手を広げる。


「広々と?」


「テントに何求めてるんだ」


「夢?」


「知らん」


「冷たいわね」


エルナが自分の荷物を置きながら。


小さく笑った。


「でも」


全員がそちらを見る。


「私は嫌いじゃないです」


「へぇ~」


サイオンが振り返る。


「エルナは平気ッスか?」


「はい」


エルナは周囲を見る。


まだ話しながら戻っていく人たち。


笑っている子供。


家族。


仲間。


少し遠くからガンテツの笑い声も聞こえる。


「なんだか」


少し照れたように笑う。


「安心します」


「……」


アイスも周囲を見る。


グレイ。


ミーナ。


ロイド。


サイオン。


エルナ。


そして。


白銀戦線の仲間たち。


「僕も同じだ」


静かに言う。


「不便ではある」


「けれど悪くない」


ロイドが頷く。


「俺もそう思う」


ミーナも。


「私も」


グレイは少しだけ間を置いて。


「……まあな」


サイオンが笑った。


「グレイ素直じゃないッスね~」


「うるさい」


「そうッスね~」


「話聞いてるか?」


「聞いてるッスよ~」


その時。


「おい!」


遠くからドランの声。


「酒瓶をその辺に置くな!」


「俺じゃねぇぞ!」


ガンテツの声が返る。


「お前しかおらんじゃろ!」


「証拠はあるのか!」


「手に持っとるわ!」


「……」


数秒。


「ガハハハハ!」


夜の集落にガンテツの笑い声が響いた。


サイオンが吹き出す。


ミーナも笑う。


ロイドも肩を揺らす。


エルナも。


グレイまで。


ほんの僅かに口元を緩めていた。


「静かになる気配ないッスね~」


アイスがため息をつく。


「まあ」


少しだけ笑う。


「それも悪くないさ」



俺は最後に集落を見渡した。


外壁はまだ途中までしかできていない。


家も少ない。


道も整備されていない。


大半の住民は今夜もテントで眠る。


まだここは街とは呼べない。


戦うために集まった場所ではない。


帰ってくるための場所。


そして一緒に暮らすための場所。


少しずつそうなり始めている。


「ガウ」


声。


振り返る。


たるとが立っていた。


「明日も頑張りましょうね」


「うん」


俺は頷く。


「また明日」


集落を見る。


「おやすみ」


「はい!」


小さな集落へ。


静かな夜が訪れる。


まだ何もかも足りない。


外壁も。


家も。


道も。


それでも笑い声はある。


一緒に食事をする仲間がいる。


そして明日を一緒に迎える人たちがいる。


ここから俺たちの街は少しずつ始まっていく。

第2話「小さな宴会」を読んでいただきありがとうございます!


今回は街づくりの手を少し休めてみんなで食卓を囲む日常回でした。


まだ外壁も家も途中ですが一緒に食べて笑える仲間がいる。


そんな時間も「帰る場所」を作る大切な一歩なのかもしれません。


次回もお楽しみに!

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