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第18話 四天王戦、開幕

白銀戦線の拠点内部。


長い通路。


そこでは。


すでに激しい戦闘が繰り広げられていた。


「……。」


ガウは《朧》を握る。


前方にリリア。


彼女は笑顔のまま。


両手の双剣を構えていた。


「楽しいわね。」


リリアが呟く。


次の瞬間。


大量のナイフが飛ぶ。


「っ!」


俺は反応する。


《朧》を振るう。


一本。


二本。


三本。


迫る投げナイフを正確に弾き落とす。


しかし。


ナイフは本命ではない。


その隙を狙い。


リリアが距離を詰める。


双剣が閃く。


「……!」


俺が対応しようとする。


その前に。


リンファが前へ出た。


「私が受けるわ。」


腕に装着した手甲。


リリアの双剣を受け止める。


金属音が響く。


「へぇ。」


リリアが笑う。


「手甲ね。珍しいわ。」


リンファは表情を変えない。


「くらいなさい!」


リリアの連撃。


右。


左。


さらに追撃。


しかし。


リンファは華麗に身体を動かし。


紙一重で避ける。


避けきれない攻撃だけを。


手甲で受け流す。


その動きは。


まるで舞のようだった。


一方。


俺は飛んでくるナイフを処理し続ける。


《朧》による正確な防御。


一つも通さない。


二人の連携。


俺が遠距離攻撃を防ぎ。


リンファがリリアの接近戦を止める。


リリアは楽しそうに笑った。


「いい連携ね。」


「でも。」


「いつまで続くかしら。」


その瞬間。


俺の背後。


影が揺れる。


「……!」


振り返る。


巨大な大鎌。


間一髪。


俺は《朧》で受け止める。


「ぐっ……!」


重い。


一撃だけで腕が痺れる。


しかし。


ヨミは止まらない。


大鎌を押し込む。


そのまま。


身体を回転させる。


「!」


回し蹴り。


俺は咄嗟に腕を差し込む。


衝撃。


身体が大きく吹き飛ぶ。


「ガウ!」


リンファの声。


壁へ叩きつけられる。


しかし。


直前に腕で防御したことで。


ダメージは避けていた。


俺はゆっくり立ち上がる。


目の前。


狐獣人の少女。


ヨミ。


虚ろな瞳。


でも。


自分の意思で動いていない。


そんな目だった。


「……。」


俺は《朧》を構える。


一方。


リンファの前には。


再びリリアが立つ。


「邪魔が入っちゃったわね。」


リリアは双剣を構える。


リンファも手甲を構え直す。



別の通路。


そこでは。


二人が向かい合っていた。


一人は。


槍を構える男。


バルド。


もう一人は。


刀を握る青年。


ハヤテ。


しばらく。


二人は無言で相手を見ていた。


先に口を開いたのは。


バルドだった。


「名乗っておこう。」


槍を構える。


「《深淵の剣》。」


「四天王が一人。」


「バルド。」


ハヤテは刀へ手を添える。


そして。


静かに答える。


「《王虎の牙》。」


「ハヤテ。」


短い名乗り。


それだけで。


十分だった。


次の瞬間。


バルドが動く。


一歩。


踏み込む。


槍が一直線に迫る。


「!」


ハヤテは刀を抜く。


受け止める。


金属音。


槍と刀がぶつかる。


しかし。


バルドの攻撃は止まらない。


二撃。


三撃。


正確な突きが連続する。


ハヤテは防ぎながら前へ出る。


槍使いにとって。


距離は命。


ならば。


懐へ入るしかない。


しかし。


バルドもそれを理解している。


槍の柄で刀を受け流し。


ハヤテの接近を許さない。


「……。」


ハヤテは距離を取る。


「近づかせないか。」


バルドは淡々と答える。


「槍は間合いを支配する武器だ。」


「近づけない限り。」


「お前の刀は届かない。」


再び。


バルドが動く。


槍先が低く沈む。


次の瞬間。


「《穿突》」


一直線の突き。


速い。


ハヤテは紙一重で避ける。


