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第3話 白銀戦線との再会

集落を出発してから数時間が経った。


俺たちは緩やかな草原を進み、《白銀戦線》の拠点を目指していた。


先頭を歩くのは俺とガンテツ、そしてドランの三人。


その少し後ろをゴウマが歩き。


シズクとたると。


最後尾をバレットが進んでいる。


向かう先は以前アイスから教えてもらった場所だ。


草原を越え。


森を抜け。


その先にある巨大な岩山。


そこに《白銀戦線》の拠点がある。


今回は以前交わした約束を果たすだけではない。


大規模ギルドである《白銀戦線》がどのように多くの仲間をまとめ。


どのように拠点を運営しているのか。


それを実際に見て、これからの街づくりへ生かす。


それも大きな目的だった。


「楽しみですね!」


後ろを歩いていたたるとが弾んだ声を上げる。


少し歩調を速め、俺の隣へ並んだ。


「《白銀戦線》の拠点ってどんな場所なんでしょう?」


「攻略組の拠点だからな」


ゴウマが答える。


「生活のしやすさより、防衛や戦闘を優先している可能性が高い」


「俺たちとは考え方が違うだろう」


「違うからこそ、参考になることもありそうですね」


シズクが静かに頷く。


「どのような防衛策を取っているのか」


「侵入経路をどう制限しているのか」


「実際に見てみたいです」


シズクの表情はいつもより少しだけ楽しそうだった。


結界術を扱う者として。


他の拠点の防衛設備には興味があるのだろう。


「俺は建物が気になるな!」


ガンテツが豪快に笑う。


「《白銀戦線》とは何度か交流があったが拠点に行くのは初めてだ!」


「どんな場所を作ってるのか、前から気になってたんだ!」


「壊さないように、ですな」


ドランが隣で苦笑する。


「見学へ行くのであって、強度を拳で確かめるためではありませんからな」


「さすがの俺でもいきなり殴ったりしねぇよ!」


二人のやり取りにたるとが楽しそうに笑った。


俺は最後尾を歩くバレットへ視線を向ける。


周囲を警戒する姿は相変わらずだ。


口数も少ない。


けれど。


以前のような人を寄せ付けない雰囲気は薄れていた。


少し離れた場所を歩きながらも俺たちの会話にはしっかり耳を傾けている。


「バレットさん」


たるとが振り返る。


「アイスさんたちとの再会、楽しみですか?」


その問いに、バレットはわずかに眉を動かした。


「……別に」


「おや?」


ガンテツがにやりと笑う。


「さっきから、いつもより歩くのが速い気がするがな!」


「気のせいだ」


「そうか?」


「そうだ」


即答だった。


だが。


その返事が少し早い。


たるとも同じことを思ったのか口元を押さえて笑った。


「楽しみなんですね」


「違う」


「ふふっ」


「……笑うな」


バレットは小さく息を吐き、俺たちから視線を逸らした。


その様子を見て、俺も自然と笑みを浮かべる。


《白銀戦線》とは共に戦い。


背中を預け合い。


命を懸けてダンジョンを攻略した。


共に過ごした時間は長くない。


それでも。


今では大切な友人たちだ。


きっとバレットにとっても。


アイスやサイオンたちは大切な友人なのだろう。


「ガウ」


たるとが俺の顔を覗き込む。


「どうしました?」


「何でもないよ」


俺は首を横に振る。


「私も楽しみだと思ってただけ」


「ガウもですか?」


「うん」


正直に口にすると少しだけ気恥ずかしい。


俺にとっても。


アイスやサイオンたちは大切な友人だ。


「私も楽しみです!」


たるとは満面の笑みを浮かべる。


「またみんなでご飯を食べたいですね!」


「視察が目的だぞ」


ゴウマが呆れたように言う。


「もちろん分かってます!」


「でも、ご飯も大事です!」


「たるとらしいね」


俺が笑うとたるとも胸を張った。


「はい!」


何の迷いもない返事だった。



しばらく歩き続けると。


周囲の景色が少しずつ変わり始めた。


広がっていた草原が終わり。


