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第2話 約束の場所へ

街作りを始めてから、数日が経った。


俺は集落の中央から周囲を見る。


増えた家。


広がり始めた畑。


整備されていく水路。


少しずつ変化していく景色。


ここはもう。


ただ暮らすためだけの場所ではない。


これから多くの人が暮らす場所になる。


守るべき場所になる。


「……。」


俺は周囲を見る。


仲間が増えた。


守るものも増えた。


だからこそ。


考えなければならないことも増えている。


戦闘なら分かる。


相手の動き。


攻撃の癖。


勝つための方法。


でも。


街を作ることは戦いとは違う。


必要なのは力だけではない。


「難しい顔してるね。」


声に振り返る。


そこには、たるとがいた。


「考え事してた。」


「街作り?」


「うん。」


たるとは俺の隣に立つ。


そして。


同じように集落を見る。


「考えることがいっぱいありますね。」


「家のこと。」


「食料のこと。」


「これから増える人達のこと。」


たるとは少し困ったように笑う。


でも。


その表情に迷いはなかった。


「でも。」


「楽しいです。」


「みんなで新しい場所を作っているから。」


その言葉に。


俺は少し笑う。


たるとらしい。



その日の昼。


集会所には、街作りについて話し合うために仲間達が集まっていた。


「現状、大きな問題はない。」


ゴウマが地図を見ながら話す。


「ただ。」


「この先、街を目指すなら経験が必要になる。」


「住居の管理。」


「食料の確保。」


「防衛設備。」


「人が増えた時の仕組み。」


一つずつ整理していく。


「戦うことなら慣れているが…。」


ガンテツが腕を組む。


「暮らす場所を大きくするってのは別の話だな。」


その時。


たるとが声を上げる。


「あの。」


「アイスさん達との約束がありましたよね?」


「約束?」


リンファが首を傾げる。


「白銀戦線の拠点へ遊びに行く約束です。」


俺も思い出す。


白銀戦線のアイス。


そしてサイオン。


以前、拠点に遊びに来てほしいと言っていた。


「うむ。ちょうどいいんじゃないか?」


ゴウマが言う。


「白銀戦線は街を作っているわけじゃない。」


「だが、大規模ギルドとして拠点を運営している。」


「防衛設備や管理方法は参考になるはずだ。」


たるとは頷く。


「アイスさん達にも会いたいです。」


「それに。」


「街作りのために、色々勉強したいです。」



問題は。


誰が行くかだった。


街作りを始めたばかり。


全員で移動するわけにはいかない。


「私が行きます。」


たるとが言う。


「ギルドマスターとして。」


「ちゃんと見てきたいです。」


「私も行く。」


俺は答える。


たるとの護衛。


それが俺の役目だ。


「俺も同行する。」


ゴウマが続く。


「運営を見るなら、俺も見ておきたい。」


「私も行きます。」


シズルが手を上げる。


「生活面で参考になることがありそうです。」


「なら俺もだ!」


ガンテツが豪快に笑う。


「大きな拠点を見る機会なんて滅多にねぇからな!」


そして。


「俺も行く。」


バレットが言った。


全員が見る。


「何だよ。」


「別に。」


「久しぶりに顔を出すだけだ。」


そう言うが。


少しだけ嬉しそうだった。



残る仲間達にも話をする。


「留守番か。」


ハヤテが笑う。


「まあ。」


「たまには守る側も悪くないな。」


「お願いします。」


たるとが頭を下げる。


「任せて。」


リンファが頷く。


「たるとさんがいない間。」


「私達が守ります。」


ノエルも続く。


以前なら、一人で背負おうとしていたノエル。


でも。


今は違う。


仲間を信じて任せられる。


「街作りは任せて~。」


セリアが手を上げる。


「設備とか便利なもの、色々考えておくね~。」


「私は研究所で研究を進めます。」


モルフォも静かに頷く。


「街に役立つ研究を行います。」


それぞれが。


自分の役割を理解している。



次の日。


準備を終える。


今回は戦いに行くわけではない。


約束していた友人達に会いに行く。


そして。


これからの王虎の牙に必要なものを探しに行く。


「楽しみですね。」


たるとが笑う。


「アイスさん達、元気かな。」


「サイオンは騒がしいと思う。」


俺が言うと。


たるとは笑った。


「確かに。」


俺は最後に集落を見る。


ここは仲間達が守る。


そう信じられる。


「行こう。」


「白銀戦線へ。」


こうして。


俺達は。


約束していた友人達の元へ向かった。

今回も読んでいただきありがとうございます。


今回は白銀戦線へ向かう準備と出発のお話でした。


街作りを始めた王虎の牙。


これから多くの人が暮らせる場所を作るために、他のギルドから学ぶことを決めました。


次回はいよいよ白銀戦線の拠点へ。


アイス達との再会を楽しみにしていただけたら嬉しいです。


次回もよろしくお願いします。

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