第13話 作戦会議
翌朝。
王虎の牙の集落。
広場には。
王虎の牙のメンバー。
白銀戦線の仲間達。
そして。
これからの行動を決めるための作戦会議が開かれていた。
昨日の敗北。
奪われた拠点。
それでも。
誰も諦めてはいなかった。
「まずは、状況を整理する。」
ゴウマが地図を広げる。
その横には。
白銀戦線の拠点の構造図。
アイスが静かに口を開く。
「白銀戦線の拠点には。」
「一つだけ、侵入するための経路がある。」
皆がアイスを見る。
「侵入経路?」
ハヤテが聞き返す。
「ああ。」
アイスは頷く。
「正面は岩山に囲まれている。」
「だからこそ。」
「万が一、内部へ侵入された場合に備えて。」
「外へ繋がる裏道を作っている。」
ゴウマが地図を見る。
「その道を使えば。」
「内部へ入り込める可能性があるわけか。」
「可能性はある。」
アイスは答える。
「ただし。」
「深淵の剣が存在を知っている可能性もある。」
「使うなら慎重に判断する必要がある。」
◇
「まずは情報だな。」
ゴウマが言う。
「敵の配置。」
「奴隷プレイヤー達の位置。」
「裏道が今も使える状態なのか。」
「確認する必要がある。」
その時。
「俺達が行く。」
声が響いた。
振り返る。
そこには。
俺とバレットが立っていた。
「偵察なら任せてくれ。」
バレットが弓を持つ。
ガウも頷く。
「近づいて確認する。」
アイスは二人を見る。
「無理はするな。」
「戦うためじゃない。」
「情報を持ち帰ることが目的だ。」
「ああ。」
俺は頷く。
「必ず戻る。」
こうして。
俺とバレットは。
奪われた白銀戦線の拠点へ向かった。
敵の配置を知るために。
◇
数時間後。
王虎の牙の集落。
作戦会議の場に。
俺とバレットは戻ってきた。
「戻った。」
その言葉に。
皆の視線が集まる。
「どうだった?」
アイスが聞く。
バレットが先に答える。
「拠点内部は、完全に占拠されている。」
「深淵の剣のプレイヤー達が、各所を警戒していた。」
ゴウマが頷く。
「戦力配置は?」
俺が答える。
「内部と外部で分けている。」
「外部?」
ハヤテが聞き返す。
「ああ。」
俺は地図を見る。
「奴隷プレイヤー達は。」
「全員、拠点周辺の外壁の外にいた。」
その言葉に。
皆の表情が変わる。
◇
「外壁の外……。」
アイスが考える。
「なるほど。」
「ゼノスは奴隷プレイヤー達を外側に配置したか。」
たるとの表情が曇る。
「また……。」
「戦いたくない人達を利用するんですね。」
「ああ。」
アイスは静かに答える。
「それが、奴らの戦い方だ。」
静かな怒りが広がる。
◇
「裏道は?」
ゴウマが聞く。
俺は頷く。
「確認した。」
「今のところ、敵が使っている様子はない。」
「侵入することは可能だと思う。」
アイスは地図を見る。
そして。
決断した。
「なら。」
「作戦を立てる。」
◇
「まず。」
アイスが指をさす。
「正面から攻撃する。」
「敵の意識を外へ向ける。」
ハヤテが笑う。
「わざと派手に動くってことか。」
「ああ。」
アイスは頷く。
「深淵の剣は、自分達の力に自信がある。」
「正面から来た敵を放置することはない。」
◇
「正面部隊は。」
ゴウマが続ける。
「外にいる奴隷プレイヤー達を無力化する。」
「目的は救出だ。」
「殺さない。」
「気絶させるか、動きを封じる。」
担当するのは。
セリア。
バレット。
ガンテツ。
ノエル。
モルフォ。
そして。
負傷していない白銀戦線メンバー50名。
さらに。
旧鉄球戦団の10名。
「任せろ。」
ガンテツが拳を握る。
「誰も傷つけずに止めてやる。」
「私も協力します。」
モルフォが頷く。
「奴隷状態になっている方々の状態確認も必要です。」
「何か異常があれば、すぐに対応できます。」
アイスも頷く。
「頼む。」
◇
「その間に。」
アイスが地図の裏側を指す。
「裏道から内部へ侵入する。」
潜入部隊。
アイス。
ガウ。
ハヤテ。
リンファ。
ゴウマ。
「内部にいる深淵の剣プレイヤー達は。」
ゴウマが言う。
「戦意を失った者は捕虜。」
「だが。」
一度、間を置く。
「戦い続ける者には容赦しない。」
その言葉に。
皆が黙る。
◇
たるとは。
しばらく俯いていた。
そして。
ゆっくり顔を上げる。
「……分かりました。」
「深淵の剣の人達については。」
「皆さんに任せます。」
普段のたるとなら。
絶対に言わない言葉。
でも。
今回は違った。
「もし。」
「私達を傷つけようとしてくるなら。」
「止めてください。」
「それでも向かってくるなら……。」
たるとは拳を握る。
「倒してください。」
「命を奪うことも。」
「許可します。」
静寂が広がる。
俺は。
たるとを見る。
その言葉の重さを理解していた。
たるとは続ける。
「でも。」
「奴隷になっている人達は。」
「絶対に助けてください。」
「その人達は。」
「悪くないから。」
俺は頷く。
「ああ。」
「必ず助ける。」
◇
「最後に。」
ゴウマが言う。
「集落の防衛だ。」
「たると。」
「シズク。」
「二人は残ってくれ。」
「万が一、敵が別動隊を送ってくる可能性がある。」
シズクが頷く。
「住民達は私が守ります。」
「防御結界で、必ず守り抜きます。」
◇
こうして。
白銀戦線拠点奪還作戦が決まった。
正面から攻める部隊。
裏道から侵入する部隊。
集落を守る部隊。
それぞれの役割。
それぞれの覚悟。
これは。
ただ拠点を取り戻すための戦いではない。
奪われた帰る場所を取り戻すための戦いだった。
第13話でした!
今回は白銀戦線の拠点を取り戻すための作戦会議でした。
ただ敵を倒すだけではない。
今回の戦いの目的は。
深淵の剣に利用されている奴隷プレイヤー達を救い出すこと。
そのために。
王虎の牙と白銀戦線は、それぞれの役割を決めました。
そしてたるとは大きな覚悟を決めました。
誰も傷つけたくない。
その想いは変わらない。
それでも。
大切な仲間を守るために。
厳しい決断をする時もある。
次回。
白銀戦線拠点奪還作戦が始まります。