目の前には深い森が広がっている。


木々が空を覆い隠し。


昼間だというのに薄暗い。


風が葉を揺らし。


木漏れ日が地面へまだら模様を描いていた。


俺たちは警戒を緩めることなく森へ入る。


足元には折れた枝。


地面には魔物の爪痕や古い戦闘の跡が残っていた。


この周辺にも魔物は生息しているはずだ。


だが。


不思議なほど姿が見えない。


「静かですね」


シズクが辺りを見渡す。


「魔物の気配は感じます」


「ですが、こちらへ近付いてくる様子はありません」


「《白銀戦線》が定期的に討伐しているんだろう」


ゴウマが地面へ視線を落とした。


そこには何本もの足跡が残っている。


人の足跡。


一人や二人ではない。


何度も大人数が行き来した形跡だ。


「拠点周辺の安全を維持するために定期的な見回りをしているようだな」


「私たちと同じですね」


たるとも足跡を見つめる。


《王虎の牙》でも集落周辺の見回りと魔物の討伐は定期的に行っている。


集落の内側だけを守っていても。


周辺に魔物が増えれば住民たちは安心して暮らせない。


その考え方は《白銀戦線》も同じなのだろう。


ただ。


地面に残された足跡を見る限り、かなり広い範囲まで巡回しているようだった。


「攻略組だけあって見回りの範囲も広そうだな」


ゴウマが森の奥へ視線を向ける。


「拠点の周囲だけじゃない」


「ここへ続く道まで安全を確保しているようだ」


同じ魔物討伐でも。


守る場所や目的によって、その方法は少しずつ違う。


そうした違いを実際に見ることも今回の視察の目的だった。


森の奥へ進むにつれて。


前方からひんやりとした風が流れてくる。


「少し寒くなってきましたね」


たるとが腕をさする。


シズクは足元へ視線を落とした。


「……これは」


地面には薄く霜が降りていた。


シズクはしゃがみ込み、慎重に手を近付ける。


「自然にできた霜ではありません」


「微かに魔力が残っています」


淡い青白い光が指先へ集まる。


「氷属性の魔力ですね」


「アイスさんの魔法でしょうか」


「可能性は高いな」


ゴウマが周囲を見渡す。


「侵入者が通れば霜に足跡が残る」


「警戒用の仕掛けとして使っているのかもしれない」


「なるほど……」


シズクは興味深そうに霜を眺める。


「単純ですが、とても効果的です」


結界術を扱う者として、新しい発見だったようだ。


やがて。


木々の隙間から強い光が差し込んできた。


「もうすぐだ」


俺はアイスから聞いた道順を思い返す。


この森を抜ければ《白銀戦線》の拠点が見える。


その言葉にたるとの表情がぱっと明るくなった。


俺たちは並んで森を抜ける。


視界が一気に開けた。


目の前にはどこまでも続く草原。


そして。


その遥か先には巨大な岩山が堂々とそびえ立っていた。


高く。


厚く。


まるで大地そのものが築いた城壁のように巨大な岩山が行く手を塞いでいる。


左右には険しい断崖。


簡単には登れそうにない。


そして中央にだけ奥へと続く一本の道が伸びている。


俺は思わず足を止めた。


「……すごい」


たるとが小さく息を呑む。


ガンテツも岩山を見上げ、大きく目を見開いた。


「こいつは……」


「天然の要塞ってやつだな!」


「見事ですな」


ドランが感心したように髭を撫でる。


「これだけの岩壁なら、一から城壁を築く必要もない」


「自然の地形を利用した拠点というわけですな」


ゴウマは周囲を見渡していた。


「左右から回り込むのは難しい」


「敵は必ず中央の道を通ることになる」


「守る側は戦力を一点に集中できるな」


「はい」


シズクも静かに頷く。


「岩壁そのものが防壁になっています」


「結界を張るとしても、入口周辺へ集中させれば十分そうですね」


結界術師らしい視点だった。


俺も改めて岩山を見上げる。


戦うことだけを考えるなら確かに理想的な場所だ。


敵が来る方向は限られている。


高所から周囲を見渡すこともできる。


待ち伏せもしやすい。


少人数でも守り抜ける地形。


