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第21話 未知のダンジョン

白銀戦線が集落を後にしてからすっかり日も落ちて暗くなっていた。


モルフォの研究所からは、時々奇妙な音が聞こえてくる。


「大丈夫なのか、あれ。」


俺が研究所の方を見る。


「大丈夫……だと思います。」


たるとは少し不安そうに笑った。


その時。


集会所に集まった俺達の前で、ゴウマが地図を広げる。


「今回の目的地は、白銀戦線が発見した新しいダンジョン。」


「場所は草原を越えた先の沼地だ。」


「まだ内部情報は少なく、危険度は未知だ。」


全員が真剣な表情になる。


「攻略メンバーを決める。」


ゴウマが続ける。


「前衛はガウ、ハヤテ。」


「バレットは後方支援。」


「シズクは――」


「私はここに残ります。」


シズクが即答する。


「たるとさんの護衛が必要ですから。」


その瞬間。


「私も行きます!」


たるとの声が響いた。


静寂。


「……。」


全員がたるとを見る。


「……え?」


たるとは首を傾げる。


「私も行きたいです。」


「みんなが危険な場所へ行くのに、私だけ待っているのは嫌です。」


「それに……。」


少し照れくさそうに笑う。


「久しぶりに、みんなでダンジョン攻略したいなーって……えへへ。」


その言葉に。


俺達は顔を見合わせた。


そして。


「ダメ。」


「駄目だ。」


「危険すぎます。」


「絶対に駄目です。」


綺麗に意見が揃った。


「えぇ!?」


たるとが驚く。


「なんでですか!?」


「なんでじゃない!」


ゴウマがため息を吐く。


「たるとは戦闘向きの能力ではない。」


「だからこそ、守る役が必要になる。」


「でも!」


たるとは拳を握る。


「私だって王虎の牙の一員です!」


「みんなだけ危険な場所に行くのは嫌です!」


その表情はいつもの笑顔ではなかった。


本気だった。


「……。」


俺は少し考える。


たるとは戦えない。


でも。


誰よりも仲間を想っている。


だからこそ、ここにいる。


「困ったな。」


リンファが微笑んだ。


「なら、こうしましょう。」


全員がリンファを見る。


「私とセリアが集落に残る。」


「え?」


たるとが振り返る。


「住民のみんなを守る人も必要でしょう?」


セリアが眠そうに頷く。


「研究所も気になるしねぇ。」


「モルフォ君が暴走しないように見ておくよー。」


「それは助かる。」


ゴウマが苦笑する。


リンファは続ける。


「たるとちゃん。」


「あなたが行きたいなら、行ってきなさい。」


「でも。」


優しく笑う。


「絶対に無茶はしないこと。」


たるとは目を輝かせる。


「はい!」


「約束します!」


「シズク。」


リンファが声をかける。


「たるとちゃんのこと、よろしく頼むね。」


「えぇ!」


シズクが胸を張る。


「私の結界術の前では、どんな攻撃も無意味です!」


俺は小さく息を吐いた。


「……分かった。」


「みんなで守る。」


たるとは嬉しそうに笑う。


「ありがとうございます!」


こうして。


王虎の牙は初めて。


ギルド全員ではないが、大規模な共同攻略へ挑むことになった。


翌日。


俺たちは待ち合わせ場所である草原へ向かっていた。


広大な草原。


青い空。


穏やかな風。


いつもなら狩りや素材集めで訪れる場所だが、今日は違う。


目的は――。


新たなダンジョン攻略。


「来たッスね。」


先に到着していた白銀戦線のメンバーが手を振る。


銀髪の青年。


サイオンだった。


その隣にはアイス。


そして白銀戦線の仲間達。


「お待たせ。」


俺が声をかける。


サイオンは王虎の牙の人数を見回した。


「……。」


「思ったよりいっぱい来たッスね。」


「ギルドマスターまでいるとは思わなかったッス。」


たるとは笑顔で頭を下げる。


「よろしくお願いします!」


「みんなと一緒に冒険したかったので!」


その返事に、アイスが小さく笑う。


「面白いギルドマスターだ。」


「え?」


「いや。」


アイスは首を振る。


「悪い意味ではない。」


「君のような存在がいるから、王虎の牙は強いのだろう。」


たるとは少し照れたように笑った。


「ありがとうございます!」


「では。」


アイスが周囲を見る。


「出発しよう。」



草原を越える。


さらに奥へ。


次第に景色が変わっていく。


緑の草原。


木々。


そして。


湿った空気。


やがて。


視界の先に広がったのは――。


黒い水。


濃い霧。


足元のぬかるんだ大地。


「沼地……。」


バレットが呟く。


「この先にあるッス。」


サイオンが指差す。


霧の向こう。


巨大な岩壁。


その中央に、大きな穴が開いていた。


「ここが……。」


ハヤテが笑う。


「新しいダンジョンってわけか。」


アイスが頷く。


「正式な名前はまだない。」


「発見されたばかりだからな。」


洞窟の入口から、冷たい風が吹き抜ける。


「内部構造も不明。」


「何がいるかも分からない。」


「だからこそ。」


アイスは全員を見る。


「油断はしないでくれ。」


「了解。」


ゴウマが頷く。


「隊列を組む。」


「前衛はガウ、ハヤテ。」


「中衛に俺。」


「後衛はたると、シズク、バレット。」


「白銀戦線もそれぞれ配置を頼む。」


全員が武器を確認する。


剣。


弓。


杖。


拳。


そして。


「準備完了。」


アイスが告げる。


「行こう。」


こうして。


王虎の牙と白銀戦線。


二つのギルドによる初めての共同攻略が始まった。


未知のダンジョンへ。


俺たちは足を踏み入れる。

次回からは、いよいよ新ダンジョン探索!


新しい出会いも待っていますので、楽しみにしていてください!


第22話もよろしくお願いします!

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