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#0003 新品の幽霊船と怪しい積荷

Mod開発で時間を取られまくって全然進められない問題。

まあ今投稿している分は在庫品なので関係ないけどね。

「存続限界点」とストーリーが繋がるのは実際のところこの話が終わった後なんですが、

複数同時進行の都合投稿順はぐちゃぐちゃになっています。

入ってきたエアロックはちょうど貨物区画と居住区画の

境界辺りのようで、左に行けば貨物区画、右へ行けば居住区画に出る。


船のセンサーで軽く調べた限りでは貨物区画にあるのは

例の低温ポッドだけで、それ以外の貨物は見当たらなかったから

まずは動力炉の始動と念のため診断プログラムを走らせに機関室へ、だな。


居住区へ続く通路は電源が入っている時よりも間違いなく

明るいというのに、行き交うクルーの姿はなければ整備業務を

進めるドローンもいない。

壁面パネルの裏から聞こえる機械の稼働音も聞こえない。

この真空の通路の中で聞こえるのは、アーマースーツの構造を

伝わってくる自分自身の重たい足音だけだ。


少し歩くとすぐに居住区に着いた。中型輸送船は

全長200mほどはあるが、その長さの大半は貨物区画だから意外と中は狭い。

通路と居住区の間には扉が1枚あり、相変わらず船内の扉という扉は

すべて電源が入っていないのでこれも何とかしないといかん。

正直面倒だ。殴って壊したいところだがまあ……やめておこう。


最初にエアロックでやったのと同じ手順で

居住区への扉をこじ開け、中へ入る。


入ってすぐ左には寝室、そこからさらに船体中央側へ

抜けられるようになっていて、まっすぐ進んで

左に曲がっても合流できる構造のようだ。

それで船体中央部が大部屋、共有スペースだな。


宇宙航行というのは長いときは1年近くステーションに

寄れないこともあるんだ、こういう大部屋で集まって

騒ぎながらの飯だって正気でやっていく上では欠かせない。

まあ輸送船なら行き先は決まっているからそこまで長くはないだろうが。


そんな風に、居住区というのは普通は船ごとに、

クルーごとに個性があるものなんだが……この船には

そんなものはない。……本当に新品をそのまま持ってきたんだな。

それだけは見てわかる。


この感じだと居住区を探しても目ぼしいものはなさそうだ。

さっさと動力炉を動かして

いちいち扉をこじ開けなくていいようにしよう。


居住区から出て、あいかわらず新品そのものの綺麗さの

通路を進んで機関室手前の階段からアッパーデッキへ。


新品だから仕方ないのかもしれないがどの扉も閉まっているので

面倒なことこの上ない。扉に突き当たるたびに

駆動接続を外してこじ開けないといけない。


で、上に上がってからまた船尾側を向いてすぐの

ところにあるのが動力炉制御室だ。


奥の壁際、炉心室が見える窓のそばにあるのが

制御コンソールだろうな。ただ、文字通り完全に電源が落ちているから

そもそもコンソール自体に電力を送らないと何も始まらん。


普通はこの手の制御機構には外部電源用の

接続部があると思うんだが……これか。

土台部分のほうを見てみるとそれらしいものが見つかった。

古い規格のものだが小型武器用の反物質バッテリーが刺さるタイプだ。

……待て、小型バッテリーの在庫なんてあったか?


…………ストレージ管理画面を確認したところバッテリー単体では

持っていないがバッテリーが刺さったレーザーピストルなら

1つだけ持っていたらしい。

レーザーピストルなんてもう使わんだろうし、こいつから引っこ抜こう。


さて、規格は合ってると思うが動いてくれるか?

同じ規格だが世代が違って動かないというのもたまにあるからな……。


動くようにお祈りしつつピストルからバッテリーを外し、

コンソールの土台部分にある外部電源用接続部に刺して固定、

操作画面の端の外部電源モードの切り替えボタンを押す。

すると、コンソールの画面のバックライトが点き、

初回起動時に表示される構成一覧と初期化プロセスの

ログが出力され始めた。だいぶ古めかしい型だが

動いてくれたらしい。いや新品だから当たり前か。


それでだ、使ったことのない型のコンソールだが、

まあ操作はそれほど難解なものでもないな。

まずは一応診断プログラムを起動して状態を報告させよう。


挿絵(By みてみん)

