第5話 計画
――朝。
王虎の牙の集落。
いつもなら。
畑仕事をするNPC達の声。
家を建てる音。
仲間達の話し声。
そんな、いつもの日常が広がっている時間。
しかし。
今日は少し違っていた。
集落の中心には、多くの人が集まっている。
王虎の牙のメンバー。
そして。
昨日から街作りを手伝ってくれることになった白銀戦線のアイス。
皆が集まった理由は一つ。
これから作る街について話し合うためだった。
◇
「それじゃあ!」
皆の前に立ったたるとが、元気よく声を上げる。
「街作り会議を始めます!」
ゴウマが腕を組む。
「街作りと言っても、考えることは多い。」
「住居。」
「施設。」
「道。」
「そして、防衛。」
「順番を決める必要がある。」
その言葉に、アイスも頷く。
「大きな街を作るなら、最初の設計が重要だ。」
「後から変更するのは簡単ではない。」
皆が真剣に聞く。
そんな中。
たるとは突然――
「ふっふっふっー!」
全員がたるとを見る。
「……?」
俺は首を傾げる。
「たると?」
たるとは胸を張った。
「実は……考えてました!」
たるとは大きな紙を取り出す。
そして。
机に広げた。
そこに描かれていたのは――
未来の街の姿だった。
城壁。
関所。
メインストリート。
中央広場の噴水。
住宅街。
宿泊施設。
NPC住宅街。
訓練場。
研究施設。
海へ続く道。
そこには。
たるとの思い描いた未来が詰まっていた。
「すごいね……。」
リンファが優しく微笑む。
「ただ建物を作るんじゃなくて。」
「ちゃんと、そこで暮らす人達のことを考えてる。」
たるとは嬉しそうに頷く。
「はい!」
「街って、建物だけじゃないと思うんです。」
「そこで暮らす人達がいて。」
「笑って過ごせる場所になって。」
「初めて街になると思います。」
その時。
アイスが静かに設計図を見る。
そして。
少しだけ表情を曇らせた。
「アイスさん?」
たるとが尋ねる。
アイスは顔を上げる。
「すごいと思う。」
「だが。」
一度、間を置く。
「まだ、守るための設計が不足している。」
たるとの表情が固まる。
「……え?」
アイスは設計図を指差す。
「入口の配置。」
「城壁の位置。」
「見張り場所。」
「警備配置。」
「避難経路。」
「考える必要がある。」
たるとは設計図を見る。
少しだけ肩を落とす。
「……そんなにですか。」
しかし。
たるとは落ち込まなかった。
顔を上げる。
「じゃあ。」
「教えてください!」
アイスが少し驚く。
「え?」
「私、この街を本当に守れる街にしたいです。」
「だから。」
「アイスさん達の力を貸してください!」
アイスは少しだけ笑った。
「分かりました。」
「僕の知識で、より良い街を作ろう。」
「では。」
アイスが設計図を見る。
「まずは、何から作るかを決めよう。」
皆が再び設計図へ視線を向ける。
街の完成図。
まだ夢のような話。
しかし。
これを本当に形にするためには、順番が重要だった。
「やっぱり、最初は武器屋とかじゃねぇか?」
ハヤテが言う。
「装備を整える場所は必要だろ。」
「いやいや。」
ガンテツが笑う。
「先に住む場所だろ!」
「街ってのは、人が暮らしてこそだ。」
二人の意見を聞きながら。
ゴウマが口を開く。
「どちらも必要だ。」
「だが。」
「優先するべきものは決まっている。」
「まずは。」
「守るための場所。」
「そして。」
「暮らすための場所だ。」
皆が頷く。
アイスも続ける。
「街の基盤となるものですね。」
「防衛設備がなければ、住民を守れない。」
「住む場所がなければ、人は増えない。」
たるとは頷く。
「じゃあ……。」
「最初に作るのは。」
「城壁と、NPCの皆さんが暮らす住宅街ですね!」
決定した。
最初の建設。
城壁。
そして。
住民達の家。
小さな集落だった場所が。
少しずつ。
街へ変わり始める。
王虎の牙の建国への第一歩が。
今、始まった。
第5話でした!
今回はついに、王虎の牙が「暮らす場所」から「街を作る場所」へ進み始めました。
たるとの理想を、アイス達の知識で現実にしていく感じですね。
まだまだ小さな一歩ですが、ここから少しずつ大きな街へ変わっていきます!
次回から本格的な街作り開始です。
果たして、どんな街になっていくのか……。
お楽しみに!




