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第1話 新たな役目

建国から数日後――。


朝。


俺は城へ続く大通りを歩いていた。


「おはよう、ガウ姉ちゃん!」


「おはよう」


住宅街から飛び出してきた子供たちへ手を振る。


そのまま歩いていると。


「ガウ姉ちゃん!」


「ん?」


「今日もたると王様、お城にいる?」


「いるよ」


「やっぱり王様なんだ!」


「本人の前では言わない方がいいよ」


「どうして?」


「怒るから」


「聞こえてますよー!」


城の方から声が飛んできた。


「……」


俺と子供たちは顔を見合わせる。


「聞こえてたね」


「うん!」


相変わらず耳がいい。


「たると王様ー!」


「王様じゃありませんー!」


子供たちは笑いながら住宅街へ走っていく。


建国してから数日。


俺たちの暮らしは驚くほど変わっていなかった。


朝になれば皆が起きる。


畑へ行く人。


店を開ける人。


港へ向かう人。


警備へ出る人。


腹が減れば飯を食べて。


仕事が終われば家へ帰る。


変わったことといえば。


この場所に《フェリシア》という名前が付いたこと。


そして。


たるとが以前にも増して王様と呼ばれるようになったことくらいだ。


本人は全力で否定しているけど。


「ガウ!」


正面からハヤテが走ってきた。


「おはよう」


「おう!」


ハヤテは俺の隣へ並ぶ。


「会議だろ?」


「うん」


今日は朝から城の会議室へ主要メンバー全員が集まることになっていた。


理由は単純。


国はできた。


街も完成した。


でも。


それだけ。


国としてこれから何をするのか。


誰が何を担当するのか何一つ決まっていない。


だから今日はその全部を皆で話し合う。


「しかし」


ハヤテが城を見上げる。


「俺たちが国の会議かぁ」


「似合わないね」


「お前もだぞ?」


「私はいいの」


「何がいいんだよ」


そんな話をしながら俺たちは城へ入った。



会議室。


大きな円卓を囲むように皆が座っている。


たると。


俺。


ハヤテ。


ゴウマ。


リンファ。


シズク。


セリア。


バレット。


ガンテツ。


アイス。


サイオン。


ノエル。


モルフォ。


ヨミ。


「……」


改めて見る。


多いな。


最初は本当に少人数だったのに。


「では!」


たるとが勢いよく立ち上がった。


虎耳もぴんと立っている。


「フェリシア第一回!」


両手を机につく。


「これからどうしましょう会議を始めます!」


「名前が雑!」


ハヤテが即座に突っ込んだ。


「分かりやすいじゃないですか!」


「もうちょっと国っぽい名前あるだろ!」


「では考えてください!」


「えっ」


ハヤテが止まる。


「……国家運営会議?」


「普通だね」


俺が言う。


「ガウ!」


「いいんじゃない?」


リンファが笑う。


「内容が分かれば」


「そうだな」


ゴウマも頷く。


「名前を決める会議ではない」


「ぐっ……」


ハヤテが黙った。


開始一分。


すでにいつも通りだった。


「それで」


アイスが口を開く。


「まず確認しておきたい」


皆の視線が集まる。


「街作りが終わり、ここは国になった」


「だが」


「国になっただけだ」


「……」


たるとが首を傾げる。


「どういうことですか?」


「そのままの意味だ」


アイスは指を組む。


「誰が何を担当するのか」


「何か起きた時に誰が判断するのか」


「外部とどう関わるのか」


「防衛をどうするのか」


「何も決まっていない」


「あっ」


たるとの虎耳が少し下がった。


「そうでした」


「そうでした、ではない」


「うぅ……」


「まあ」


ゴウマが助け舟を出す。


「街を作ることが最優先だったからな」


「建国後のことまで考える余裕がなかった」


「はい!」


たるとの耳が戻る。


「そうなんです!」


「元気に言うことじゃないだろ」


バレットが苦笑する。


「というわけで」


ゴウマが皆を見る。


「今日はそれを決める」


「国として」


「俺たちがこれからどう動くのかをな」


「おおー」


ガンテツが腕を組む。


「面白そうじゃねぇか!」


「遊びじゃないッスよ?」


サイオンが言う。


「お前に言われたくない」


アイスが即答した。


「なんで!?」


皆が笑った。



「まず」


ゴウマがたるとを見る。


「一番大事なことからだ」


「はい」


「たると」


「お前は」


一拍。


「フェリシアをどんな国にしたい?」


「……」


会議室が静かになった。


たるともすぐには答えなかった。


「どんな国……」


小さく呟く。


窓の外を見る。


そこには完成した街。


住宅街。


商業区。


ギルド本部。


外壁。


その向こうには畑と港。


人が歩いている。


子供たちが走っている。


「……」


たるとはしばらくその景色を見ていた。


そして。


「私は」


ゆっくり口を開く。


「皆が笑って暮らせる国にしたいです」


誰も口を挟まない。


「困った時には」


「誰かが助けてくれて」


「疲れた時には」


「帰ってこられる」


胸の前で手を重ねる。


「そんな場所にしたいです」


「……」


「プレイヤーだから」


「NPCだから」


「前にどこのギルドにいたから」


首を横に振る。


「そういうことで」


「誰かを区別したくありません」


「ここで一緒に暮らしているなら」


「皆」


笑う。


「フェリシアの仲間です」


「……」


俺は小さく息を吐いた。


結局。


何も変わらない。


集落だった頃からたるとが言っていることはずっと同じだ。


困っているなら助ける。


腹が減っているなら飯を食べる。


疲れているなら休む。


帰る場所がないならここにいればいい。


国になったってたるとはたるとだった。


「僕は賛成だ」


アイスが最初に口を開いた。


「僕たちは領土を広げるために国を作ったわけじゃない」


「ああ」


バレットも頷く。


「最強の国を作りたいわけでもないしな」


「強い方がいいぞ!」


ガンテツが言う。


「そこは否定しないけど」


バレットが笑う。


「強さが目的じゃないって話だ」


「なるほど!」


本当に分かってる?


