第45話 新しいスキル
数日後。
今日は火曜日の午後9時。
村の広場。
今日は隠しダンジョンを攻略してから、みんなが集まった。
「よし!」
ハヤテが立ち上がった。
「新しいスキル試そうぜ!」
「急ですね」
シズクが言う。
「だって気になるだろ!」
確かに気になる。
数日前。
村の東にあった隠しダンジョンをクリアしたら新しいスキルを手に入れた。
《Rare Skill》。
俺たち八人全員。
しかも。
マルコだけは《Rare Skill》から《Arc Skill》に進化した。
正直。
よく分からない。
「誰からやる?」
ハヤテが俺たちを見る。
「ハヤテからでいいんじゃない?」
「おっ! いいぞ!」
早い。
ハヤテが広場の端へ移動する。
腰を落とす。
「レアスキル――」
「《電光石火》!」
一瞬だけ爆発的に加速するらしい。
「行くぞ!」
ハヤテが地面を蹴る。
シュンッ!!
「速っ――」
ドガッ!!
「いってぇ!!」
木箱に突っ込んだ。
「…………」
かなり速かった。
初見じゃ避けるの無理じゃないか?
「ハヤテさん!?」
たるとが走る。
「大丈夫ですか!?」
「大丈夫!」
木箱の中から手が上がった。
元気そう。
「速いけど止まれねえ!」
「止まる練習をしてください」
シズク。
「そうだな!」
前向き。
次。
「私がやってみます」
シズク。
《シールド》。
半透明の壁が現れる。
「これに……」
シズクが手を向ける。
「レアスキル――」
「《防壁強化》」
壁が光る。
少し厚くなった。
「おお!」
ハヤテが木箱から戻ってくる。
「硬くなった?」
「試してみましょう」
シズクがゴウマを見る。
「ゴウマさんお願いします」
「俺か?」
「はい」
「分かった」
ゴウマが壁の前に立つ。
拳を握る。
「いくぞ」
「お願いします」
踏み込む。
ドンッ!!
壁が揺れる。
だが、割れない。
「おお!」
「すげえ!」
シズクが壁を見る。
「通常の《シールド》よりかなり強度が上がっていますね」
「強いじゃん!」
「ですが」
シズクが自分のMPを見る。
「消費もかなり増えています」
「なるほど」
強いけど。
ずっと使えるわけじゃないらしい。
「次は私~」
セリア。
嫌な予感。
「レアスキル――」
「《魔術操作》~」
「いくよ~」
「《ファイア》~!」
火球。
そのまま前へ飛ぶ。
セリアが指を動かす。
すると、火球が曲がった。
「おお!」
右。
左。
また右。
「曲がる~!」
セリアが楽しそう。
「すごいですね!」
たるとも見ている。
「じゃあ~」
セリアが火球を見る。
「もっと細くしたり~」
形が変わる。
「二つに分けたり~」
「セリアさん」
シズク。
「やめてください」
「まだ何もしてないよ~?」
「今からするつもりでしたよね?」
「うん~」
やっぱり。
「でも」
セリアが火球を消す。
「色々出来そう~」
楽しそうだ。
少し怖い。
「次は私です!」
たるとが手を上げる。
回復魔法に影響するスキルらしい。
「誰かダメージ受けてませんか?」
「俺!」
ハヤテ。
さっき木箱に突っ込んだ。
ちょうどいい。
「じゃあ、ハヤテさん!」
たるとが手を向ける。
「レアスキル――」
「《癒しの波動》」
俺はその近くに立つ。
「《ヒール》!」
光がハヤテを包む。
同時に。
ふわっ。
光が波のように広がった。
俺の身体にも触れる。
「あ」
HP。
少し回復した。
「俺も回復した」
「本当ですか!?」
たるとが俺を見る。
「うん」
「やった!」
嬉しそう。
「一人を回復したら、近くにいる人も回復出来るみたいです!」
「たるとにぴったりだな!」
ハヤテ。
「はい!」
たるとが笑う。
本当に嬉しそうだ。
「次は俺か」
ゴウマ。
みんなが少し離れた。
「なんで離れる?」
「この前揺れたから」
「そうか」
ゴウマも離れる。
「いくぞ!」
「レアスキル――」
足を上げる。
「《震脚》」
ドンッ!!
地面が揺れる。
「うおっ!」
離れてたのに揺れた。
「…………」
「もっと離れてやって」
「ああ」
素直。
ゴウマが地面を見る。
「踏み込んだ力を地面に伝えているのか」
「分かるの?」
俺が聞く。
「なんとなくだがな」
「戦う時にも使えそうだ」
「普通に使いこなしそうだな」
マルコが言う。
「練習はする」
真面目。
「じゃあ次、ガウ!」
ハヤテ。
俺か。
アイテム欄から火薬玉を一つ取り出す。
「それ使うのか?」
「煙が必要だから」
《煙幕操作》。
説明を見る限りだと煙を操れる。
でも。
自分で煙を作れるわけじゃない。
だから。
火薬玉を投げる。
「いくよ」
ボンッ!
