第16話 潜入
大きな爆発音が響いた。
ドォン!!
一瞬。
拠点内部まで揺れるほどの衝撃。
それは外部班からの合図だった。
「合図だ。」
ゴウマが前を見る。
「いくぞ!」
裏道を走り抜けていく。
そして一気に内部へ侵入する。
◇
拠点内部。
そこは。
想像以上に混乱していた。
深淵の剣のプレイヤー達が走り回っている。
「敵はどこから来た!?」
「外の奴らを止めろ!」
「入口の瓦礫を撤去しろ!」
誰もこちらに気付いていない。
外部班の攻撃。
そして入口封鎖。
その影響で内部の防衛は完全に乱れていた。
「……。」
俺は周囲を見る。
敵の数。
配置。
逃げ道。
瞬時に確認する。
「今なら行ける。」
アイスが頷く。
その時。
ゴウマが入口方向を見る。
深淵の剣のプレイヤー達が必死に瓦礫を動かそうとしていた。
「入口を開けられたら外部班が危険になる。」
ゴウマは拳を握る。
「俺は入口を押さえる。」
俺が振り返る。
「ゴウマ。」
ゴウマは笑う。
「大丈夫だ。」
窓へ向かう。
そして。
次の瞬間。
飛び降りる。
「ゴウマ!」
しかし。
すでに彼は下へ向かっていた。
◇
地上。
ゴウマが着地する。
深淵の剣のプレイヤー達が驚く。
「なっ!?」
「いつの間に!?」
ゴウマは拳を構える。
「悪いが…。」
「ここから先はいかせん!」
◇
その様子を確認したアイスが言う。
「先を急ごう。」
俺達は頷く。
目的は。
拠点内部の制圧。
そして。
ゼノス達の撃破。
「行くぞ。」
アイスは前を見る。
拠点の中心へ。
王虎の牙の潜入部隊は進んでいく。
拠点内部。
長い通路を進む。
足音。
声。
戦闘の気配。
外では仲間達が戦っている。
だが俺達の目的はこの先。
「……。」
アイスが周囲を確認する。
「この先を抜ければ中央区画へ出る。」
その時。
通路の奥。
複数の気配。
「止まれ!」
声が響く。
深淵の剣のプレイヤー達。
武器を構えながら現れる。
「何者だ!」
「侵入者か!」
次の瞬間。
一斉に襲いかかってくる。
「俺が行く。」
ハヤテが前へ出る。
刀。
《白夜》。
抜刀。
一瞬。
空気が変わった。
「速い……。」
敵プレイヤーが呟く。
次の瞬間。
ハヤテの姿が消える。
斬撃。
一閃。
武器を弾く。
足を払う。
急所は狙わない。
ただ。
戦えなくする。
「まだ来るか!」
敵が迫る。
しかし。
ハヤテは止まらない。
流れるような剣技。
攻撃。
回避。
反撃。
全てが無駄なく繋がっている。
一人。
また一人。
深淵の剣のプレイヤー達が倒れていく。
「先に行け!」
ハヤテが叫ぶ。
「こいつらは俺が止める。」
その言葉に。
俺は頷く。
「分かった。」
俺達は先へ進む。
◇
しばらくして。
最後の一人が倒れる。
ハヤテは刀を構えたまま言う。
「もう勝負はついた。」
倒れたプレイヤー達を見る。
「投降するなら命まではとらん。」
その言葉。
深淵の剣のプレイヤー達は顔を見合わせる。
迷い。
恐怖。
そして。
安堵。
「……。」
武器を下ろそうとした。
その時。
――ザシュッ。
背後から。
一本の槍が伸びた。
「……っ!」
ハヤテは強烈に後ろに飛ぶ。
そこに無数の斬撃。
深淵の剣のプレイヤー達の身体が崩れる。
通路に静寂が落ちる。
ハヤテの表情が変わる。
「……。」
見覚えのある姿。
「何故投降する。」
男は冷たく言う。
「最後まで戦え。」
「雑魚ども。」
槍使いバルド。
ハヤテは刀を構える。
「……。」
そして。
「久しぶりだな。槍使い。」
バルドは槍を構える。
「逃げ帰った雑魚が。」
ハヤテは《白夜》を握り直す。
「今度は逃げねぇよ。」
通路。
その場に。
二人の戦士が向かい合う。
近づくことを許さない槍。
一瞬で距離を詰める剣。
再戦が始まる。
第16話を読んでいただき、ありがとうございます!
今回は。
ついに白銀戦線の拠点内部への潜入が始まりました。
外部ではプレイヤーを救うための戦い。
内部では敵の本拠地へ進む戦い。
二つの戦場が同時に動き始めています。
そして。
ハヤテとバルドが再び対峙しました。
同じ戦士でも。
二人の考え方は大きく違います。
果たして。
一瞬の距離を詰める剣と近づくことを許さない槍。
どちらが勝つのか。
お楽しみに!