「私は」


シズクが静かに口を開く。


「皆さんが安心して暮らせる場所なら」


「それを守りたいです」


「私も~」


セリアが手を挙げる。


「研究所でのんびり暮らしたい~」


「最後の部分はいらない」


俺が言う。


「大事だよ~?」


笑い声が広がる。


「なら」


ゴウマが頷いた。


「方向は決まったな」


「フェリシアは暮らす者が安心して帰ってこられる国にする」


たるとが大きく頷く。


「はい!」



「次だ」


ゴウマが続ける。


「役割を決める」


「役割?」


「国の代表」


「外交」


「防衛」


「情報収集」


「研究」


「他にもあるだろうがまずは大きく分ける」


「なるほど」


俺は頷く。


「国の代表は」


ハヤテがたるとを見る。


全員も見る。


「……」


「……」


「なんで皆さん私を見るんですか?」


「他に誰がいるんだよ」


「えぇ……」


たるとの耳が垂れる。


「王様じゃないですよ?」


「誰も王様とは言ってない」


ゴウマが答える。


「国の代表だ」


「……代表」


「そうだ」


アイスも頷く。


「最終的にフェリシアの意思を伝える人間は必要になる」


「それならたるとが一番適任だ」


「……」


たるとは少し困ったように皆を見る。


でも誰も反対しない。


「分かりました」


やがて小さく頷いた。


「王様ではなく」


「代表ならやります!」


「そこ重要なんだ」


俺が言う。


「重要です!」


十八歳の虎獣人。


フェリシア代表。


まあ。


一人でやるわけじゃない。


俺たち全員で支えればいい。


「次」


ゴウマが俺を見る。


「ガウ」


「はい?」


「リンファ」


「ええ」


「ヨミ」


「……はい」


三人。


「情報収集を担当してもらいたい」


「情報?」


「国内だけじゃない」


ゴウマは続ける。


「今後、他国や他ギルドと関わるなら外の情報が必要になる」


「危険なプレイヤー」


「不審な動き」


「各地の状況」


「表立って動けない仕事も出るだろう」


「なるほど」


リンファが腕を組む。


「つまり裏方ね」


「そういうことだ」


ヨミも静かに頷いた。


「……私は構わない」


「助かる」


そして二人が俺を見る。


「……何?」


リンファが笑った。


「一番向いてるでしょう?」


「どうして?」


「忍者みたいだから」


「格好で決めないでよ」


「決まりね」


「決まったの?」


決まったらしい。



外交と防衛。


これはゴウマとアイスが担当することになった。


二人とも戦場全体を見るのが得意。


さらにゴウマは昔から皆をまとめてきた。


アイスも元《白銀戦線》のギルドマスター。


「たると一人に外交を任せるわけにもいかないからな」


ゴウマが言う。


「交渉する前に」


アイスも続ける。


「僕たちで情報を整理する」


「相手が何を求めているのか」


「フェリシアにとって何が必要なのか」


「それを考えた上で」


たるとを見る。


「最後は代表に任せる」


「はい!」


たるとが元気よく返事をした。


「頑張ります!」


「だから一人で頑張るな」


「はい!」


そして。


ハヤテ。


バレット。


ガンテツ。


サイオン。


ノエル。


この五人は防衛面の強化。


特にアレンとダリオが率いる警備隊の育成を担当する。


「おお!」


ハヤテの目が輝く。


「俺が剣術教えていいのか!?」


「いいが」


ゴウマが言う。


「無茶な訓練はするな」


「しないって!」


「本当か?」


「たぶん!」


「不安だな」


「なんでだよ!」


バレットがため息をつく。


「俺も見ておく」


「バレット!」


「ハヤテだけに任せる方が怖い」


「信用してくれ!」


「普段の行いだな」


「ガンテツも」


ゴウマが見る。


「おう!」


「警備隊を吹き飛ばすなよ」