注: 1行あたりの文字数の都合どうやっても改行が崩れるため画像で代用


ふむ。出力を読む限りはまあ異常はないな。

水素燃料の冷却が止まっているせいで気化しているくらいだろう。


まあいい、調査はこのくらいにしてまずはコアを始動しようか。

反物質コアなんて自分で操作するのは何十年ぶりかもわからんが、

自動制御じゃなくても手順くらいは覚えている。

まず反応室のシールドを解除し、粒子誘導ビームを起動、

反水素タンクの電磁隔離を保管から運転モードへ切り替えると

連動して水素も標的部に流れ始める。


そして標的部で水素と反水素が衝突し、反応が始まったら手順完了だ。

さすがに炉心格納容器の中までは見えないが、

わずかに漏れ出してくるガンマ線はうっすらと感じられる。


動力炉が動き始めたことで船内の照明も一斉に点灯し、

空気の循環も始まった。


これならもうプローブは必要ないな、しまっておこうか。


気圧が上がるにつれ少しずつ雑多な騒音も聞こえるようになり、

あとは乗員さえいれば雰囲気はごく普通の輸送船だな。


よし、電源も入れたことだし本題の貨物室の様子を見に行こうか。


炉心制御室を出て、階段を降り貨物区画へ向かう。

行きはプローブのまぶしいくらいの光で白く染まっていた通路だが、

この船の本来の照明に切り替わったことでとても穏やかな様子になっていた。

明るすぎず暗すぎず、

乗員の精神面に負担をかけにくい適度な強さと色。悪くないな。


おおよそ来た道をそのまま戻り、

最初にこの船に乗り込むときに使ったエアロックの前まで戻ってきた。

そこを通り過ぎ、今度は船首側へ。


この輸送船は構造的には船の中心線に沿って配置された

背骨からモジュール式貨物コンテナ用の接続部が左右に伸びる

ごく一般的なもので、貨物コンテナの中へ行きたい場合は背骨の中、

交通管と呼ばれる狭い通路を通ることになる。


目当ての低温ポッドは全部で10個あるコンテナモジュールに

分散して保管されているようで、

これは確認や回収には少々手間がかかるな。


詳しい中身なんて亜空間センサーで確認してしまえば

いいというのはそうだが……そういうのは気ままに

宇宙を旅する今の生き方自体を否定するようなものだろう?


危険を伴う場合だってあるからどこまで事前調査をするか

という匙加減は難しいが、自分で実際に見に行くことに意味があるのさ。

なあジェフ? 重要事項以外での自発的発言禁止に設定した

理由がわかるよな? 有機体の模倣に特化した高度なAGIじゃないと

俺たちナマモノの気持ちはわからない。だから苦手なんだ。



気持ちの内で文句を垂れつつ交通管の中を通り、

一番近いコンテナL5へ向かう。


船内のほかの通路と違ってここは狭く圧迫感があり、

照明もそれほど明るくはない。

人を乗せるような区画じゃないから当たり前だな。


そのまま金属の格子でできた通路を少し歩き、

最初に見える分岐路を左へ行けば目当ての場所へたどり着く。


コンテナとの接続部もまた相変わらず狭いな。

アーマーを着ているせいで余計に窮屈だ。


分離可能な区画という都合で二重になっている扉を抜け、コンテナの中へ。


====


中の様子は非常にすっきりとしていた。

普通なら輸送船は一度の航程でできるだけ多く稼ごうと

積載容量ぎりぎりまで物を詰め込んで銀河を渡るものだが、

こいつの場合は事情が全く違う。


運ぶことではなくあくまで違法品の隠し場所として

使われているもんだから、余計なものは何も載っていないということだろう。


コンテナの中に入ってまず左右を確認したんだが、

右側手前の壁沿いに低温ポッドが置かれている以外何もなかった。

これ以外に見るものがないのでポッドの正面に立ち、中身を覗いてみる。


ポッド自体の大きさはそれほどでもないが、

中に入れられている生物は丸くなったような姿勢で

詰め込まれている関係でおそらく実際に外に出すとそれなりに大きいだろう。


さて、二つ並んでいるうちの左側をまず見てみると、

入っていたのは棘の生えた脚が十数本はある虫のような生物だった。

体の表面は殻で覆われているようだがそれほど丈夫そうには見えない。

頭部には大きな顎があり、目は左右合わせて8つある。

……これだけでどこから来た生物か特定するのは

まあ俺には無理だな。あとでジェフに調べてもらおう。


右側の方も見てみようか。こっちの中身はそれほど目立つ特徴はない

四つ足の獣に見える。強いて言うなら脚が短いというか、

全体的に身体の高さが低く、そして太く丈夫な作りをしているな。

この感じだと高重力惑星の生物か?


まあ、見るのはこれくらいにしてポッドの搬出を進めようかね。

確か中身が生きているポッドは17個だったな?