攻略組である《白銀戦線》らしい拠点だと思った。


「私たちの集落とは全然違いますね」


たるとがぽつりと呟く。


「そうだね」


俺は静かに頷いた。


《王虎の牙》には畑がある。


家が並び。


子どもたちが走り回り。


みんなで食卓を囲む。


人が暮らす場所として育ててきた集落だ。


一方。


《白銀戦線》は攻略を続けるため。


そして。


仲間が生きて帰るために造られた拠点。


同じ拠点でも目指しているものが違えば造りも変わる。


どちらが正しいという話ではない。


それぞれの考えがそのまま形になっているのだ。


「行こう」


俺が声を掛ける。


全員が頷き、岩山へ続く一本道を歩き始めた。


近付くにつれて入口の様子が少しずつ見えてくる。


岩壁の上には見張り台。


そこには弓を構えたプレイヤーが立ち、周囲を警戒していた。


地上には厚い木材と鉄板で補強された大きな門。


その前には数人のプレイヤーが警備に当たっている。


俺たちの姿に気付くと見張り台の一人がすぐに合図を送った。


門前の警備をしていた者たちも武器へ手を掛ける。


俺たちは門の少し手前で足を止めた。


「《王虎の牙》です」


たるとが一歩前へ出る。


「《白銀戦線》のアイスさんたちに会いに来ました!」


警備をしていた一人が俺たちを見渡す。


やがて。


小さく頷いた。


「少々お待ちください」


一人が門の奥へ走っていく。


しばらくして。


門の奥から二つの人影が姿を現した。


先頭を歩いてきたのは青い髪を揺らす青年。


アイスだった。


落ち着いた表情は以前と変わらない。


けれど。


俺たちの姿を見つけた瞬間、その瞳がわずかに柔らかくなる。


そして。


その隣から勢いよく駆け出してきたのは――。


「皆さーん!」


聞き慣れた大きな声が岩山へ響き渡る。


「本当に来てくれたッスねー!」


サイオンだった。


相変わらず元気いっぱいだ。


その姿を見たたるとの表情が一気に明るくなる。


「アイスさん!」


「サイオンさん!」


たるとは二人の元へ駆け寄った。


「お久しぶりです!」


「元気そうでよかったです!」


「もちろんッス!」


サイオンは満面の笑みを浮かべる。


「たるとも元気そうで安心したッス!」


「はい!」


「皆さんも元気そうで良かったです!」


たるとは嬉しそうに何度も頷いた。


アイスは俺たち全員を見渡す。


「よく来てくれた」


「今日はよろしくお願いします!」


たるとが頭を下げる。


「こちらこそ」


アイスも静かに頷いた。


ゴウマが一歩前へ出る。


「急に来て悪いな」


「いや」


「約束していたことだ」


「気にする必要はない」


アイスは短く答える。


その口調は淡々としている。


けれど。


歓迎してくれていることは十分伝わった。


「ガウ」


アイスの視線が俺へ向く。


「久しぶりだな」


「うん」


俺も笑みを返す。


「二人とも元気そうで安心した」


「もちろんッス!」


サイオンが元気よく胸を張る。


「おいらは毎日元気いっぱいッス!」


「見れば分かる」


アイスが小さく呟く。


「ひどいッス!」


「褒めてるんだ」


「そうなんスか?」


「じゃあ喜ぶッス!」


相変わらずだ。


サイオンの言動にその場の空気が自然と和らぐ。


次の瞬間。


サイオンは一直線にバレットの元へ向かった。


「バレットー!」


勢いよく肩へ腕を回す。


「久しぶりッス!」


「離れろ」


「冷たいッスね!」


「重い」


「再会の抱擁ッス!」


「いらん」


そう言いながらも、バレットは本気で振り払おうとはしなかった。


少し呆れたようにため息を吐くだけだ。


その様子を見てガンテツが豪快に笑う。


「はっはっはっ!」


「すっかり仲良しじゃねぇか!」


「違う」


バレットは即座に否定する。


だが。


その表情はどこか穏やかだった。


共に戦い。


互いの実力を認め。


今ではこうして再会を喜べる。


不思議なものだ。


アイスは今度はガンテツたちへ視線を向けた。


