#000D 短い帰郷と長い旅
文中の横棒 "――" をとりあえず水平棒(u+2015)に統一しました。
ところで、なんで3000文字ちょっと書くのに10日以上かかってるんですか?
他にやりたいことがあるとはいえさぼりすぎである。
(途中まで書いていたんですが気に入らなかったので書き直しました)
X4のModの次のバージョンをリリースしたら
一度Modの更新は止めてこっちに集中すべきですね。
雪原の上空を飛んで数分。周囲の景色もすこしずつ
雪と岩だけの土地から寒冷な森といったものに変わってきた。
さっきまで歩いていたのがばからしくなるくらいにとても順調だ。
下を見てみるといくらか野生生物の姿も見えて、
ようやく命のある土地へ近づいてきたのを感じる。
「おーい、そろそろコロニーにつくからな。
着陸態勢に入るから落ちないように頼むぜ」
辺りを観察していたところ、ニックスがこちらを振り向いた。
「わかった」
ニックスに返事をし、こいつの鼻先が向く方を
辿って俺もコロニーを探してみる。
すると、ちょうど真正面、1kmほど先にいくつかの明かりが映った。
あれこそニックスの群れが暮らすコロニーというわけだな。
「あそこがお前の故郷なんだな。
なかなかよさげな場所に住んでいるじゃないか」
コロニーの様子は空から見てもよくわかる。
雪のドームに穴をあけた住居がいくつも並んでいて
それぞれにしっかり明かりが灯っているし、そこの住人、
ニックスの同族であるスノーワイバーンたちは仲間と会話を楽しんだり、
コロニーの外にあるちょっとした高台に上って景色を眺めている者も
居たりと――とても平和な光景だな。。
「だろ? 俺はまあほとんどあそこにはいないけど、
静かで平和でいい場所なんだ」
着陸に備えているためか、ニックスは前を向いたまま答えた。
……行く先々で見る何気ない風景。町やステーションの暮らし。
そんなものですら、見ているととても暖かな気持ちになる。
これも平和とは無縁の人生を歩んできた反動なんだろうな。
さて、そうやってまたいつものように思いにふけっているうちに
コロニーはすぐ目の前だ。地上を見てみると、俺たちに気づいた
住人達も着陸地点の周りに集まってこちらを見上げている。
ニックスはそこをめがけ翼を大きく広げながら高迎角で滑空、
降下してゆき――そのまま一度も制動することなく、
完璧なスロープを描いて柔らかに着地した。
まさに舞い落ちる羽のごとく、だな。
人を乗せているのにかかわらずブレーキなしでこうも
緩やかに着地できるなんて、本当に経験豊富なんだろう。
「よっと、着いたぜ。おつかれさん」
着地したニックスはこちらを振り向き話す。
俺の方もずっと背に乗ったままでは悪いし、降りて地面に足をつけよう。
「ああ、ありがとう、ニックス」
降りてから礼を言い、ニックスとともに歩き出そうとしたところ――
「おかえりニックス! ほんとに久しぶりだな」
「帰ってきたんだね、ニックス! というかその人だれ?」
「久しぶりに顔を見せたかと思えば、上の人間を連れてきたのか?」
俺とニックスが話し終えるまで
待っていてくれたやつらが思い思いに声をかけはじめた。
ははは、人気者だな、ニックスは。
「まあまあ、みんないっぺんに話さないでくれよ。
んで、えーと、この人間はな――」
歓迎してくれているスノーワイバーンたちのうちの
小柄な個体――おそらくまだ子供らしい――に説明しようとしたニックスは、
一瞬言葉を詰まらせ、そのあとすぐにこちらを振り向いた。
……なんだよ。
「なぁ、えー、友達ってことにしといていいか?」
ニックスは俺の耳元まで鼻先を近づけ、小声でそう尋ねる。
……ああ、そういうことか。
「まあ、別にそれでいいぞ?」
話を合わせるためこちらも小声で返事をした。
「あー、俺の友達なんだ。旅先で知り合ってさ!」
「そうなんだ! ニックス、ずっと一人旅だって言ってたし、
ようやく仲間ができたんだね」
少しぎこちない話し方をするニックスだが……
うむ、まあ問題はなさそうな反応だな。
「一応、俺からも挨拶を。オーウィン・マレウスだ。
ニックスと同じく旅人だよ」
「うん、マレウスさん、よろしくね」
そのスノーワイバーンの子供? 雛? 幼鳥……?
