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第2話 凸凹コンビ

メンバー紹介も兼ねて日常回が続きます!

「ただいま」


東の畑の見回りを終え、俺は集落へ戻ってきた。


畑を荒らしていたウルフの群れは無事に追い払った。


被害もほとんどなく、これなら農作業にも支障は出ないだろう。


「セリアさん!」


集落の入り口へ近づいたところで、大きな声が聞こえてきた。


「聞いてるんですか!?」


「聞いてるよー」


「絶対聞いてませんよね!?」


どうやら今日も平和らしい。


苦笑しながら、俺は声のする方へ向かう。


そこにいたのは、予想どおりの二人だった。


木箱に腰掛けてぼんやりと空を見上げるセリア。


その隣で頭を抱えるシズク。


「あ、ガウ」


セリアがひらひらと手を振る。


一方のシズクは、助けを求めるような視線を向けてきた。


「聞いてください、ガウさん」


「どうした?」


「セリアさんが見張り中なのに、ずっと空ばかり見てるんです!」


「だって今日は雲の形が面白いんだもん」


「それは見張りとは言いません!」


「ちゃんと見てるよ?」


「どこをですか!」


「空」


「空じゃなくて周囲を見てください!」


セリアは不思議そうに首を傾げた。


「でも、空も周囲の一部じゃない?」


「違います!」


即答だった。


「ガウはどう思う?」


急に話を振られる。


「私に聞く?」


「うん」


「まあ……見張りではないかな」


「ほら!」


シズクが勝ち誇ったような表情を浮かべる。


セリアは分かりやすく肩を落とした。


「味方がいなくなった……」


絶対に演技だ。


「そもそもですね」


シズクは真面目な表情で続ける。


「見張りは集落の安全を守る大切な仕事なんです」


「分かってるよー」


「本当に分かってますか?」


「分かってるって」


「なら、どうしてさっき『あの雲、お肉に見える』なんて言ってたんですか!」


「お腹空いてたから」


「理由になってません!」


思わず吹き出しそうになる。


「ちなみにシズクは何に見えたの?」


「え?」


「雲」


「私は別に見てません」


「『あっちは盾みたいですね』って言ってたのに?」


「言ってません!」


「『こっちは剣ですね』って」


「言ってませんってば!」


耳まで真っ赤になるシズク。


どうやら図星らしい。


「……仲良いな、お前ら」


「良くありません!」


「仲良しだよー」


「違います!」


見事なくらい息が合っていた。


「ガウもそう思うよね?」


「まあ、傍から見ればそう見えるかな」


「ほらー」


「ほらー、じゃありません!」


シズクがじたばたと抗議する。


セリアはそんな様子を見て、楽しそうに笑っていた。


正反対の二人だった。


シズクは真面目で一直線。


セリアは自由でマイペース。


だからこそ、不思議と息が合うのかもしれない。


「そういえば、ガウ」


「ん?」


「ウルフはどうだった?」


「もう大丈夫。しばらくは近づいてこないと思う」


「怪我は?」


「ないよ」


「ならよかった」


セリアが安心したように頷く。


隣のシズクも、ほっと胸をなで下ろした。


「無茶はしないでくださいね」


「分かってる」


「ガウ、たまに無茶しますから」


「否定できないかも」


「ですよね」


シズクが小さくため息をつく。


「ガウは昔からそういうところあるよねー」


「昔って、そんな長い付き合いじゃないでしょ」


「もう二年だよ?」


そう言われて、俺は少しだけ空を見上げた。


二年。


長いようで、短い時間だった。


この世界がデスゲームになってから二年。


失ったものもある。


諦めたものもある。


だけど――


帰る場所ができた。


笑い合える仲間ができた。


それだけで十分だった。


「私は報告してくるよ」


「あ、じゃあ私も行くー」


セリアが立ち上がる。


「セリアは見張りです!」


「えー」


「えー、じゃありません!」


また始まった。


思わず笑みがこぼれる。


今日も《王虎の牙》は平和だった。


笑い声が絶えない、この小さな集落は。


少なくとも――


シズクの苦労がなくなる日は、まだまだ来そうになかった。

ここまで読んでいただき、ありがとうございました!


今回は、セリアとシズクの凸凹コンビを中心に、王虎の牙の日常を描いてみました。


真面目なシズクと、自由奔放なセリア。この二人の掛け合いは、書いていてとても楽しかったです。


次回も引き続き日常回となりますが、少しずつ新しい仲間や出来事も増えていきますので、楽しみにしていただけると嬉しいです。


よろしければ感想や評価、ブックマークなどで応援していただけると励みになります!


それでは、また次回お会いしましょう!

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