煙。
「おお!」
俺は手を向ける。
「レアスキル――」
「《煙幕操作》」
煙が動く。
右。
左。
集める。
薄くする。
「すげえ!」
ハヤテが近づいてくる。
「俺を隠してみろ!」
「なんで?」
「忍者っぽい!」
「俺が忍者なんだけど」
「いいから!」
煙を動かす。
ハヤテを包む。
「おおお!」
見えなくなった。
「すげえ!」
声だけ聞こえる。
「これならゲホッ! 奇襲とかゲホッ! 出来そうだな!」
確かに。
煙があれば戦闘でも使える。
ただ。
煙を新しく作ることは出来ない。
今みたいに火薬玉とかが必要。
ただ……。
煙に慣れないとハヤテみたいに咳をしてしまうかも。
「…………」
でも使い方次第では結構便利だと思う。
「次はリンファ?」
たるとが聞く。
「そうね」
リンファが立ち上がる。
…………。
どこかへ行った。
「何しに行った?」
ハヤテ。
少しして戻ってきた。
手には裁縫道具。
「…………」
「何それ?」
俺が聞く。
「糸」
それは分かる。
リンファが椅子に座る。
何本かの糸を取り出した。
「レアスキル――」
「《操糸術》」
ふわっ。
糸が浮く。
一本。
二本。
三本。
指先を動かす。
糸も動く。
「おお~」
セリアが覗き込む。
リンファはそのまま。
針。
布。
糸を通す。
スルスル。
縫い始めた。
「…………」
「何してるの?」
「裁縫」
即答。
「スキル試すんじゃないの?」
「試してるわよ?」
そうなの?
「これすごいわ」
リンファが楽しそうに糸を動かす。
「手で一本ずつ扱わなくていいもの」
複数の糸。
同時に動いている。
「これなら色々作るのが楽になりそうね」
「戦闘にも使えるかな~?」
セリア。
「戦闘?」
リンファが浮いている糸を見る。
「…………」
少し考える。
「そうね」
一本を指で引っ張る。
「もっと丈夫な糸なら、相手を縛ったりも出来るかも」
物騒だな。
「よし!」
ハヤテ。
「これで全員――」
「俺が残ってるぞ」
マルコ。
「あっ」
忘れてた。
「お前らな!」
マルコが立ち上がる。
《Arc Skill》。
《等価交換》。
俺たちの中でマルコだけが手に入れたスキル。
いや。
正確にはレアスキル《能力分配》が進化した。
レアスキルを使用する前に進化したから使えなかったけど。
「で、何が出来るんだ?」
ハヤテが聞く。
「それを今から試すんだ」
マルコが説明を見る。
「能力を交換出来るらしい」
「交換ですか?」
たると。
「ああ」
マルコがハヤテを見る。
「お前、手伝え」
「俺?」
「一番元気だから」
「おう!」
ハヤテが前へ出る。
「どうする?」
「俺のパワーと、お前のスピード」
「交換すんの?」
「一部だけな」
「面白そう!」
マルコがハヤテに触れる。
「《等価交換》」
光が二人を包む。
「…………」
「お?」
ハヤテが自分の手を見る。
拳を握る。
「なんか力入る!」
マルコが一歩動く。
「うおっ!?」
速い。
自分で驚いてる。
「これすげえな!」
ハヤテが笑う。
「俺、いつもより力強いぞ!」
「俺は逆に速くなってるな」
マルコが自分の身体を見る。
「能力を入れ替えたの?」
俺が言う。
「みたいだな」
マルコが頷く。
完全に全部じゃない。
一部を一定時間、お互いの能力を交換する。
それが《等価交換》。
「他にも出来るの?」
リンファが聞く。
「多分な」
マルコが説明を見る。
「俺の能力を下げて、その分を誰かに渡すことも出来るみたいだ」
「へえ!」
たるとが笑う。
「マルコさんらしいスキルですね!」
「…………」
マルコがたるとを見る。
「そうか?」
「え?」
「俺らしいか?」
「だって」
たるとが笑う。
「マルコさん、いつも誰かを助けてるじゃないですか!」
「…………」
マルコが黙った。
「だからです!」
「…………そうか?」
「はい!」
「よく分かんねえ」
マルコが頭を掻く。
「でも強そうじゃん!」
ハヤテ。
「俺のスピードもっとやるぞ!」
「いらねえよ!」
「なんで!?」
「扱いづらい!」
「慣れろ!」
「俺のスキルだぞ!?」
また騒いでる。
Rare Skill。
Arc Skill。
よく分からないけど色々出来るようになった。
それから。
俺たちはしばらく新しいスキルを試した。
気付けば結構いい時間になっていた。
「そろそろ落ちる」
マルコ。
「俺も明日仕事だ」
ゴウマ。
「私も明日は学校です」
シズク。
「じゃあ今日は終わりにしますか?」
たるとが聞く。
「そうだな!」
ハヤテ。
「またね~」
セリアが手を振る。
「おやすみ」
リンファ。
俺もメニューを開く。
「じゃあ、また」
「はい!」
たるとが笑う。
「また遊びましょう!」
「うん」
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