この船のコンテナモジュールは10個ある。

このコンテナ内に2個置いてあるということは

おそらくそれぞれのコンテナに2個ずつだろう。


で、ポッドは見たところ床のパネルにボルトで固定されているから

まずはこれを外さないといけないな。これくらいなら

アーマーの駆動力に物を言わせて強引に引き千切れる。

多分生身でも行けるが今は何でもいい。

ジェフに連絡して貨物の受け入れの準備をさせよう。


<< 「ジェフ? これから貨物コンテナの中身を船外に放り出すから、

ドローンに回収させてくれ。回収が終わったら俺もEVAで戻るからな」


>> 「了解。格納庫を開放し貨物ドローンを展開します。

艦長の帰還後ドアを閉鎖でいいですね?」


<< 「ああ、それで頼む」


通信越しにジェフにいつも通り簡潔に指示を出し、作業に取り掛かった。

中身が入っているポッドを乱雑に放り投げていいのかと

思うやつもいるかもしれないが、凍結状態を維持するための

低温ジェルは緩衝材としての機能も兼ねているから

全力で壁に叩き付けたりしなければ大丈夫だ。


====


狭い通路を行ったり来たり、地味な作業を続け、

数分でとりあえずすべてのポッドを船外に放り出すことができた。


固定用のパネルからボルトごともぎ取って、

空けておいたコンテナのハッチから軽く宇宙へ放るだけだ。簡単だな。


それで、搬出中も何度かポッドの中身を確認してみたんだが……

やはり事前に軽く目を通したときにわかっていたように

保存されている生物はどれも"攻撃的"な特徴を多く持っていた。

虫のような生物なら大きなあごや棘の生えた節、毒針が。

哺乳類や爬虫類によく似た生物なら大きく鋭い爪や牙が。

辺境星系にはこういう異星の生き物に

興味を示すやつがそれなりに居る。手に入れてどうするかは様々で、

人工生態系に組み込んで鑑賞するみたいな比較的穏便なものから

過激な見世物に出すみたいなものまでな。


そして、実用性を兼ねない趣味を持っているやつは

懐に余裕があるやつが多い。つまり、密輸業者は

こういう輩を相手に商売をするというわけだ。


貨物船の積み荷一つでどういうビジネスなのかいろいろと勘繰れるのは面白いね。


<< 「よし、コンテナはこれで全部だ。今から船へ戻るぞ」


センサーで見ているから向こうも知っているとは思うが、

ジェフに通信を入れ終わったことを知らせる。


>> 「了解。艦長の帰還を待ちます」


じゃあ、船へ戻ろうかね。


こういうモジュール式貨物コンテナというのは

骨組みに取り付けたとき外側に面する壁に大きなハッチがついていて、

ボタンやレバー操作で開閉できるようになっている。

だからそこを開けてポッドを船外に放り出したわけだが、

今度は俺がそこから外へ飛び出す番だ。


交通管からコンテナに入って手前側にある操作盤から

コンテナ内の重力を切り、ブーツの吸着機能を無効化して

ゆっくりと床から浮かびあがり、姿勢制御スラスターを吹かして船外へ出る。

外には横付けされた俺の船がすぐ目の前にあって

宇宙へ出たという解放感は全くないが、通常のEVAなんてこんなもんだ。

あとは……やらなくてもいいが一応扉は閉めておこうか。


<< 「ジェフ、輸送船の外部扉を全て閉められるか?

今なら電源が入っているからシステムオーバーライドが効くはずだ」


通常、軍や警察の船には民間船の飛行制御システムに

優先命令を入力できる特殊なプログラムが導入されていて、

これを使えば遠隔で船のほとんどのシステムを制御できる。

船内に戻っていちいち手動でドアの開閉ボタンを押すのは

さすがに面倒なのでこれで済ませてしまおう。


>> 「接続中……命令の入力は問題なさそうで。実行しておきます」


ジェフがそう答えた直後、慣性航行する俺から徐々に遠ざかりつつある

輸送船の開いたままだった扉が一斉に閉じ始めた。


そんな自動的に閉じていくドアを見守りつつゆっくりと狭い宇宙を漂い、

1分ほどで自分の船まで戻ってきた。

格納庫の開口部から見える船内にはドローンたちが回収した低温ポッドが

邪魔にならない場所へ並べられているのがわかる。


運動方向は維持しつつ姿勢だけ足が下になるよう調整して

そのまま格納庫のエアバリアを通過。


すると、人工重力の圏内に入ったことで急激に下へ引っ張られ落下する。


重い衝撃音とともに着地し、これでひとまずは任務完了といったところだな。

まあその任務を発令したのは俺自身なんだが……。


「艦長の帰還を確認。格納庫を閉鎖します」


戻ってきたらすぐにジェフの艦内放送が聞こえた。

はぁ……めったにやらないようなことをして妙に疲れたな……。

まあいいさ。そういうわけで、後ろを軽く振り返って

格納庫の扉が閉じていくのを確認しながらきれいに並べられている

ポッドのところへ歩き、休憩がてら中身をよく見てみることにした。

搬出作業を優先したせいでそこまでじっくりは見れなかったからな。


気化した反水素も問題なく隔離フィールドで保護されるので爆発はしません。

ただ液体反水素じゃなくなるだけです。

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