「任せろ!」


「返事がおかしい」


「はっはっは!」


駄目かもしれない。


「おいらは空からの警戒や対空戦を教えればいいッスか?」


サイオンが尋ねる。


「ああ」


アイスが頷く。


「お前にしか教えられないこともある」


「了解ッス!」


「ただし」


「はい?」


「訓練中に自分の能力を全部説明するな」


「なんでそれ今言うんスか!?」


皆が笑う。


ノエルは静かに頷いた。


「私は集団防衛を中心に教えます」


「警備隊は一人で戦う組織ではありませんから」


「助かる」


最後。


研究。


「シズク」


「はい」


「セリア」


「は~い」


「モルフォ」


「はい」


三人が担当する。


シズクは結界。


セリアは魔法。


モルフォは魔物や素材の研究。


「研究だけではない」


アイスが説明する。


「フェリシアの防衛設備」


「生活設備」


「新しい技術」


「そういったものも三人に任せたい」


「分かりました」


シズクが頷く。


「街全体の結界もまだ改良できると思います」


「私も新しい魔法作る~」


セリアが《創星》を抱える。


「便利なのいっぱい~」


「いいですね」


モルフォの眼鏡が光った。


「では早速」


「結界術と創造魔法の組み合わせについて――」


「待ってください」


シズクが止める。


「まだ会議中です」


「……失礼しました」


モルフォは相変わらずだった。



大まかな担当は決まった。


でもまだ一つ問題が残っていた。


「役職名」


ハヤテが言った。


「必要?」


俺が聞く。


「いるだろ!」


「なんで?」


「格好いいから!」


「理由が子供」


「いいだろ!」


でもアイスは少し考えていた。


「いや」


「名称自体はあってもいい」


「え?」


「外部と関わるようになれば」


「誰がどういう立場なのか分かりやすい方がいい」


「ほら!」


ハヤテが胸を張る。


「俺が正しかった!」


「理由は違うが」


「細かい!」


「なら」


リンファが皆を見る。


「どう分ける?」


少し考える。


まず国の中でも特に前線で戦う者。


最高戦力。


皆の視線が。


俺。


ハヤテ。


ゴウマ。


リンファ。


四人へ集まる。


「……私たち?」


「そうなるな」


バレットが頷く。


「戦闘経験」


「対応力」


「前線指揮」


「その辺りまで考えるとこの四人が妥当だろ」


「四人か……」


ハヤテが腕を組んだ。


「四人」


「牙」


「王虎の牙……」


ぶつぶつ。


「何してるの?」


「待て」


「今何か降りてきそうだ」


「嫌な予感しかしない」


ハヤテが突然顔を上げた。


「斬り捨て御免!」


「……はい?」


たるとが首を傾げる。


「ほら!」


ハヤテが机を叩く。


「斬り捨て御免ってあるだろ!」


「ありますけど」


「俺たちは四人!」


俺たちを順番に指差す。


「ガウ!」


「俺!」


「ゴウマ!」


「リンファ!」


そして。


「《王虎の牙》の四つの牙!」


嫌な予感。


「だから!」


立ち上がる。


「《四牙御免》!」


「……」


「……」


「……」


静寂。


ハヤテだけ満面の笑み。


「どうだ!」


「斬り捨てる気満々じゃない?」


俺が言う。


「違う!」


「御免って付けたかっただけでしょう?」


リンファも笑う。


「格好いいだろ!」


「四つの牙か」


ゴウマが呟いた。


「悪くない」


「だろ!?」


「え?」


俺はゴウマを見る。


リンファも少し考える。


「私は好きよ」


「リンファまで?」


「《四牙御免》」


たるとも口にする。


「いいですね!」


「たると?」


「四人とも強いですし!」


「そういう問題?」


「決まりだな!」


ハヤテが嬉しそうに笑う。


「待って」


「賛成多数!」


