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第20話 魔法使いとは

「この辺一帯の守護者だ!」


「守護者!?」


ハヤテが驚く。


「いた!」


「…………」


いた?


目の前の男。


マルコ。


虎獣人。


筋肉質な身体。


そして魔法の杖。


「《階層守護者》ってプレイヤーなのか!?」


「いや」


俺。


多分違う。


何かがおかしい。


マルコはさっき。


『村を襲いに来たのか』


そう言った。


「待って」


一歩前に出る。


「俺達は村を襲いに来たんじゃ――」


「問答無用!」


マルコが地面を蹴った。


「っ!」


速い。


一気に距離を詰めてくる。


杖を構える。


魔法が来る。


そう思った。


マルコが杖を振り上げる。


「…………」


振り上げる?


ブンッ!!


「っ!」


横へ跳ぶ。


直後。


ドガッ!!


杖が地面を叩いた。


土が舞う。


「…………」


俺は地面を見る。


マルコを見る。


杖を見る。


「そっち!?」


魔法……じゃない。


殴ってきた。


「逃がすか!」


マルコが杖を引く。


そのまま切り返す。


速い。


ブンッ!


短刀。


受ける?


いや。


多分無理。


体格。


筋力。


明らかに向こうが上だ。


まともに受けたら……多分飛ぶ。


短刀を斜めに構える。


ガッ!


「くっ!」


重い。


でも止めない。


力に逆らわない。


短刀の刃を滑らせ、受け流す。


マルコの杖が横へ逸れた。


今。


踏み込む。


懐を取った。


短刀を振る。


「甘い!」


「っ!」


マルコが身体を捻る。


杖の石突きが目の前。


「…………!」


攻撃を止め、後ろへ跳ぶ。


ブンッ!


鼻先を杖が通過。


着地。


「…………」


取れなかった。


近接戦闘に慣れてる。


「面白そうじゃねえか!」


横にハヤテ。


二本の剣を抜く。


「俺も混ぜろ!」


「いや、待って」


ガッ!!


遅かった。


ハヤテがマルコへ斬りかかる。


右。


左。


二本の剣。


マルコは杖を両手で握る。


ガンッ!


一本目。


受ける。


ガッ!


二本目。


杖を返して防ぐ。


「おお!」


ハヤテ。


嬉しそう。


「やるな!」


「お前もな!」


ガッ!


ギンッ!


ガンッ!


剣。


杖。


ぶつかる。


「…………」


完全に楽しんでる。


「魔法使いじゃないのか!?」


ハヤテ。


剣を振りながら聞く。


「魔法使いだ!」


マルコ。


杖で受ける。


「杖の使い方違うだろ!」


「杖は殴れる!」


「なるほどな!」


「納得しないで」


俺も短刀を構える。


本当に。


何なんだこの魔法使い。



「あわわわわ……!」


一番後ろではたるとが完全に慌てている。


「ど、どうしましょう!?」


「落ち着きなさい」


リンファが短刀を抜く。


たると。


セリア。


シズク。


三人の前へ出る。


「ガウとハヤテが抑えてる。こっちに来たら私も出るわ」


「で、でも!」


たると。


「話し合いを……!」


「話を聞いてくれれば……ね」


「聞いてくださーい!」


たるとがマルコへ叫ぶ。


「私達! 村を襲いに来たんじゃありません!」


「騙されんぞ!」


「聞いてくれません!」


「でしょうね」


リンファ。


「援護するね~」


セリアが杖を構える。


「《ファイア~》!」


火球が飛ぶ。


「むっ!」


マルコがハヤテの剣を杖で弾く。


横へ跳ぶ。


火球が通過。


「まだまだ~」


セリア。


「《サンダ~》!」


雷。


マルコへ。


「ふん!」


マルコが身体を捻る。


雷が横を通過する。


「避けた~」


「感心している場合ではありません」


シズク。


杖を構えたまま動かない。


周囲を見る。


マルコ。


ハヤテ。


俺。


リンファ。


セリア。


たると。


全部を見ている。


「ハヤテ!」


「おう!」


俺。


右。


ハヤテ。


左。


同時。


マルコへ。


「来い!」


ガッ!