「《鉄球戦団》も一緒だったか」


「久しぶりだな!」


ガンテツが豪快に笑う。


そして。


何かを思い出したように声を上げた。


「……いや!」


「もう《鉄球戦団》じゃねぇ!」


胸を張り、力強く宣言する。


「俺たちは《王虎の牙》の一員だ!」


アイスは少しだけ目を見開いた。


「そうか」


「それは知らなかった」


「へへっ」


ガンテツが照れくさそうに頭をかく。


「こっちは元副ギルドマスターのドラン!」


「今日は色々見学させてもらうぜ!」


ドランは一歩前へ出て頭を下げる。


「今日は建築や設備について勉強させていただきますぞ」


シズクも続いて一礼する。


「私も防衛設備について学ばせていただきたいです」


アイスは全員を見渡し。


小さく頷いた。


「歓迎しよう」


そして。


岩山の奥へ視線を向ける。


「立ち話も何だ」


「まずは中へ入ってくれ」


サイオンが勢いよく手を挙げた。


「《白銀戦線》へようこそッス!」


「今日は隅々まで案内するッスよ!」


「お前が案内すると寄り道ばかりになりそうだな」


アイスが呆れたように言う。


「任せてほしいッス!」


「だから心配なんだ」


そのやり取りに俺たちは思わず笑ってしまう。


変わらない二人の姿に安心しながら。


俺たちは岩山に囲まれた《白銀戦線》の拠点へ足を踏み入れた。



外から見た以上にその内部は広かった。


天然の岩壁に囲まれた空間には多くの建物が整然と並んでいる。


鍛冶場。


倉庫。


宿泊施設。


訓練場。


生活に必要な設備は一通り揃っていた。


だが。


《王虎の牙》の集落とはどこか雰囲気が違う。


歩くプレイヤーたちは皆、武器を身に着けている。


訓練を終えた者。


装備の手入れをする者。


攻略へ向けて準備を進める者。


大勢のプレイヤーが行き交っているのに動きには無駄がない。


ここが大規模ギルド《白銀戦線》の拠点なのだと。


実際に目にして初めて、その規模を実感した。


「ここが《白銀戦線》の拠点ッス!」


サイオンが両手を広げる。


「結構広いッスよ!」


「思っていた以上ですね」


たるとが周囲を見回す。


「建物もきれいに並んでいますね」


「無駄な建物を作っていないからな」


アイスが歩きながら説明する。


「生活できる程度の設備があれば十分だ」


「余った資材は防衛設備や攻略用の装備へ回している」


「なるほど」


ゴウマが小さく頷く。


「目的がはっきりしているわけだ」


俺も辺りを見渡した。


《王虎の牙》は人が安心して暮らせる街を目指している。


一方。


《白銀戦線》は攻略を続けるための拠点。


同じ拠点でも作り方はまるで違っていた。


しばらく歩くとアイスが足を止める。


「まず見てもらいたい場所がある」


案内されたのは拠点の入口を見下ろせる見張り台だった。


木材と岩を組み合わせて作られた頑丈な櫓。


そこへ登ると、入口から続く一本道が一望できる。


「すごい……」


たるとが思わず声を漏らす。


「ここなら敵が来てもすぐ分かりますね」


「ああ」


アイスが頷く。


「見張りは常に交代制だ」


「昼夜を問わず、誰かが必ず周囲を監視している」


ゴウマが腕を組む。


「一本道だからこそ少人数でも十分監視できるな」


「その通りだ」


アイスは入口を指差した。


「あの道以外から侵入することはほぼ不可能だ」


「だから戦力を分散させる必要がない」


ガンテツが感心したように笑う。


「いやぁ、見事だな!」


「これなら攻める方は嫌になるぜ!」


「守る側としては理想的な地形ですね」


シズクも静かに頷く。


「結界を展開する範囲も狭く済みます」


「その分、魔力の消耗も抑えられそうです」


アイスは少しだけ興味深そうにシズクを見る。


「結界術師らしい視点だな」


「ありがとうございます」


シズクは小さく頭を下げた。


そのやり取りを見ながら俺はもう一度周囲へ目を向ける。


高所から見える一本道。


見張り台の位置。


警備の配置。


どれも無駄がない。


防衛を重視した拠点だ。


