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第14話 探索

セリアとシズクと出会ってから二週間が過ぎた。


今日は土曜日。


昼。



《始まりの街》。


「全員いる?」


俺は周囲を見る。


ハヤテ。


たると。


リンファ。


セリア。


シズク。


そして俺。


六人。


「いる!」


ハヤテが手を上げる。


「います!」


たるとも手を上げる。


「いるわよ」


リンファ。


「いるよ~」


セリア。


「います」


シズク。


「…………」


全員いるな。


あれからセリアとシズクとは何度か一緒に遊んだ。


たると。


リンファ。


セリア。


シズク。


それぞれ遊べる時間は違う。


全員揃わない日もある。


二人だけの日。


三人の日。


四人の日。


色々。


そして。


今日は珍しく六人全員集合できた。


「で!」


ハヤテが言う。


「今日は何する?」


「決めてないの?」


「決めてない!」


「…………」


いつものことだった。


「クエストですか?」


シズクが聞く。


「それでもいいけど……」


俺はマップを開く


第一階層。


《始まりの街》。


草原。


森。


岩場。


今まで行った場所が表示されている。


でも。


まだ行っていない場所はかなり多い。


「ん?」


ハヤテが覗き込む。


「まだ行ってない場所いっぱいあるな」


「本当ですね」


たるともマップを見る。


「第一階層だけでも広いですからね」


「ねえ」


リンファ。


「今日はクエストじゃなくて探索にしない?」


「探索?」


「マップ埋め」


リンファもマップを開く。


「まだ行ってない場所を適当に歩くの」


「おお!」


ハヤテの目が輝く。


「それいいな」


「楽しそうです!」


たるとも賛成。


「私もいいよ~」


「私も構いません」


全員賛成。


「じゃあ決まりだね」


「よし!」


ハヤテが拳を上げる。


「探索だ!」


「どこ行く?」


「…………」


「…………」


「…………」


ハヤテがマップを見る。


「ここ!」


指差す。


「どこ?」


「行ったことないところ!」


「説明になってないよ」


「ここだよ!」


第一階層の南東側。


俺達のマップではまだほとんど表示されていない場所。


「遠くない?」


「だからいいんだろ!」


「そういうもの?」


「探索だからな!」


「それもそうか」


たるともマップを見る。


「何があるんでしょうね」


「森っぽいわね」


リンファ。


「素材もあるかも」


「リンファはそれなんだ」


「大事よ」


「確かに」


セリアが笑う。


「知らない場所楽しみ~」


「危険な場所でなければいいですね」


シズク。


「危なかったら逃げればいい!」


ハヤテ。


「その前に近づかない選択肢もありますよ?」


「大丈夫!」


「何がですか?」


「六人いる!」


「人数だけで判断しないでください」


「ははは!」


「…………」


今日も元気だな。


「じゃあ行こう」


「おう!」


俺達は《始まりの街》を出た。



草原。


青空。


風。


六人で歩く。


「こっち!」


ハヤテが先頭。


「ハヤテさん!」


たるとが呼ぶ。


「なんだ!」


「そっちじゃないです!」


「え!?」


「南東はこっちですよ!」


「…………」


ハヤテが戻ってくる。


「分かってる!」


「嘘だね」


「分かってた!」


「マップと反対でしたよ?」


シズク。


「…………」


「分かってなかった!」


「素直だね~」


セリアが笑う。


草原を進む。


この辺は何度か来た場所。


見覚えがある。


でも。


途中から少しずつ景色が変わる。


知らない場所。


マップには歩いた部分が少しずつ表示されていく。


「おお!」


ハヤテがメニューを見る。


「埋まってく!」


「そりゃ歩いてるからね」


「楽しいなこれ!」


「分かります!」


たるとも嬉しそうにマップを見る。


「こっちにも行ってみたいですね!」


「行こうぜ!」


「目的地から離れるよ?」


「探索だからいいだろ!」


「…………」


確かに。


クエストじゃない。


時間制限もない。


目的地も決まってない。


好きなところへ行けばいい。


「ガウさん!」


たるとが呼ぶ。


「ん?」


「見てください!」


道の端に小さな花。


青。


白。


黄色。


「綺麗ですね!」


「うん」


「採取できるかな?」


リンファがしゃがむ。


「…………」


「採取できないみたいね」


「残念そう」


「ちょっとね」


「ふふっ」


セリアも花を見る。


「いっぱい咲いてるね~」


「本物みたいですね」


シズクがしゃがむ。


花に触れる。


指先で揺れている。


「こういうところまで作り込まれているんですね」


「匂いもしますよ!」


たるとが花へ顔を近づける。


「本当です!」


「嗅げるの?」


ハヤテも近づく。


「…………」


「どう?」


「…………」


「ハヤテ?」


「よく分からん!」


「なんで!?」


「ははは!」


また歩く。



林。


木々。


鳥の声。


ガサッ。


「敵!?」


ハヤテが剣へ手を伸ばす。


「…………」


茂みから小さなウサギ。


ぴょん。


「…………」


逃げていった。


「ウサギだね~」


セリア。


「敵じゃなかったですね」


たると。


「…………」


ハヤテが剣から手を離す。


「紛らわしい!」


「ウサギに言っても仕方ないよ」


「戦えると思ったのに!」


「今日は探索でしょ?」


「戦闘も探索の一部!」


「そうなの?」


「そう!」


「初めて聞いた」


「今考えた!」


「でしょうね」


シズク。


「ははは!」


林を抜けると丘が見えた。


