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第20話 広がる縁

仲間が増えるよやったね!

モルフォが集落に来てから三日。


王虎の牙の集落では、新たな建物が完成していた。


集落から少し離れた岩壁。


そこに作られた小さな研究所。


「完成です!」


大工NPCが笑顔で言う。


「おぉ……。」


モルフォは目を輝かせながら建物を見上げていた。


岩壁の一部を利用した研究施設。


入口には頑丈な扉。


内部には研究用の机。


素材を保管する棚。


そして、虫たちを安全に管理するための専用スペース。


「ここなら……。」


モルフォは小さく呟く。


「誰にも迷惑をかけずに研究できます。」


その表情は、今まで見せたことがないほど嬉しそうだった。


「ただし。」


俺は指を一本立てる。


「約束は忘れないでね。」


「虫を絶対に外へ逃がさないこと。」


「はい!」


モルフォは真剣に頷いた。


「絶対に守ります!」


「あと。」


少し間を置く。


「私に虫を近付けないこと。」


「……はい。」


モルフォは少しだけ苦笑した。


その様子を見て、バレットが笑う。


「仲良くなるには時間がかかりそうだな。」


「虫が平気なら、すぐ仲良くなれるんですけど。」


「そこが問題なんだよ。」



その日の午後。


集落へ戻ると。


「お客さんが来ています。」


NPCが知らせてくれた。


門の前には、見覚えのある集団がいた。


青髪の青年。


銀髪の青年。


そして白銀戦線のメンバー。


「アイス。」


俺が声をかける。


「ガウ。」


アイスは軽く頭を下げた。


「約束通り、挨拶に来た。」


「来てくれてありがとう。」


その横でサイオンが笑う。


「いい場所ッスね!」


「思ってたよりずっと温かい雰囲気ッス!」


たるとが駆け寄る。


「ようこそ!」


「王虎の牙へ!」


「好きなだけ見ていってください!」


いつもの笑顔だった。



集会所。


王虎の牙の幹部と白銀戦線のメンバーが集まっていた。


「改めて。」


アイスが口を開く。


「先日の件では助かった。」


「こちらこそ。」


ゴウマが答える。


短い会話の後。


アイスは本題へ入った。


「実は、報告がある。」


全員が耳を傾ける。


「我々の拠点近くに新たなダンジョンが発見された。」


「ダンジョン?」


ハヤテが興味を示す。


「ああ。」


アイスは頷く。


「まだ詳しい情報は少ない。」


「だが、内部には強力な魔物の反応が確認されている。」


サイオンも続ける。


「我々でも調査を進めてるッスけど。」


「未知の部分が多すぎるッス。」


「そこで。」


アイスが俺達を見る。


「王虎の牙に協力をお願いしたい。」


「一緒に攻略へ向かってほしい。」


その提案に、少し驚く。


だが。


アイスはさらに続けた。


「そして、もう一つ。」


「私達は。」


「王虎の牙と同盟を結びたい。」


静かになる。


「同盟……。」


ゴウマが確認する。


「ああ。」


アイスは頷いた。


「今回だけではない。」


「これから先も、互いに助け合える関係を築きたい。」


「君達は強い。」


「だが、それ以上に信頼できる。」


その言葉に、俺は少し笑う。


「こちらこそ。」


「よろしく。」


たるとは満面の笑みを浮かべた。


「はい!」


「仲間が増えるのは嬉しいです!」


こうして。


王虎の牙と白銀戦線。


二つのギルドは正式に同盟関係となった。


集落には珍しく、多くのプレイヤーが集まっていた。


「今日は賑やかですね。」


リンファが笑う。


白銀戦線のメンバー。


王虎の牙。


二つのギルドが同じ場所にいる。


その時だった。


「おーい!!」


聞き覚えのある豪快な声。


「嬢ちゃん!!」


「飯食いに来たぞ!!」


「……。」


全員が入口を見る。


そこにいたのは。


巨大な熊獣人。


「ガンテツさん!」


たるとの顔が明るくなる。


「はっはっはっ!」


「近くまで来たから寄っただけだ!」


「絶対ご飯目的ですよね?」


シズクが即座にツッコむ。


「……半分はそうだ!」


「認めた。」


いつもの空気。


しかし。


ガンテツの後ろにいた仲間達が、白銀戦線を見て動きを止める。


「……。」


「まさか。」


アイスも目を見開いた。


「ガンテツ。」


「アイスか。」


一瞬の沈黙。


そして。


「久しぶりだな!」


「元気そうで何よりだ。」


二人は笑った。


「昔、攻略組で一緒に戦った仲だからな。」


ガンテツが説明する。


「まさか、こんな場所で会うとは思わなかった。」


サイオンも笑う。


「世界って狭いッスね。」


アイスは集落を見る。


畑。


家。


笑顔のNPC達。


「……なるほど。」


「君がここにいる理由が分かった。」


ガンテツは笑う。


「いい場所だろ?」


「悪くない。」


アイスは小さく笑った。


王虎の牙。


鉄球戦団。


白銀戦線。


三つのギルドが同じ場所に集まる。


その中心には。


いつも通り、たるとの笑顔があった。


「今日はみんなでご飯です!」


「おう!」


「賛成ッス!」


「異論はない。」


集落には、いつもより少し大きな笑い声が響いていた。

次回は白銀戦線とダンジョン攻略!

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