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#0017 電源復旧と研究棟への道: 浮遊島惑星 その4

電気つけて隣の部屋まで行くのに約3000文字ってマジ?

近づいて、発電機の操作盤を確認する。

非常に古い型だが操作方法はさほど複雑なものではなさそうだな。

装置の動作は自動制御で使う側は最低限のメンテナンス

さえすればいいという一昔前のよくある造りというやつだ。


操作盤の右側にある"Core Ignition"と書かれたボタンを押しながら――

おっと、起動キーがいるのか。

まいったな……。


扉やコンテナなら鍵を壊せば済む話だが

こういう機械の場合は事情が違ってくるわけで、

仕方ないから何か使えるものがあったか探そうか。


個人端末からストレージインターフェースに接続して

今しまってあるものの一覧を表示。


うむ、どれも武器や弾薬、爆破装置やら物騒なものばかりだ。

こうやって中身を一覧で見ると持ち主の主義や性格が見えてきそうだな。


だが、それでも目録に目を通して何かないかと探して続けていると

運よく使えそうなものを見つけることができた。


というのは、数年前にやっていた軍の新装備セールで買った"適応型万能鍵"だ。


全体がプログラマブル物質でできていて

どんな複雑な鍵もコピーできる。


電子ロック用の磁気記録やらも模倣できる優れものだぞ。


……まあ今はそんなことはいい。


それを手元に呼び出して、あとは起動キー用の鍵穴に差して

構造を模倣させるだけ。簡単だな。


発電機の起動手順自体は単純。


右の赤いボタンを押しながらコピーした起動キーを差して時計回りに回すだけ。


そうすると、おそらく内蔵バッテリーか何かから

点火用の電力が供給され、核融合炉は動き出した。


稼働音はほぼ外に漏れないから静かなものだが、

一気に各モジュールに明かりが灯ったことは発電機が正常に

稼働していることをわかりやすく知らせてくれる。


さて、戻るか――っと、ニックスだな。

最初の部屋の方から足音が聞こえてきた。


爪が硬い床に当たるときに鳴る特徴的な音のおかげで分かりやすいね。


「電力は無事復旧したぞニックス」


どうせお前の興味の対象はこれだろ?

