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第4話 王虎の牙の食卓

夕刻。


食堂には、活気に満ちた声が響いていた。


「いただきます!」


長い木製のテーブルを囲んでいるのは、《王虎の牙》の仲間たちだけではない。


畑仕事を終えたNPC。


鍛冶仕事を終えたNPC。


水路整備を担当していたNPC。


そして、元気よく駆け回る子どもたち。


この小さな集落で暮らすすべての者が、同じ食卓を囲んでいた。


今夜の夕食は、野菜をふんだんに使ったスープと焼き魚。


そして、採れたての野菜で作ったサラダ。


決して豪華な料理ではない。


だが――


「おいしいです!」


たるとは嬉しそうにスープを口に運ぶ。


「たるとちゃん、今日もおいしいねぇ」


「えへへ。今日は私もお手伝いしたんですよ!」


「味見係だろ?」


ハヤテが笑う。


「ち、違います!」


「二回つまみ食いしてたじゃん」


「おいしそうでしたので仕方ありません!」


食堂に笑い声が広がる。


「たるとさん、おかわり!」


「はい! たくさんありますよ!」


たるとは嬉しそうに鍋へ向かった。


その背中を見ながら、リンファがやわらかく微笑む。


「本当に楽しそうね」


「まあ、たるとだからな」


ゴウマも苦笑する。


「そうですね」


シズクが小さくうなずいた。


そのときだった。


「ガウ姉ちゃん!」


小さなNPCの子どもが駆け寄ってくる。


姉ちゃん呼びもすっかり慣れてしまっていた。


「今日、ウルフをやっつけたの!?」


「うん。しばらくは大丈夫だと思うよ」


「すごーい!」


「ガウ姉ちゃん、強いもんね!」


「そんなことないよ」


「また今度、お話聞かせて!」


「いいよ」


子どもたちは嬉しそうに席へ戻っていく。


「人気者だね~」


セリアがのんびりと言う。


「そういうセリアも懐かれてるじゃない」


リンファが笑う。


「セリアお姉ちゃん、また寝てたー!」


「寝てないよ~」


「昼間、目閉じてた!」


「考え事してたの~」


「それを寝てるって言うんです」


シズクが即座に突っ込む。


「シズク姉ちゃん、怒ったー!」


「怒ってません!」


「怖い顔してるー!」


「してませんってば!」


食堂は再び笑いに包まれた。


「ほんと仲がいいな、お前ら」


ハヤテが呟く。


「仲良しだよ~」


「違います!」


見事に揃った返事だった。


「ぷっ」


たるとが吹き出す。


「ご、ごめんなさい」


「いや、笑うだろ、これは」


ゴウマも肩を揺らして笑っていた。


俺も思わず笑みがこぼれる。


「ごちそうさまでした!」


子どもたちが元気よく手を合わせる。


「お粗末さまでした」


食器を片付ける者。


談笑を続ける者。


子どもたちを寝かしつける者。


小さな集落の夜は今日も穏やかに過ぎていった。



――その頃。


集落から少し離れた丘の上。


一人のプレイヤーが小さな灯りを見下ろしていた。


「……集落?」


思わず声が漏れる。


地図にも載っていない。


交易路からも外れている。


そんな最果ての地に人の営みがあった。


「こんなところに集落が……?」


遠くから、かすかな笑い声が聞こえる。


温かな灯りが揺れている。


「リーダーに報告しなくては」


プレイヤーは小さく呟く。


そして、灯りのともる集落へ視線を向けた。

ここまで読んでいただきありがとうございました!


《王虎の牙》というギルドがどんな場所で、どんな仲間たちと過ごしているのかを四話かけて書いていきました。


これからもガウたちの歩みを楽しんでいただけると嬉しいです。


感想や評価、ブックマークなども励みになります!


それでは、また次回お会いしましょう!

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