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第7話 それぞれの役割

朝。


王虎の牙の集落。


街作りが始まって三日目。


昨日よりも。


少しだけ景色が変わっていた。


集められた資材。


整えられた作業場所。


そして。


これから住宅街になる予定の土地。


まだ街とは呼べない。


でも。


ここで暮らす未来は。


少しずつ形になり始めていた。


「今日も頑張りましょう!」


たるとの声が響く。


その笑顔に。


NPC達も仲間達も自然と笑顔になる。



「今日は、それぞれ担当を決めよう。」


ゴウマが設計図を見る。


「街作りは、ただ建物を作ればいいわけじゃない。」


「暮らす人がいて。」


「安心できる場所があって。」


「初めて街になる。」


皆が頷く。


「まず必要なのは。」


ゴウマは周囲を見る。


「安全の確認だ。」


その言葉に。


バレットが前へ出る。


「俺が行く。」



バレットは弓を持ち。


集落の外へ向かう。


街を作る場所の周囲。


森。


草原。


遠くの岩山。


細かな変化を確認していく。


魔物の気配。


危険な場所。


近くにいる生物。


一つずつ確認する。


昔のバレットなら。


この力は自分が生き残るためだけに使っていた。


誰も信用しない。


誰にも頼らない。


一人で戦うために。


しかし。


今は違う。


視線の先には。


王虎の牙の集落がある。


仲間達がいる。


守りたい場所がある。


しばらくして。


バレットは集落へ戻ってきた。


「問題ない。」


「周囲に危険な魔物はいなかった。」


たるとは笑顔になる。


「ありがとうございます!」


バレットは少しだけ視線を逸らす。


「必要なことをしただけだ。」


でも。


その表情は。


以前より柔らかかった。



「次は住宅街ですね。」


リンファが設計図を見る。


NPC達が暮らす場所。


これから多くの人が生活する場所。


そこへ。


モルフォが近付く。


「少し確認してもいいですか?」


リンファが頷く。


「もちろん。」


モルフォは周囲を見る。


「住宅街を作るなら。」


「建物だけではなく、周辺環境も重要です。」


「危険な虫や植物がないか。」


「生活に影響する生物がいないか。」


「調べておいた方がいいと思います。」


ガンテツが笑う。


「やっぱり虫博士だな。」


モルフォは真剣な顔で頷く。


「虫は侮れません。」


「種類によっては、人の生活に大きな影響を与えます。」


「例えば――」


「モルフォさん。」


リンファが優しく止める。


「長くなりますよー。」


「……。」


モルフォは少し黙る。


そして。


小さく笑った。


「すみません。」


でも。


その表情は楽しそうだった。


自分の知識が。


誰かの役に立っている。


それが嬉しかった。



「私も手伝います。」


ノエルが住宅街予定地を見る。


「住む場所が完成するまで。」


「皆さんが安心できるようにします。」


セリアが微笑む。


「ノエルちゃんらしいね~。」


ノエルは大盾を見る。


「私は、この盾で誰かを守るために戦ってきました。」


「でも。」


「守ることは。」


「戦うことだけではありません。」


「安心して眠れる場所。」


「笑って暮らせる場所。」


「それを守ることも同じです。」


たるとは嬉しそうに頷く。


「ありがとうございます。」


「王虎の牙を守ってくれて。」


ノエルは少し驚く。


そして。


小さく笑った。


「……こちらこそ。」



午後。


街作りは続いていく。


バレットは周囲を確認する。


モルフォは住宅街の環境を調査する。


ノエルはNPC達を手伝う。


それぞれ違う役割。


それぞれ違う力。


でも。


向かっている場所は同じだった。


「昔とは変わったな。」


ハヤテが呟く。


俺は周囲を見る。


「うん。今がとても楽しい。」


二人は笑い合った。



一方その頃。


白銀戦線の拠点。


岩山に囲まれた天然の要塞。


その周囲を一人の青年が空中から見渡していた。


「街作りは順調なんッスかね~。」


銀髪の青年。


サイオン。


彼は拠点周辺の警戒を続けていた。


「……。」


その時。


サイオンの表情が変わる。


遠く。


岩山の向こう。


何かが動いた。


「ん?」


目を細める。


そこには。


数人のプレイヤーらしき影。


しかし。


普通の冒険者とは違う。


隠れるように移動している。


白銀戦線の拠点。


その周辺を探るように。


「……。」


サイオンは静かに高度を下げる。


「怪しいッスね。」


敵意。


殺気。


そして。


こちらを観察するような動き。


ただの旅人ではない。


「アイスに報告した方がいいッスかね……。」


その瞬間。


影の一人が。


こちらを見上げた。


「……!」


そして。


その姿を確認する前に。


影達は岩陰へ消えていった。


「今のは……。」


胸に残る違和感。


サイオンは空を見上げる。


「嫌な予感がするッス。」


白銀戦線。


王虎の牙。


そして。


この世界で生きる全てのプレイヤー。


まだ誰も知らない。


新たな脅威が。


少しずつ。


動き始めていることを。

第7話でした。


戦うだけじゃなくて。


作ることや支えることも、仲間の大切な力ですね!


そして最後に少しだけ登場した怪しい影……。


次回から少しずつ物語が動いていきます。


街作りも、もちろん続きますよ!


では、また次回!

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