第23話 重装騎士
冷たい石の床。
暗い空間。
ガウは周囲を確認する。
見覚えのない場所。
ダンジョン内に転移させられたようだ。
シズクが安心したように息を吐く。
「たるとさんと一緒に転移できたのは、不幸中の幸いです。」
「みんなは……。」
たるとが不安そうに周囲を見る。
「分からない。」
俺は首を振る。
「他の場所へ飛ばされた可能性が高い。」
たるとは少し俯く。
でも。
すぐに顔を上げた。
「探しましょう。」
「みんなを。」
いつものたるとだった。
「……ああ。」
俺は頷く。
「そのためにも、まずはここを調べる。」
◇
三人で探索を開始する。
幸い。
今のところ魔物の姿はない。
しかし。
不気味なほど静かだった。
「変ですね。」
シズクが周囲を見る。
「ダンジョンなのに、魔物の気配がほとんどありません。」
「罠の影響かもしれない。」
俺は壁を見る。
古い石壁。
傷跡。
何かの文字。
その時だった。
ガキィィン!!
遠くから音が響く。
全員が止まる。
金属音。
誰かが戦っている。
「誰かいます!」
シズクが杖を構える。
「行きましょう!」
たるとが言う。
「待て。」
俺は手で制する。
慎重に進む。
だが。
音の主が敵なら。
放置する理由もない。
◇
長い通路の先。
少し広い空間があった。
ドォン!!
大きな衝撃音。
「……。」
通路から中を見る。
そこにいたのは。
一人の少女。
重厚な鎧。
巨大な盾。
全身を守る鉄壁の装備。
重装騎士。
しかし。
その表情には疲労が浮かんでいた。
目の前には巨大な魔物。
少女は何度も攻撃を繰り返す。
だが。
ガキィン!!
剣は弾かれる。
傷一つ付かない。
「……。」
俺は理解する。
防御は完璧。
生き残る力はある。
でも。
攻撃力が足りない。
その時。
巨大な魔物が腕を振り上げる。
少女へ向かって。
「ガウ!」
たるとが叫ぶ。
俺は《朧》へ手を掛けた。
次の瞬間。
走り抜け、魔物の攻撃を受け流す。
「大丈夫?」
少女が驚いた顔をする。
「ありがとうございます!」
そして。
未知のダンジョンで。
俺達は一人の重装騎士と出会った。
ダンジョンで出会った重装騎士の少女。
次回は重装騎士の少女目線で描いていきます。




