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第1話 最果ての小さな集落

人生初の小説投稿です。

よろしくお願いいたします。

「ガウー! 朝ですよー!」


聞き慣れた声に俺はゆっくりと目を開けた。


木造の天井。


窓から差し込む朝日。


外から漂ってくる焼きたてのパンの香り。


そして――


「ガウー! 起きてますかー?」


「起きてるってば」


小さくあくびをしながら俺はベッドから身を起こした。


部屋の隅に置かれた鏡へ視線を向ける。


そこに映っているのは茶色のショートヘアに赤い瞳を持つ小柄な狼獣人の少女。


頭には狼耳が生え、腰の後ろではふさふさとした尻尾がゆるやかに揺れている。


誰が見ても愛らしい少女だ。


もっとも――


「……中身は男なんだけどな」


この姿にもすっかり慣れてしまった。


皆から二年間も可愛いと言われ続けたせいか、今ではこの姿で振る舞うことにもほとんど抵抗がない。


そうだ。


あれからもう二年になるのか。


二年前――


フルダイブ型VRMMORPG『ファンタズマ・ゲイト』は突如としてデスゲームへと変貌した。


ログアウトはできない。


ゲーム内で命を落とせば現実でも死ぬ。


あの日、多くのプレイヤーが絶望した。


俺もその一人だった。


それでも――


「おはようございます!」


扉を開けると小柄な虎獣人の少女が笑顔で立っていた。


ぴこぴこと動く虎耳。


嬉しそうに揺れる尻尾。


そして人を安心させるような柔らかな笑顔。


「おはよう、たると」


《王虎の牙》のギルドマスター。


たると。


前線で戦うことはできない。


それでも不思議と誰もがついていきたくなる。


そんな少女だ。


「朝ごはんできてますよ!」


「今日は何?」


「パンと野菜スープです!」


「朝から豪華だね」


「頑張りました!」


えへへ、と胸を張るたると。


その笑顔を見ているだけで不思議と肩の力が抜ける。


きっとそれは俺だけではない。



《王虎の牙》。


それが俺たちの所属するギルドの名だ。


拠点は第一階層の最果てにある小さな集落。


住民のほとんどはNPCで、プレイヤーは俺たち《王虎の牙》のメンバーしかいない。


城壁はない。


立派な施設もない。


あるのは木造の家と畑――そして仲間たちの笑顔だけ。


「きゃっ!?」


突然、何かが割れる音が食堂に響いた。


「たると!?」


振り返ると床には砕け散った皿の破片。


その中央でたるとが申し訳なさそうに固まっていた。


「ご、ごめんなさい……」


「怪我は!?」


「手、切ってないか!?」


「動くな、破片を踏むぞ!」


ハヤテとゴウマが慌てて駆け寄る。


たるとは急いで両手を見せた。


「だ、大丈夫です!」


「本当か?」


「はい!」


「ならいい」


ゴウマは安堵したように息を吐く。


ハヤテもほっと肩の力を抜いた。


「危ないから気をつけようぜ」


「ありがとうございます」


「でも……今日だけで三枚目です……」


「今日だけで!?」


しゅん、と虎耳が垂れる。


その様子がおかしくて俺は思わず吹き出した。


「まあ、生きてるなら問題ない」


「問題ありますよ……」


「私は皿よりたるとの方が大事だね」


「比較対象がおかしいだろ」


ハヤテが呆れたように笑う。


その瞬間、食堂は笑い声に包まれた。



二年前――この世界は地獄だった。


仲間を失った者もいる。


未来を諦めた者もいる。


この小さな集落だっていつ壊れてしまうか分からない。


それでも――


ここには笑顔がある。


帰る場所がある。


守りたいと思える仲間がいる。



「そういや、北の森にゴブリンが出たらしいぞ」


ハヤテがパンをかじりながら言った。


ゴウマは手にしていたパンを置き、ハヤテを見る。


「ハヤテ、ゴブリンを頼む」


「了解」


ハヤテが軽く返事をする。


「ロウガから東の畑の方にはウルフが出たって相談もあったぞ」


「ウルフは私が見てくる」


俺は席を立った。


「無理すんなよ」


「そっちこそな」


「二人とも気を付けて行ってくるんだぞ」


ゴウマが腕を組みながら言う。


俺たちには明確な担当が決まっているわけではない。


必要なことをできる者がやる。


今の《王虎の牙》はそれで上手く回っていた。


「じゃ、行ってくる」


「いってらっしゃい!」


たるとの笑顔に見送られながら俺は集落の外へと向かった。


《王虎の牙》の一員として仲間を守るために。


この小さな集落と、ここにある皆の笑顔を守るために。


この時の俺はまだ知らない。


この最果ての小さな集落が多くの仲間たちを迎え入れ――


やがて誰もが憧れる大きな街へと成長していくことを。


けれど今はただ一つだけ願っていた。


――この笑顔を、誰一人失いたくない。

ここまで読んでいただきありがとうございました!


今回が人生初の小説投稿ということで緊張しながらの第一話でした。


少しでも楽しんでいただけましたら、これからもガウたちの物語を見守っていただけると嬉しいです。


感想や評価、ブックマークをいただけると励みになります!


それでは、また次回お会いしましょう!

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仮想現実世界から出られなくなって、しかもそこで死んだら現実でも死亡とか…なんだかリアルの方でもとんでもない事態が起きてて、そこと仮想ファンタジー世界側にいるガウたちの協力もどうなっていくかで気になりま…
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