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第37話 次のアップデート

今日は金曜日。


ハヤテと狩りに出掛けてから久しぶりのログイン。


現在の時刻は午後九時。


「明日休みだ!」


「よかったね」


たまり場にしている家。


中へ入るなりハヤテが元気だった。


「今日は時間気にせず遊べるぞ!」


「月曜日もそんな感じだったよね」


「月曜はちゃんと帰っただろ!」


「…………」


「なんだよ」


「十一時半だったよ」


「誤差だ!」


三十分は誤差らしい。


「二人で何してたんですか?」


たるとが聞いてくる。


「試し斬り!」


「魔物狩ってただけ」


「《白夜》と《黒曜》めちゃくちゃいいぞ!」


ハヤテが腰の二本を叩く。


「《黒曜》で受けて、《白夜》で斬る! 二本あるから出来ることってのが分かってきた!」


「それはよかったですね!」


「ガウも《朧》気に入ってたな!」


「なんでハヤテが言うの?」


「いいじゃねえか!」


家の中には俺。


ハヤテ。


たると。


リンファ。


セリア。


シズク。


そして。


「騒がしいな、お前ら」


マルコ。


いつの間にか普通に混ざっていた。


「マルコもいたんだ」


「さっきからいるわ!」


「そう」


「興味なさすぎだろ!」


マルコがテーブルの上に置いてあった飲み物を手に取る。


最近。


こうやってこの家にいることも珍しくなくなった。


フレンド登録はしていない。


だからログインしているかどうかは分からない。


でも村へ来れば大体いる。


「そういや」


ハヤテが言った。


「次のアップデート見たか?」


「次?」


たるとが首を傾げる。


「またアップデートあるんですか?」


「来週の土曜だってよ!」


「早いですね」


シズクがメニューを開く。


「公式から告知が来ていますね」


「昨日出てたぞ」


マルコが言う。


「知らなかったのか?」


「知らない」


「少しは興味持てよ」


「ゲームしてるから」


「ゲームしてる奴は気になるもんだろ!」


そうなの?


「それで!」


ハヤテが身を乗り出す。


「今回も色々追加されるらしいぞ!」


「何が追加されるんですか?」


「まず!」


ハヤテが指を一本立てる。


「第二階層に新しいクエスト追加!」


「おお~」


セリアが拍手する。


「新しいクエストだ~」


「どんなクエスト?」


「まだ詳細は出てねえ!」


「そうなんだ」


「反応薄くねえ!?」


詳細分からないのにどう反応すればいいんだ?


