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第17話 深淵との激突

白銀戦線の拠点内部。


長い通路。


俺達は先へ進んでいた。


目的は。


ゼノス。


そして。


深淵の剣の中心部。


「急ぐぞ。」


アイスが前を見る。


外では仲間達が戦っている。


長くは時間をかけられない。


その時だった。


「……っ!」


違和感。


足元。


壁。


天井。


どこからか。


気配がする。


次の瞬間。


――斬撃。


無数の黒い刃が影から飛び出した。


「危ない!」


咄嗟に避ける。


しかし。


全てを避けることはできなかった。


「くっ……!」


壁が斬り裂かれる。


通路そのものが崩れ始める。


「まずい!」


大きな衝撃。


瓦礫が落ちる。


そして。


俺達は分断された。


片側。


アイス。


反対側。


俺。


リンファ。


「アイス!」


叫ぶ。


しかし。


アイスはすぐに状況を判断した。


「……。」


「このまままっすぐ行け。」


「後から追い付く。」


「でも――」


「大丈夫だ。」


アイスは杖を構える。


「僕にはやることがある。」


その目は。


怒りに満ちていた。


「行け。」


俺は拳を握る。


「……分かった。」


リンファも頷く。


「気を付けて。」


俺達は走り出した。



アイス。


一人残った通路。


静かな足音。


そして。


影から一人の男が現れる。


「……。」


黒い影を纏った姿。


ミレイア。


「お前は。」


ミレイアはアイスを見る。


「白銀戦線のギルドマスター。」


「アイスか?」


アイスは杖を握る。


「僕がそうだ。」


ミレイアは笑う。


「そうか。」


「そうかそうか。」


そして。


わざとらしく首を傾げる。


「サイオンだったか?」


一瞬。


空気が変わる。


「……。」


「無事なのか?」


その言葉。


煽り。


アイスの表情が変わる。


「お前が……。」


「サイオンを……!」


普段冷静なアイス。


しかし。


その瞬間だけは違った。


仲間を傷つけられた怒り。


それが。


理性を越える。


ミレイアは笑う。


「なるほど。」


「そこが弱点か。」


影が広がる。



一方。


俺とリンファは走っていた。


通路の奥。


目的地へ向かう。


「……。」


敵の気配。


まだある。


しかし。


止まれない。


その時。


「こんにちは。」


声。


前方。


一人の女性が立っていた。


手には。


双剣。


そして。


無数のナイフ。


「……。」


リンファが警戒する。


俺は《朧》へ手を伸ばす。


リリアは笑う。


「あなた達…誰?」


「まぁいいわ。」


「すぐに逝かせてあげる。」


次の瞬間。


無数の刃が舞う。



白銀戦線の拠点入口。


ゴウマは一人。


そこに立っていた。


入口を塞ぐ瓦礫。


その前には。


深淵の剣のプレイヤー達。


「どけ!」


「入口を開けるんだ!」


何人ものプレイヤーが集まってくる。


しかし。


ゴウマは動かない。


「……。」


拳を握る。


次の瞬間。


一人のプレイヤーが斬りかかる。


ゴウマは避けない。


拳を前へ出す。


一撃。


武器を持った腕ごと弾き飛ばす。


「なっ……!」


そのまま。


踏み込み。


腹部を殴る。


そして次々と迫る敵を倒していく。


しかし。


ゴウマの攻撃は。


全て力を抜いていた。


倒す。


でも殺さない。


それでも。


敵の数は減らない。


「くそ!」


「数で押せ!」


プレイヤー達が押し寄せる。


その時。


――ドン。


大きな音。


空気が震える。


全員が振り返る。


そこに。


一人の男が立っていた。


巨大な大剣を担いだ大男。


ヴァルガ。


「お前ら。」


低い声。


「いつまで遊んでいるんだ?」


プレイヤー達が怯える。


ヴァルガは大剣を抜く。


そして。


横薙ぎ。


「邪魔だ。」


周囲にいたプレイヤー達が吹き飛ぶ。


「……!」


ゴウマの表情が変わる。


ヴァルガは味方であるはずのプレイヤー達を躊躇なく斬った。


「やめろ!」


ゴウマが叫ぶ。


「仲間じゃないのか!」


ヴァルガは大剣を肩に担ぐ。


そして。


笑う。


「仲間?」


「弱いやつは仲間じゃねぇよ。」


その言葉。


ゴウマの拳が強く握られる。


「……。」


ヴァルガは続ける。


「強いやつが残る。」


「強いやつが上に立つ。」


「それが当然だろ?」


ゴウマは静かに構える。


「違うな。」


「力がある奴が。」


「弱い奴を守るんだ。」


ヴァルガが笑う。


「くだらねぇ。」


大剣を構える。


「なら。」


「どっちの力が正しいか試してみようぜ。」


入口前。


二人の男が向かい合う。


力で支配する者。


力で守る者。


戦いが始まる。

第17話「深淵との激突」を読んでいただき、ありがとうございます!


ついに。


王虎の牙と《深淵の剣》。


二つのギルドが、本格的にぶつかり始めました。


今回から。


それぞれの戦場が動き出します。


アイスVSミレイア。


ガウ・リンファVSリリア。


ゴウマVSヴァルガ。


そして。


ハヤテVSバルド。


それぞれの戦いには。


ただ強さを競うだけではなく。


それぞれの信念のぶつかり合いがあります。


「力は支配するためにあるのか。」


「それとも、誰かを守るためにあるのか。」


《深淵の剣》が信じるもの。


《王虎の牙》が大切にしてきたもの。


その答えが。


これからの戦いの中で描かれていきます。


それぞれの戦いが激しく動き始めます。


お楽しみに!

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