「勉強になりますね」


たるとが静かに呟く。


「うん」


俺も頷く。


「《王虎の牙》とは違う形だけど、学べることは多そうだね」


アイスは静かに頷くと、見張り台の階段へ向かった。


「次へ行こう」


俺たちも後に続き、見張り台を降りる。


そのまま拠点の奥へ進んでいくと。


剣がぶつかり合う音と力強い掛け声が聞こえてきた。


視線の先には木製の人形や的が並ぶ広い空間がある。


その中央では《白銀戦線》のメンバーたちが真剣な表情で訓練を続けていた。


「ここが訓練場だ」


アイスが静かに言う。


「攻略へ出ない日は多くの者がここで腕を磨いている」


「毎日ですか?」


たるとが驚いたように尋ねる。


「ああ」


アイスは頷く。


「この世界では死んだら終わりだ」


その一言で場の空気が少しだけ重くなる。


「一度の判断ミス」


「一瞬の油断」


「たったそれだけで命を落とす」


アイスは訓練を続ける仲間たちへ視線を向けた。


「だから鍛える」


「自分を」


「仲間との連携を」


「生きて帰るために」


誰も言葉を挟まない。


その言葉には攻略組として戦い続けてきた者だからこその重みがあった。


ゴウマが訓練の様子を見つめる。


「連携の確認までやっているのか」


「攻略組らしいな」


訓練している者たちは一人で戦う練習だけではない。


二人。


三人。


時には五人ほどで隊列を組み。


息を合わせながら動いていた。


互いの動きを確認し合い。


細かな声掛けも欠かさない。


「すごい……」


たるとが小さく呟く。


「みんな息がぴったりです」


「長く一緒に攻略を続けてきたからね」


アイスが答える。


「個人の強さだけではこの世界は生き残れない」


「仲間との連携も同じくらい重要だ」


俺は訓練の様子を見つめる。


一人ひとりの実力も高い。


だが。


それ以上に目を引いたのは、仲間同士の息の合った動きだった。


攻略組が強い理由は個人の力だけではない。


この世界を生き抜くために積み重ねてきた経験。


そして。


仲間を信じる連携。


その二つが《白銀戦線》の強さを支えているのだと改めて実感した。


「……さて」


アイスが俺たちへ向き直る。


「見せたい場所はまだあるがその前に少し休もう」


「ありがとうございます!」


たるとが笑顔で頭を下げた。


サイオンが勢いよく手を挙げる。


「じゃあ会議室へ案内するッス!」


「こちらッスよ!」


アイスたちは拠点の奥へ歩き始める。


俺たちもその後に続いた。


訓練場を抜け。


宿泊施設の横を通り。


岩壁を利用して造られた建物へ入る。


中には長机と椅子が並べられた広々とした部屋があった。


そして。


そこにはすでに数人の《白銀戦線》のメンバーが待っていた。


以前ダンジョンで共に戦った者たちの姿もある。


俺たちに気付くと。


軽く手を挙げたり。


笑顔で頭を下げたりしてくれた。


「ここが会議室だ」


アイスが静かに告げる。


「作戦会議やギルドの方針を決める時はいつもここを使っている」


俺は室内を見渡す。


装飾はほとんどない。


必要なものだけが置かれた質実剛健な空間。


それもまた《白銀戦線》らしい。


たるとは椅子へ腰を下ろしながら小さく笑う。


「改めまして」


「今日はよろしくお願いします!」


「ああ」


アイスは頷いた。


「僕たちが知っていることならできる限り話そう」


俺たちも長机を挟み。


《白銀戦線》の仲間たちと向かい合うように席へ着く。


たるとは一度だけ小さく息を吸った。


ここから話すのは《王虎の牙》が歩み始めた、新たな未来のこと。


そして。


その未来へ向けた大切な相談だった。


こうして《白銀戦線》との話し合いが始まった。

最後まで読んでいただきありがとうございました!


今回は《白銀戦線》との再会と、拠点見学のお話でした。


次回は王虎の牙が始めた街づくりについてアイスたちへ相談します。


次回もよろしくお願いします!

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