ハヤテを先頭に登っていく。


「結構高いな」


「もう少しですよ!」


たるとが先へ。


「元気だね」


「景色が気になります!」


「私も~」


セリアも続く。


「待ってください」


シズクも追う。


「…………」


「行きましょ?」


リンファ。


「うん」


俺達も続いた。



丘の上。


「おお!」


ハヤテ。


「わぁ……!」


たると。


「綺麗~」


セリア。


「これは……」


シズク。


「結構いい景色ね」


リンファ。


「…………」


俺も周囲を見る。


広い。


草原。


森。


川。


遠くに見える《始まりの街》。


さらに向こうには山。


まだ行ったことのない場所。


マップを開く。


黒い。


未探索エリアがかなり残っている。


「第一階層だけでもこんな広いんだな」


ハヤテが言う。


「まだ全然行ってないね」


「ですね」


たると。


「全部行こうぜ!」


「全部?」


俺が見る。


「おう!」


「何日かかるんだろ」


「分かんね!」


「考えてなかった?」


「でも行けばいいだろ!」


「まあね」


「次あっち行きましょう!」


たるとが遠くを指差す。


「どっち?」


「森の方です!」


「よし!」


ハヤテが走り出す。


「行くぞ!」


「ハヤテさん!」


シズク。


「先に行かないでください!」


「大丈夫!」


「何が大丈夫なんですか!」


「迷子にならない!」


「さっき反対方向へ行ったよね」


「…………」


ハヤテが止まる。


「ガウ!」


「何?」


「それは忘れろ!」


「無理」


「ははは!」


六人で丘を下りる。



森に入る。


さっきより深い。


木々の間から差し込む光。


「暗くなってきましたね」


たると。


「まだ昼だけどね」


「木が多いから~」


セリアが上を見る。


枝。


葉。


空がほとんど見えない。


「この辺はまだマップに出てないわね」


リンファ。


「じゃあ正解!」


ハヤテ。


「何が?」


「探索!」


「まあそうだけど」


歩く。


右。


左。


真っ直ぐ。


たまに戻る。


マップが少しずつ埋まる。


「こっち行ってみる?」


俺が聞く。


「行こう!」


ハヤテ。


「即答だね」


「探索だからな!」


「便利な言葉になってない?」


「気のせい!」


しばらく歩く。


すると。


「…………」


何か聞こえてきた。


「ん?」


俺は狼耳を動かす。


「どうしたの?」


リンファ。


「音」


「音?」


立ち止まる。


耳を澄ます。


サァァァ……。


「水?」


「え?」


たると。


「水の音する」


「本当ですか?」


「多分」


「行こうぜ!」


ハヤテが走り出す。


「待って!」


「水だー!」


「子供ですか!」


シズクも追う。


「行こ~」


セリア。


「元気ね」


リンファ。


俺達も走る。


するとーー


「おお……」


目の前に湖。


かなり大きい。


森の中。


青い水。


太陽の光が水面に反射している。


風で水面が揺れる。


「わぁ……」


たるとが声を漏らす。


「綺麗ですね……」


「綺麗~」


セリア。


「こんな場所があったんですね」


シズク。


「マップにも出たわ」


リンファがマップを見る。


俺もマップを確認する。


今まで何もなかった場所に新しく湖が表示されている。


「すげえ!」


ハヤテが湖へ近づく。


「来てよかったな!」


「うん」


ただ歩いてたまたま見つけた。


それだけ。


でも。


「こういうのも悪くないね」


俺が言う。


「ですよね!」


たるとが笑う。


「また皆で探しましょう!」


「いいね~」


「まだ未探索の場所もたくさんありますからね」


「素材もありそうだし」


リンファ。


「やっぱりそこ?」


「大事でしょ」


「ははは!」


ハヤテが笑う。


「じゃあ次は――」


ドンッ!


「…………」


全員が止まる。


「何?」


たると。


「今の音」


ドンッ!


また低い音。


「向こうですね」


シズクが湖の端を見る。


森。


木々。


ドンッ!


「何かいる?」


セリア。


「モンスターか?」


ハヤテが楽しそうにする。


「嬉しそうだね」


「行ってみようぜ!」


「警戒はしてよ」


「分かってる!」


六人で音の方へ。


湖沿い。


木々。


近づく。


ドンッ!


「…………」


見えた。


木。


大きな木。


その前に人。


「…………」


かなり大きい。


大男。


プレイヤー。


「武器は持ってないようね」


リンファ。


「みたいだね」


大男が拳を握る。


「ふん!」


ドンッ!


木を殴った。


幹が揺れ、葉が落ちる。


「…………」


俺達。


大男。


また構える。


「ふん!」


ドンッ!


木が揺れる。


「…………」


「何してるんだろ」


俺が言う。


「木を殴ってるわね」


リンファ。


「それは見れば分かる」


「修行かな~?」


セリア。


「ゲームでですか?」


シズク。


「何か理由があるんでしょうか?」


たると。


「…………」


ハヤテ。


大男を見る。


「…………」


目が輝いてる。


「ハヤテ」


「ん?」


「やめといた方がいいと思う」


「まだ何も言ってないぞ!」


「顔見れば分かる」


「何が!」


「声かけるんでしょ?」


「おう!」


「ほら」


ハヤテが大男へ近づく。


「おーい!」


「…………」


大男の拳が止まる。


ゆっくり振り返った。


「ん?」


俺達を見る。


ハヤテが笑う。


「なあ!」


一歩前へ。


「何してんだ?」

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