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第6話 見知らぬ来訪者

潮風が木々を揺らしていた。


俺は高い木の枝に腰を下ろし、森の向こうを見渡していた。


ここは集落から少し離れた高台。


正確には、高台に生えた、馬鹿みたいに大きな木の上だ。


見晴らしがよい。


周囲を広く見渡せる。


敵が接近してもすぐに察知でき、退路も確保しやすい。


ソロで生き延びてきた俺にとって、こうした場所は妙に落ち着く。


誰かに命じられたわけではない。


安全を確認し、周囲を警戒する。


それは生き残るために身についた習慣だった。


「……ん?」


視界の端で何かが動いた。


人影だ。


一人。


二人。


三人。


四人。


五人。


全員、プレイヤーだった。


俺は枝に身を伏せる。


距離は十分にある。


向こうはこちらに気付いていない。


先頭を歩くのは大柄な男。


その後ろに槍使い。


斧使い。


大剣使い。


そして棍棒使い。


即席のパーティには見えない。


動きに無駄がなく、連携も取れている。


しかも――


「こっちだな」


進行方向は《王虎の牙》の集落だった。


迷っている様子もない。


明確な目的を持って来ている。


敵意があるかどうかは分からない。


だが、放置するわけにもいかなかった。


「一応知らせるか」


俺は枝から飛び降りる。


地面に着地すると、そのまま集落へ向かって駆け出した。



バレットの報告を受け、俺たちは集会所へ集まった。


「外部プレイヤー?」


俺は思わず聞き返す。


「ああ。五人組だ」


バレットは真剣な表情で頷いた。


「全員プレイヤーだった」


「武装しているが敵意は分からん」


部屋の空気がわずかに張り詰める。


「どれくらいで着きそう?」


「歩いて三十分ほどだ」


「先頭は大柄な熊獣人だった」


たるとは静かに頷く。


「どうする?」


リンファが尋ねる。


皆の視線がたるとへ集まった。


少し考えたあと、たるとは顔を上げる。


「まずは……お話ししましょう」


やはり、そう言うと思った。


皆も同じことを考えたのか小さく笑う。


「敵だったら?」


ハヤテが尋ねる。


「その時は戦います」


たるとはまっすぐに答えた。


「でも、困っている人かもしれません」


その言葉に迷いはない。


知らない相手であっても、困っているなら手を差し伸べる。


だからこそ、俺たちはたるとについて来たのだ。


「ゴウマ」


「おう」


「もしもの時は指揮をお願いします」


「任せろ」


「シズクとセリアは集落の中をお願いします」


「了解です」


「は~い」


「リンファは住民の皆さんに知らせてください」


「分かったわ」


「ガウとハヤテは入口へ」


「私たちは迎えに行くよ」


「だな」


戦うためではない。


話をするためだ。


だが、いつでも動けるようにはしておく。


「バレットさん」


たるとが振り返る。


「知らせてくださってありがとうございました!」


「あー……」


バレットは照れくさそうに視線を逸らした。


「別に」


「でも本当に助かりました!」


「そうそう」


ハヤテが笑う。


「バレットが見つけてくれなかったら相手はそのまま集落まで来てたかもしれないしな」


「大助かりだ」


ゴウマも大きく頷く。


バレットは困ったように頭をかいた。


褒められることに慣れていないのかな?


「……大したことじゃねぇよ」


「そんなことないよ」


俺は笑って答えた。


「ありがとう、バレット」


一瞬、バレットが目を丸くする。


「……そうかい」


ぶっきらぼうに返事をする。


だが、耳だけはわずかに赤くなっていた。



しばらくして。


俺たちは集落の入口で森を見つめていた。


やがて木々の向こうから人影が現れる。


五人。


報告どおりだった。


そして先頭を歩く大男。


熊獣人。


大きな体に、大きなモーニングスターを背負っている。


男は集落を見るなり目を丸くした。


「おぉ……」


畑。


水路。


木造の家々。


笑いながら働くNPCたち。


その光景を見渡し、男は豪快に笑う。


「報告どおりだ!」


「こんな最果てに集落を築く奴がいるとは!」


敵意は感じない。


むしろ――


どこか嬉しそうだった。


男は俺たちへ向き直る。


「初めましてだな!」


腹の底まで響くような大きな声だった。


「俺はガンテツ!」


「うちのもんが面白い灯りを見つけたって報告してきたもんでな! 気になって飛んできたんだ!」

ここまで読んでいただきありがとうございます。


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それでは、また次回お会いしましょう!

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