「第二階層……」


シズクが呟く。


「そういえば、私たちはまだ行っていませんね」


「…………」


「…………」


「…………」


全員止まった。


「そういやそうだな!」


ハヤテが笑った。


「忘れてたの?」


「忘れてねえよ!」


「じゃあなんで行ってないの?」


「…………」


ハヤテが考える。


「何してたっけ?」


「マルコに修行してもらったり」


「おう」


「隣村にお使いに行ったり」


「行ったな」


「武器作ってもらったり」


「作ってもらった」


「魔物狩ったり」


「やったな!」


「色々してたね」


「攻略する気あんのかお前ら」


マルコに言われた。


別にないわけじゃない。


多分。


「次です!」


たるとが楽しそうに告知を見ている。


「ギルド機能に新しい機能が追加されるみたいですよ!」


「何?」


「えっと……」


たるとが読む。


「拠点建築です!」


「建築?」


「ギルド専用の土地を取得することで、拠点となる建物を建築出来るようになります……だそうです!」


「へえ」


建築。


ゲーム内で建物を作れるようになるらしい。


「これ楽しそうですね!」


たるとの目が輝く。


「食いついたな」


マルコが言う。


「だって、自分たちで建物を作れるんですよ!」


「そうみたいだね」


「どんな建物でも作れるんでしょうか!」


「知らない」


「大きな部屋とか欲しいです!」


もう作る気だ。


「みんなで集まれる場所にして!」


たるとが周りを見る。


「キッチンも作れたらいいですね!」


「料理するの~?」


「したいです!」


「庭も作れるでしょうか!」


「気が早くない?」


「でも楽しそうじゃないですか!」


確かに楽しそう。


「他にもあるわよ」


リンファが言う。


告知を見ている。


「生活スキルの大型アップデートですって」


「生活スキル?」


「裁縫、鍛冶、錬成……色々あるみたいね」


「裁縫!」


たるとがリンファを見る。


俺も見る。


「…………」


リンファが黙った。


「リンファ?」


「大型アップデート……」


「聞こえてる?」


「ガウ」


「何?」


リンファが微笑む。


「楽しみにしててね」


「嫌」


「まだ何も言ってないわよ?」


「絶対ろくなことじゃない」


また服を作られそう。


「錬成もあるんだね~」


今度はセリア。


「セリアも食いついた」


「魔法に使えないかな~?」


「使えるの?」


「分かんない~」


「じゃあなんで?」


「楽しそうだから~」


「鍛冶もかなり変わるみたいね」


リンファが告知を眺める。


「作れる装備の種類が増えて、素材の組み合わせも増えるみたい」


「ダグラス喜びそうだな!」


ハヤテが言う。


「NPCにも影響あるのかな?」


「どうだろうな」


マルコが腕を組む。


「ここの連中、プレイヤーと同じように色々やるからな」


確かに。


ロウガや村の人たち。


隣村のダグラス。


普通に生活している。


アップデートしたら何か変わるんだろうか。


「最後は……」


シズクが告知を下へ動かす。


「魔物の微調整ですね」


「微調整?」


「一部の魔物について、強さ、出現率、行動パターンなどを調整するそうです」


「地味だな!」


「微調整ですから」


「村の周りの奴ら強くならねえだろうな」


マルコが呟く。


「そこ気にするんだ」


「当たり前だろ」


マルコが俺を見る。


「ここ守ってんの俺だぞ」


そうだった。


「まあ、強くなったら強くなったで相手してやるけどな」


「楽しそうじゃん」


「ちげえよ!」


多分ちょっと楽しみなんだと思う。


「アップデートは来週の土曜日ですね」


シズクが確認する。


「まだ一週間あるのか!」


ハヤテが言う。


「待ちきれないな!」


「その間に第二階層行けば?」


「お!」


ハヤテが俺を見る。


「行くか!?」


「なんで俺に聞くの?」


「一緒に行くだろ?」


「皆が行くなら」


「じゃあ行こうぜ!」


「アップデート後でもいいんじゃないですか?」


たるとが言った。


「新しいクエストも追加されるんですよね?」


「確かに!」


あっさり。


「じゃあ来週だな!」


また第二階層へ行くのが延びた。


本当にいつ行くんだろう。


「…………」


隣。


たるとがまだ告知を見ている。


「どうしたの?」


「拠点建築……」


まだ見てた。


「そんなにやりたいの?」


「やりたいです!」


即答。


「みんなで作ったら絶対楽しいですよ!」


「まあ、楽しそうではあるね」


「ですよね!」


「でも」


俺は告知を見る。


《拠点建築》


その説明。


「これ、ギルド機能でしょ?」


「はい!」


「俺たちギルドじゃないよ」


「…………」


止まった。


「そういえばそうだね~」


セリアが言う。


「ずっと一緒にいるから忘れてたわ」


リンファも言う。


「ギルドではありませんね」


シズク。


「そういや作ってねえな!」


ハヤテ。


誰も気にしてなかった。


一緒に遊んで。


一緒に魔物を倒して。


一緒に村へ来て。


気付けば毎日のように集まっている。


でも。


俺たち六人はただのフレンド。


ギルドではない。


「ギルドじゃねえと使えないだろうな」


マルコが言う。


「…………」


たるとが告知を見る。


拠点建築。


俺たちを見る。


また告知を見る。


「…………」


考えている。


そして。


「あっ!」


顔を上げた。


「じゃあ!」


何か思いついたらしい。


たるとが笑う。


「ギルドを作りましょう!」


「…………」


「…………」


「…………」


「建築したいので!」

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