なんといえばいいかはわからないがとりあえず幼体は、
まだ成体のそれほどは長くはない耳を立て、俺を見つめながら挨拶を返した。
――その直後、話の切れ目を見計らっていたのか
また別の個体が割って入ってくる。
「ふぅむ、友達ねぇ。ま、後で話せよ、ニックス」
少し呆れているのか、もしくは親しい仲ゆえか。
穏やかさの混じる声でそう話したのは、
どことなくニックスと似た雰囲気のある個体だ。
正直人間がスノーワイバーンの個体を識別するのは難しいから
言い表すのは難しい。だが、何かが似ている。
……生体強化のおかげで匂いもしっかり感じ取れはするんだがな……
そもそも人間がそうやって個体を識別する生き物でない関係で
こっちのやり方にはどうもまだ慣れん。
「へへへ、わかってるよ、ゼノン」
ニックスが答えると、ゼノンと呼ばれたその個体は反対へ振り向き、
力強く羽ばたくとコロニーの中心にある一番大きな住居へと飛んで行った。
――あいつが群れのリーダーなのか? まあ、詳しいことはニックスから
聞けばいいか。もしくは、後で話せと言っていたし
ニックスについていけば分かるかね。
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そのあとも何人か、久しぶりに帰ってきたんだろうニックスを
歓迎して声をかけに来て、ようやく辺りの様子は落ち着いた。
特に触れていなかったが、ちょうどこのコロニーを訪れていたらしい
近くの村だかの人間も遠くから眺めるのをやめて本来の用事に戻っていく。
「それにしてもずいぶんと手厚い歓迎だったな。
ニックス、お前はここじゃどういう立場なんだ?」
気になるしな、"祭り"も終わって二人でこの場に取り残されたそばから
ニックスに直接聞いてみることにした。
「えー、んまあ……あれだよ、ほんとは俺がこの群れのリーダーなんだけど、
普段コロニーに居なくてさ」
ニックスは視線をそらしながら話を続ける。
「んで、さっき俺がゼノンって呼んだやつ。あいつが俺の代わりに
リーダーの仕事やってくれてるんだ。ほんと頭上がんねぇよ。
なのにさ……俺、いまから当分帰ってこないってことを
伝えないといけないわけだろ? ちょっと気が引けるよなって」
なるほどね。なかなか面白い関係だ。
旅をしたいのにリーダーの立場にいるニックスをゼノンが代わりに
リーダーをやって支えてくれているということか。
「……お前、群れを率いる立場だったのかよ。
まあ別にそれは俺が口をはさむことじゃないからいいがね。
さて、じゃあそのゼノンに旅立ちの挨拶をしに行くか?」
「うん、そだな。ついてすぐで悪いけどさ、一緒に来てくれるか?」
気持ちが定まったのか、ニックスはこちらと目を合わせて話した。
「もちろん。事情を説明するうえでも一緒にいたほうがいいしな」
俺もそう答えて、ニックスとともに
ゼノンの待つコロニーで一番大きな建物の方へ。
「よっと、こっちだぜ」
と、一緒に歩いていくのかと思っていたんだが――
なんとニックスは一瞬こちらを振り向いた直後に
飛行生物らしからぬ軽快な足取りで走り出す。
……おい待ってくれよ。しかも、こっちが人間だということも
特に気にせずに途中から飛び上がり、ゼノンの家まで一直線だ。
まあ、普通の人間ならこれを追いかけるのは苦労するんだがな。
なんだ、ニックスは気づいていたのかね。
「置いていくなよニックス」
先にゼノンの家の前についたニックスは、大きく右翼を広げて"手を振る"動作で
こちらを呼んでいる。
全く……まあ、追いかけようか。
相変わらず雪で歩きにくくはあるが、
この辺りは揚陸艇を下ろした場所と比べれば遥かにマシだ。
走っていってもいいが……そうだな、ここは跳ぶ方でいこう。
ニックスの位置を確認したら少しだけ助走をつけ、
地面を蹴って一気に斜め前へと体を打ち出し――
そのまま砲弾のようにしてニックスの頭上を飛び越え背後に着地する。
「へへ、やっぱ強化生物ってすごいな! 走ってくるかと思ったんだけどさ」
「足場が悪いなら一気に飛び越えたほうが楽だからな。さて、行こうか」
「だな」
そのほか:
生体強化処置で強化されるものは身体の丈夫さや駆動出力だけでなく、視覚、聴覚、嗅覚なども強化されますし、免疫機能もほぼ一から再設計レベルで改変されるため、細菌、ウイルス、微生物、寄生虫は強化生物の体に触れた瞬間分子構造や神経機能が崩壊して即座に無力化されます。
見た目がベースとなった生き物から変わらないだけで中身はほぼ凶悪な生体兵器ですね。
毒物も一切効果が無く、皮膚だけでコイルガンからの徹甲弾を受け止める程度のものがあるので、この時代ではとりあえず銃口を向けて脅すというのはまあ通用しないです。強化兵士ならそこら辺の金属片をいくつかまとめて掴んで投げるだけで機関砲用のキャニスター弾のような威力を出せますから。
あと、お互いアーマーを着込んでいる場合でも、1発でアーマーを貫通できる武器自体が稀なので結局は殴り (もしくは撃ち)合わないと決着がつきません。