隣の部屋から走ってきたニックスに、聞かれる前から答えてやる。


「へへ、そうみたいだな! 急に明るくなったから

電源見つかったのかなと思ってさ」


「ああ。小型の核融合炉が置いてあった――そこのやつだな」


「なるほど、それなら安心だな。ふむふむ……」


……おい、話聞けよ。

俺が背後にある発電機を指差すや否やニックスは様子を見に走っていく。

……抑えきれぬ好奇心ってやつかねぇ。

まあ、一応説明は続けるが。


「表示を見る限り残り寿命は余裕があるからこの惑星を探索する間

ここを俺たちの一時拠点にしても問題はないだろう。

かなり古いD-³He核融合炉だが状態は良好だ」


ニックスは俺が話している間も物珍しそうにいろいろな角度から

発電機を観察していて、珍しいもの好きとか

そんなレベルではないものを感じるよ。


ただ、一応話は聞いているらしく、

俺の話に出る特定の単語ごとにわずかに耳が動いている。


こいつの耳は本当に感情豊かだな。顔に出るはっきりとした

表情というのはなくとも目や耳の動き、そして鼻先の向きで

なんとなくどんな気持ちでいるのかは察することができる。


「さて、俺はこの部屋の奥にある通路の先を

見てみようと思うんだが、お前も来るか?」


発電機に夢中のニックスに呼びかけてみる。


「ん、ああ、んじゃ一緒に行こうかな。この先って位置的には

たぶんもう片方の居住モジュール? に繋がってるよな」


確かに、ニックスの言う通りこの先は向こうの研究モジュール側か。


「向こうのはおそらく研究モジュールだから、何か他に

面白いものが見つかるかもな。さあ、行こうか」


「おう」


そうと決まれば先へ進もう。

電力が復旧したおかげでこれ以上扉の手動開放は必要ない。

俺たちは入ってきた通路のちょうど反対側にある

もう一つの通路へと進み、探索を続ける。


窮屈そうにするニックスを連れて狭い通路を通り、ずっと奥の方へ。

かなり長いからこれは山の中を掘り進んで設置したらしいな。


「なんか、この通路長くないか? なんていうかもともと

別で設置した居住区を無理やりつないだとか、そんな感じなのかな?」


さすがに狭いよな、お前には。

ニックスは翼を畳んで頭を下げればこういう場所も通れるとはいえ、

前後に長いせいで方向転換はほぼできない。


……こいつの言う通り中間に他のモジュールがないことを

考えるとそうなのかもしれんな。


何か所か一応左右に部屋を接続できそうな分岐はあったが、

せっかくだからととりあえずで置いたような配置で計画性がない。


まあ、そこを気にしたところで俺たちにはどうにもできんがね。

諦めてそこからさらに進むと、ようやく研究モジュールの入り口が目に入った。


通常の居住モジュールとは異なる造りの扉。

外装も同じだ。研究モジュールは有害な物質や研究サンプルを

扱うことを想定して通常のモジュールよりも丈夫に作られている。


「お、ここから先が研究モジュールなのか?」


俺の右肩の上あたりから首を突っ込み奥を覗き込むニックスがそう話す。


「そうらしいな。向こうとは扉の規格が違う。

接続の互換性は保たれているがより頑丈な設計のものだな。開けてみようか」


謎の期待に胸を膨らませながら見守るニックスを背に、

扉を開け――さすがに鍵くらいはかかっているか。


「おっと、さすがにそのままは開けられないか。ニックス、少し下がってくれ」


「お、ドアぶっ飛ばすのか?」


ぶっ飛ばすってお前なぁ……。

軽く蹴破るだけなんだが。


「さすがにそこまで派手にはやらないぞニックス……」


ニックスが距離を取ったのを確認したら、通路の手すりを掴んで

体を固定し鍵のかかった扉を勢いよく蹴っ飛ばす。


――第4世代型強化生物の蹴りを受けた扉は

いとも簡単に折れ曲がりながら奥へと吹き飛び、


エアロックの内扉を巻き込んでモジュール内部に倒れこんだ。


「……ほんと、すっごい力だよな、強化生物ってさ」


「そういうもんだ。さあ、中を見てみようじゃないか」


ニックスは少し引き気味だが、まあこいつもそのうち慣れるだろうさ。

気持ちを切り替え、こいつと一緒に研究モジュールの中へ進む。


その内部は俺が吹き飛ばした扉を除けば全くの無傷で、

研究用の機材もほぼそのまま残っている。


いくつかは撤収時に回収されたようだが……残っているものが

どれも嵩張るものや安価なものというのを考えれば


撤収時にはあまり時間的、貨物容量的に余裕がなかったのかもしれない。


「ふむ、中はごく普通の研究モジュールといったところだが、

いくつかこの惑星の調査用らしき備品もある、か。

ニックス、一応尻尾で机の上のものを落とさないように気を付けてくれよ」


研究モジュールは居住モジュールと比べてものが多く、

ニックスにとっては相当動きにくいだろう。


まあこれは人間より体の大きい種族全般に言えるだろうがな。

モジュールが人間用なんでドールのやつらだとそもそも通れないはずだ。


「……へへへ、まあ、そうだな、気を付けるぜ」


すまんなニックス、せっかく浮遊等惑星に降りたというのに

いきなり狭い場所ばかりで。


とにかく、ここでの用事を済ませてしまえばあとは最初に入った

居住区以外使う必要はなくなるし、ニックスが嫌だというなら揚陸艇に戻るか


こっちで新しい居住モジュールを設置してしまえばいい。

確か6次元折り畳み式居住モジュールがいくつか余っていたはずだ。


さて、ニックスには自由にしていてもらって、なにがあるか見てみようじゃないか。

[装備品: 適応型万能鍵]


アダプティブ・キー (Adaptive Key) とも呼ばれる特殊な鍵。

構造全体がプログラマブル物質である疑似知覚素材で構成されており、

鍵穴に差し込むと自動でその構造を変化させ、正しい形状に適応する。


また、キーカードリーダーのような電子ロックのパターン解析、模倣も可能。


諜報、工作用途での使用を想定し、アダプティブ・キーは使用者の

生体組織の構造を模倣し、体の一部として同化することも可能である。


この状態であれば高度なセンサー機材無しではほぼ探知不可能なため

潜入時の選択肢を大きく拡張することができる。


コメント:


当然ながら悪用がいくらでも利くので

入手、所持、使用には高位のライセンスが必要です。


[種族: ドール]


ドールは非常に大柄な人型の種族であり、高重力環境に適応した

丈夫な肉体と骨格を持つ。彼らはその種族名を冠した"ドール帝国"として

銀河共同体に参加しており、その優れた軍事力、工業力から現時点で

トリニティに次いで高い影響力を保有している。


コメント:


帝国とは言いますが実際には直接民主制 (国民が指導者を直接指名する)

方式であり、帝国という部分や指導者の肩書きである"皇帝"は

あくまで惑星統一からしばらくの間君主制であったという過去に

基づいたものです。 惑星統一を成し遂げた当時の皇帝が非常に人気が高かったため

敬意を込めて指導者を皇帝と呼ぶようになった、という感じ。


そのほか:


万能鍵が無かったらどうする?


→艦載AIのジェフに亜空間センサーのスキャンデータをもとに

合鍵の3D形状データを作成させ、物質操作器用の生成テンプレートに変換して

手持ちの物質操作器で出力する。


まあこういう用途で作られていないジェフは当然怒りますが。

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