背後の壁。


その一部が貫かれる。


「……。」


ハヤテは目を細める。


「危ないな。」


バルドは表情を変えない。


「避けたか。」


その言葉に。


ハヤテは小さく笑う。


「怖いねぇ。」


しかし。


その目には。


楽しさがあった。


刀を構え直す。


そして。


ゆっくりと。


刀を鞘へ戻す。


バルドが見る。


「……。」


ハヤテは腰を落とす。


静寂。


風が止まったように感じる。


「一の太刀。」


手は柄へ。


「――閃牙。」


次の瞬間。


ハヤテの姿が消える。


一瞬の踏み込み。


抜刀。


バルドへ向かう斬撃。


しかし。


バルドも反応する。


槍を構える。


刃と槍がぶつかる。


激しい衝撃。


槍と刀。


二つの武器が激しくぶつかり合っていた。


「……。」


バルドの槍が走る。


一直線の突き。


ハヤテは身体を捻り、紙一重で避ける。


そのまま懐へ入り込む。


「二の太刀。」


刀が閃く。


「――残光。」


残像を残すほどの連撃。


しかし。


バルドは冷静だった。


槍を回転させる。


柄による防御。


ハヤテの斬撃を全て受け流す。


「……。」


ハヤテが距離を取る。


「やるねぇ。」


バルドは表情を変えない。


「無駄な動きがない。」


「だが。」


槍を構える。


「届かなければ意味はない。」


次の瞬間。


バルドが踏み込む。


槍撃。


ハヤテは刀で受ける。


しかし。


衝撃で床が砕ける。


「っ……!」


力ではない。


槍の長さ。


速度。


正確さ。


全てが高い。


「三の太刀。」


ハヤテが呟く。


「――疾風。」


一瞬。


風のように距離を詰める。


バルドの懐へ。


しかし。


バルドは反応する。


槍の柄で防ぐ。


「……。」


ハヤテは笑う。


「そこまで読むか!」


「当然だ。」


バルドは答える。


再び。


二人は激突する。


ハヤテの剣技。


バルドの槍術。


速度と間合い。


近づく者と。


近づけさせない者。


互いの技量がぶつかり合う。


ハヤテは攻撃を受け流す。


バルドの槍を避ける。


そして。


隙を狙う。


「七の太刀。」


バルドの槍を流す。


「――流水。」


攻撃の勢いを利用し。


反撃へ繋げる。


しかし。


バルドも一歩下がる。


無理に追わない。


冷静に距離を取り直す。


「……。」


ハヤテは思う。


強い。


今まで戦ってきた相手とは違う。


ただ速いだけでは勝てない。


ただ力があるだけでも勝てない。


目の前の男は。


全てを理解した上で戦っている。


バルドが槍を構える。


「終わらせる。」


次の瞬間。


鋭い突き。


ハヤテは避ける。


槍が壁を貫く。


「……。」


その攻撃を見て。


ハヤテは笑った。


「こんなに強い相手と。」


刀を構える。


「命の取り合いをするのは。」


一歩。


踏み込む。


「久しぶりだ。」


バルドを見る。


バルドは淡々と槍を構える。


二人は再びぶつかる。


激しい攻防。


技。


経験。


読み合い。


全てを使った戦い。


バルドが見る。


「……。」


ハヤテは。


もう一本の刀の鞘に手を伸ばす。


《黒曜》。


その瞬間。


戦場の空気が変わった。

第18話「四天王戦、開幕」を読んでいただき、ありがとうございます!


今回はついに。


《深淵の剣》四天王との本格的な戦いが始まりました。


ガウとリンファは。


リリアとの戦闘中にヨミの乱入を受け、それぞれ別の戦いへ。


それぞれの想いを胸に戦います。


そして。


ハヤテとバルドの戦い。


速度と間合い。


剣と槍。


お互いの技量をぶつけ合う、純粋な戦いになりました。


最後には。


ハヤテが《黒曜》へ手を伸ばす。


次回。


ハヤテの本当の力が明らかになります。


四天王との戦いは。


まだ始まったばかりです。


お楽しみに!

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