第1話 加入
第1章では小さな集落だった王虎の牙が、たるとの「楽しく暮らせる場所を作りたい」という想いから、少しずつ仲間を増やしていく物語でした。
バレット。
鉄球戦団。
白銀戦線。
モルフォ。
ノエル。
様々な出会いを経て王虎の牙は、ただのギルドではなく、誰かが帰ってきたいと思える場所へ変わっていきました。
そして第2章。
今度は、その居場所をもっと大きくしていく物語です。
街作り。
新しい仲間との出会い。
新たな脅威。
小さな集落から始まった場所は、どこまで成長していくのか。
王虎の牙の新たな挑戦を楽しんでいただけたら嬉しいです。
それでは、第2章「建国編」開幕です。
王虎の牙の集落。
朝。
鳥の鳴き声が聞こえる。
畑では住民達が作業をしている。
水路を流れる水の音。
家々から聞こえる笑い声。
「ガウ!」
満面の笑みでたるとが手を振る。
俺はたるとの横に立つ。
「いよいよだね。」
俺が呟く。
たるとがこちらを見る。
「はい!」
「始めます!」
迷いのない目だった。
たるとは誰かを助ける少女だった。
今は違う。
守る場所を作る者になろうとしている。
「簡単ではない。」
俺は言う。
「人が増えれば問題も増える。」
「敵も現れるかもしれない。」
たるとは笑った。
「一人じゃないですから。」
その言葉に。
俺は少しだけ目を細める。
「……そうだね。」
◇
集会所。
街作りのための最初の会議が始まった。
集まったのは。
王虎の牙のメンバー。
バレット。
モルフォ。
ノエル。
ガンテツ率いる《鉄球戦団》。
「まず確認する。」
ゴウマが地図を広げる。
「街を作るなら、必要なものは増える。」
「住居。」
「食料。」
「防衛設備。」
「交易場所。」
一つずつ説明していく。
たるとは真剣に聞いていた。
「大変ですね。」
シズクが呟く。
「はい。」
たるとは頷く。
「でも。」
「やります!」
その言葉を聞いて。
俺は少し笑った。
やっぱり。
たるとは変わらない。
たるとは静かに聞く。
怖くないわけではない。
でも。
「……だからこそ」
「守れる場所にしたいです」
「困っている人が来た時」
「安心して助けられる場所にしたいです」
ゴウマは笑った。
「分かった」
「それが王虎の牙だな」
◇
「一ついいか?」
豪快な声が響く。
ガンテツだった。
「はい!」
たるとが返事をする。
ガンテツは仲間達を見る。
そして。
大きく笑った。
「俺達《鉄球戦団》総勢10名!」
「正式に王虎の牙へ加入させてもらいたい!」
一瞬。
集会所が静かになる。
「……え?」
たるとが目を丸くする。
ガンテツは笑う。
「最初に会った時から思ってた。」
「嬢ちゃん達は、ただ生き残るために集まってるんじゃねぇ。」
「誰かと一緒に生きるために、ここを作ってる。」
拳を握る。
「俺はそういう場所が好きだ。」
「これからは友好ギルドじゃなく、同じ仲間として力を貸したい」
たるとはしばらく黙る。
そして。
笑顔になる。
「ありがとうございます!」
「よろしくお願いします!」
ガンテツは豪快に笑う。
「任せろ!」
「街作りなら、俺達の力を存分に使ってくれ!」
こうして。
《鉄球戦団》は正式に王虎の牙の一員となった。
◇
その様子を見ていたバレット。
静かに立ち上がる。
「……。」
「俺も。」
全員が見る。
バレットは少し視線を逸らした。
「正式に加入させてほしい。」
たるとが目を丸くする。
「バレットさん……。」
「勘違いするな。」
「助けてもらったからだけじゃない。」
バレットは集落を見る。
「ここで過ごして。」
「飯を食って。」
「誰かと話して。」
「悪くなかった。」
少し間を置く。
「……いや。」
「好きになった。」
俺は思わず笑う。
「ようやくだな。」
「うるさい。」
バレットは睨む。
でも。
その表情は以前とは違っていた。
「よろしくお願いします。」
たるとが笑う。
「はい!」
◇
「私も。」
次に声を上げたのはモルフォだった。
「正式加入をお願いします。」
モルフォは周囲を見る。
「皆さんは私を受け入れてくれた。」
「能力ではなく。」
「私自身を見てくれた。」
「だから。」
「今度は、この場所のために力を使いたいです。」
たるとは笑った。
「もちろんです。」
「一緒に街を作りましょう。」
◇
最後に。
ノエルが立ち上がる。
「私も。」
「お願いがあります。」
ノエルは真っ直ぐたるとを見る。
「私を、王虎の牙の仲間にしてください。」
「私は。」
「守ることしかできないと思っていました。」
「ですが。」
ノエルは集落を見る。
「ここでは。」
「守るだけではなく。」
「一緒に未来を作れる。」
「そう感じました。」
「それに私の仲間達もきっと同じ事を言ったと思います。」
「私も、この場所を守りたいです。」
たるとは笑顔で頷いた。
「よろしくお願いします。」
「はい!」
◇
その日。
王虎の牙は変わった。
小さな集落を守るギルドから。
未来を作るための仲間達へ。
俺は空を見上げる。
これから。
きっと多くの問題が起こる。
敵も現れる。
失うものもあるかもしれない。
それでも。
「……。」
俺は思う。
ここなら。
乗り越えられる。
「始まったな。」
たるとが俺を見る。
「はい!」
笑顔で答える。
「ここからです!」
小さな集落。
それは今日。
街になるための一歩を踏み出した。
第2章第1話でした!
第1章のテーマは、「仲間を集める物語」でした。
最初は、たるととガウ達だけだった小さなギルド。
そこにバレットが加わり。
ガンテツ達と出会い。
白銀戦線と繋がり。
モルフォやノエルとも出会いました。
そして今回。
ガンテツ達、バレット、モルフォ、ノエルが正式に王虎の牙の仲間となりました。
王虎の牙は、これまでの「小さな集落を守る場所」から「みんなで未来を作る場所」へ変わっていきます。
第2章では街作り・防衛・交易・新たな出会い。
そして、やがて国へと繋がる大きな物語になっていく予定です。
もちろん。
簡単に街が完成するわけではありません。
困難や敵との戦いも待っています。
でも、たるとが作りたいと思った場所は一人ではなく、仲間達と一緒だからこそ作れるものだと思っています。
次回は白銀戦線ギルドへの訪問になります。
第2章も楽しんでいただけたら嬉しいです。
これからも王虎の牙の物語をよろしくお願いします。