ハヤテの剣。


杖で防ぐ。


俺は懐に短刀。


「させるか!」


マルコが杖を横薙ぎ。


「っ!」


下がる。


ハヤテがもう一本。


「おら!」


ガンッ!


防ぐ。


そのままマルコが踏み込む。


「うおっ!?」


ハヤテが後退。


マルコは止まらない。


そのまま。


たると達の方へ突っ込む。


「来るわよ!」


リンファが短刀を構える。


「ひゃっ!」


たると。


リンファの後ろへ。


「あわわわわ……!」


「たると、下がって!」


「はい!」


マルコが杖を振り上げる。


「《シールド》!」


シズク。


透明な壁が出現。


直後。


ドガンッ!!


杖が障壁を叩く。


「くっ……!」


シズクの《シールド》が揺れる。


でも。


壊れない。


マルコが目を見開く。


「防御魔法か!」


「そう簡単に攻撃をさせません!」


「なら!」


マルコがもう一度杖を振り上げる。


「させない!」


リンファが横から踏み込む。


短刀。


マルコが杖を戻す。


ガッ!


弾く。


「っ!」


リンファが下がる。


俺も距離を詰める。


短刀をマルコが避ける。


ハヤテが斬る。


マルコは杖で受ける。


セリア。


「《ファイア~》!」


「ぬっ!」


火球。


マルコが後ろへ跳ぶ。


距離が開いた。


「…………」


六人。


マルコ。


向かい合う。


「だから!」


俺。


「俺達は村を襲いに来たんじゃない!」


「なら何をしに来た!」


「《階層守護者》を探しに――」


「やはり俺が狙いか!」


「違う!」


話が噛み合わない。


「《階層守護者》!」


ハヤテ。


「お前だろ!」


「俺はこの辺一帯の守護者だ!」


「やっぱりそうじゃねえか!」


「ハヤテ黙って!」


これ以上ややこしくさせないで。


「…………」


マルコが杖を構える。


でも。


今までと違う。


俺達へ向けない。


「…………?」


杖の先を自分の身体へ。


「何してる?」


ハヤテ。


マルコの身体が淡い光に包まれる。


「魔法……?」


セリア。


「補助魔法です!」


シズク。


マルコが笑う。


「俺が得意なのは攻撃魔法じゃない」


「…………」


「支援と補助だ!」


光が強くなる。


身体。


筋肉。


「自身の身体能力を強化……」


シズク。


「気をつけてください!」


「身体能力?」


ハヤテ。


「面白そうだな!」


「ハヤテさん!」


たると。


「楽しんでる場合じゃないです!」


「分かってる!」


絶対楽しんでる。


マルコが腰を落とす。


杖を握る。


「行くぞ!」


地面を蹴る。


ドンッ!!


「っ!?」


速い。


さっきより。


明らかに。


「ハヤテ!」


「おう!」


ハヤテが剣を構える。


マルコ。


正面から来る。


ハヤテが二本の剣を振る。


ガンッ!!


「うおっ!?」


ハヤテの身体が後ろへ。


押される。


「ハヤテさん!」


たると。


マルコ。


さらに踏み込む。


俺は横から短刀を振る。


「見えてる!」


マルコは杖を切り返す。


速い。


「っ!」


受け流す。


ガッ!


重い。


さっきより重い。


短刀を滑らせる。


杖を逸らす。


踏み込む。


また懐を取る。


だが。


マルコが一歩下がる。


俺の短刀は届かない。


「…………」


速い。


力も。


速さも上がってる。


魔法で自分を強化して……。


杖で殴る。


「…………」


魔法使い。


なんだよね?


「はははは!」


マルコが杖を肩に担ぐ。


楽しそうに笑う。


「どうした!」


「…………」


ハヤテが立ち上がる。


二本の剣を構える。


そして笑う。


「面白え!」


「ハヤテ!」


「なんだ?」


「マルコは《階層守護者》じゃないと思う」


短刀を構える。


「そうなのか?」


「彼はプレイヤーだと思う!」


「あわわわわ……!」


後ろからたるとの声。


「皆さん! 話し合ってくださーい!」


「…………」


本当に話し合いたい。


でも。


目の前には身体強化した虎獣人。


魔法の杖を構える。


「来い!」


「…………」


どうしよう。


この人。


全然!


話を聞いてくれない!

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