「いつ投票したの!?」


こうして。


俺。


ハヤテ。


ゴウマ。


リンファ。


フェリシア最高戦力。


《四牙御免》が誕生した。


……本当にこれでいいのかな。



次。


たるとや国家中枢を守る役。


候補はすぐに決まった。


「シズクだろ」


バレットが言う。


「防御なら文句なしだ」


「僕も賛成だ」


アイスが頷く。


「もう一人はセリアかな」


俺が言う。


「私~?」


セリアが自分を指差す。


「《幻想創造》なら」


「何が起きても対応しやすいでしょ」


「なるほど~」


シズクとセリア。


二人とも異論はなかった。


「じゃあ名前だ!」


ハヤテが元気になる。


「なんで一番楽しそうなの?」


「大事だろ!」


「たると直属なら」


ノエルが考える。


「近衛……でしょうか」


「近衛」


ゴウマが頷く。


「分かりやすいな」


「たるとは虎獣人ッスから」


サイオンが言う。


「虎の近衛?」


「それだと少し弱いな」


バレットが腕を組む。


「国の代表でもあるし」


「虎王……」


誰かが呟いた。


「《虎王近衛》」


「おお!」


ハヤテが食いつく。


「それいい!」


「格好いいッス!」


「分かりやすいな」


「私もいいと思います」


「……」


一人だけたるとが固まっている。


「待ってください」


虎耳がぴくぴく動く。


「虎王?」


「そうだな」


「近衛?」


「ああ」


「それ」


皆を見る。


「私が王様ってことになってません!?」


「……」


「……」


「……」


「なんで黙るんですか!」


「たると王様~」


セリアが楽しそうに笑う。


「セリアさん!?」


「私は護衛するよ~」


「嬉しいですけど!」


「王様ではありません!」


笑い声。


結局。


本人以外から好評だったため。


《虎王近衛》。


シズク。


セリア。


正式決定。


「納得できません……」


たるとだけ最後まで呟いていた。



最後。


国家防衛を担う七人。


バレット。


ガンテツ。


アイス。


サイオン。


ノエル。


モルフォ。


ヨミ。


「七人か」


俺は順番に見る。


本当に。


全然違う。


弓。


重量武器。


氷魔法。


液体金属。


重装。


虫。


大鎌。


「統一感ないね」


「悪かったな」


バレットが言う。


「いや」


アイスが首を横に振る。


「それでいい」


「え?」


「全員違うからこそ」


七人を見る。


「様々な状況へ対応できる」


「なるほど」


たるとも頷く。


「皆さん」


「それぞれ違う強みがありますからね」


「十人十色ってやつッスね」


サイオンが言った。


「七人しかいないぞ」


バレットが返す。


「そういう意味じゃないッス!」


「十人十色……」


たるとが呟く。


「色」


「七人」


ノエルも考える。


「七つの色」


「七彩……でしょうか」


「七彩」


ガンテツが腕を組む。


「悪くねぇ!」


「国を守る七人」


ゴウマが続ける。


「なら」


アイスが静かに言った。


「《七彩守護刃》」


「……」


一瞬、静かになる。


「おおお!」


ハヤテが立ち上がった。


「それだ!」


「格好いいッス!」


「俺も気に入ったぞ!」


「異論はない」


バレットも笑う。


ヨミも小さく頷く。


「……いいと思う」


モルフォは眼鏡を押し上げる。


「私だけ戦闘方法が少々特殊ですが」


「そこが色なんじゃない?」


俺が言う。


「なるほど」


たるとは嬉しそうに七人を見る。


「では」


「《七彩守護刃》」


「決定ですね!」


「おおー!」


拍手。


こうしてフェリシアの主要な役職が決まった。


《四牙御免》。


《虎王近衛》。


《七彩守護刃》。


でも。


「一つだけ」


たるとが言った。


皆を見る。


「役職ができても」


「誰が偉いとかそういうものにはしたくありません」


静かな声。


「何かあった時」


「誰が何をするのか」


「誰が皆を守るのか」


「迷わないための役目です」


「だから」


笑う。


「これまで通り」


「皆でやりましょう!」


「当然だろ」


ハヤテが笑う。


「ああ」


ゴウマも頷く。


「そのための役割分担だ」


俺も小さく笑った。


国になったからって。


俺たちまで急に変わる必要はない。


皆で考えて。


皆で決めて。


困ったら助け合う。


それでいい。



「これで終わりですか?」


たるとが椅子へ座る。


「結構決まりましたね!」


「そうだな」


ゴウマが資料を見る。


「代表」


「諜報」


「外交と防衛」


「警備隊の育成」


「研究」


「主要役職」


「ひとまず必要なものは――」


「いや」


アイスが遮った。


「まだ一つある」


「え?」


たるとの虎耳が動く。


「何ですか?」


アイスはたるとを見る。


「アルカディアには?」


「……?」


「フェリシアを建国したこと」


一拍。


「報告したのか?」


「……」


「……」


「……」


会議室が静かになった。


たるとの虎耳がぴたりと止まる。


「……まだです」


「先にそれだろ!」


ハヤテが叫んだ。


「街作って!」


「国名決めて!」


「役職まで決めて!」


「なんでアルカディアに言ってないんだよ!」


「忙しかったんですー!」


「建国したことくらい伝えろよ!」


「今から伝えればいいじゃないですか!」


「まあ」


ゴウマが苦笑する。


「遅すぎるというほどでもない」


「建国からまだ数日だからな」


「ですが」


ノエルも頷く。


「今後、他国や他ギルドと交流するのであればアルカディアへの報告は必要でしょう」


「あそこは」


アイスが続ける。


「この世界で最初に国家という形を作った場所でもある」


「僕たちより長く国を運営している」


「今後のことを考えるならガルドたちから話を聞く価値もある」


「なるほど……」


たるとは真剣に頷いた。


そして。


「では!」


勢いよく立ち上がる。


「アルカディアへ行きましょう!」


「おお」


「明日!」


「早い!」


ハヤテが叫ぶ。


「報告は早い方がいいです!」


「それはそうだけど!」


「善は急げです!」


「こういう時だけ行動早いな!」


また笑い声が広がる。


俺も笑いながら窓の外へ目を向けた。


《フェリシア》。


俺たちが作った国。


小さな集落から始まった。


皆が集まって。


仲間が増えて。


家が増えて。


街になって。


そして国になった。


ここまで俺たちはずっと自分たちの帰る場所を作ってきた。


でも。


これからは。


少しだけ違うのかもしれない。


この場所から外へ。


他の街へ。


他のギルドへ。


そして他の国へ。


俺たちから繋がっていく。


その最初の一歩。


目的地は第五階層。


中央都市アルカディア


フェリシアが国になったことを。


ガルドたちへ伝えるために。


俺たちは再び外の世界へ歩き出すことになった。

第1話を読んでいただきありがとうございます!


第4章《繋がる世界》編、スタートです!


国になったはいいものの、今度は誰が何をするのか決めなければならない《フェリシア》。


そんなわけで今回は皆でワイワイ話し合いながら新しい役目を決める回でした。


《四牙御免》。


《虎王近衛》。


《七彩守護刃》。


名前は随分と立派になりましたが中身は相変わらずいつもの《王虎の牙》です。


そして次は、建国したことを報告するため第五階層アルカディアへ。


国となった《フェリシア》がいよいよ外の世界へ一歩を踏み出します。


次回もよろしくお願いします!

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