ルムーシュク、深淵に立つ獅子《カイ》
《カイ》
その港町は、夜の闇に包まれて、今にも煉獄から何かの使者が現れそうな雰囲気に満ちていた。
どこからか戦いの音が聞こえる。金属と金属が弾け合う音。シャルグ家とガルブ家の者が戦っているのだろうか。硝煙や血の匂いはしない。潮風は嗅覚を鈍らせる。
しかし、気配は察する。
「来たっ。」
剣を抜き、勢いのままに横に払うと犬を捩じ切った。露路裏から飛び出して来た犬だ。牙を剥き出しにして、血を流している。
「犬っ?」
笛を構えたマキが呟く。
「どうやら、こいつも死体だな。肉が鴉か何かに啄まれて、骨が見える。」
ユフィが冷静に言う。ただ、旅のなかで感じたことだが、彼はまともな感覚の持ち主なので、こういうことへの嫌悪感はきちんと示す。
「このくらいの相手なら、僕が先頭で倒す。ユフィとマキは、セーラたちとの戦いに備えて、力を温存してほしい。セーラ以外、誰がいるかは分からないしね。」
「分かった。しかし、カスガがいないぶん、前衛は薄い。無理はするな。」
ユフィの言葉に頷いて、僕たちは旧教会跡を目指す。
目的地まで、襲って来る何体かの死体を斬り捨てた。罪悪感はゼロでは無いが、生きた兵を斬るよりも、幾分かはマシな気がする。
僕は、人を殺めることの感覚が、とても鈍くなってしまっていると自覚している。ただ、これは役割だと、使命だと、割り切ってもいる。
「この階段の上だ。」
看板が旧教会跡と示している。僕は、階段を一段上がる。
そのときだ。
〈おい、金ネズミ。〉
「えっ。」
立ち止まって、周囲を見渡す。
「どうしたの?」
「いや…。なんでもないよ。」
マキが心配して声をかけてくれるが、僕は答えたくなかった。声を振り切るように、再び階段を上がり始める。
しかし、その侮蔑の声は止まない。
〈異国人のくせに。〉
〈お前、訛りひどいな。〉
〈養子なんだって?〉
僕は耳を塞ぎたい気持ちを抑えながら、階段を上がる。
「おい、カイ。本当に大丈夫か。」
ユフィが後ろから、声をかけてくる。
「何が…。」
「お前は緊張しているときや警戒しているとき、右手を剣に添える癖がある。今もそうだが、余計な力が入っているのを感じる。」
そう言われて、右手を剣から離す。そして手袋を外すと、汗でびっしょりとしていた。震える手を、握ったり開いたりする。自分の手では無いみたいだ。
「カイ。」
顔を上げると、マキの紫色の瞳が、僕を見ていた。
「私には少しの支援しか出来ないけれど、カイが苦しいときは力になるわ。一緒に力を合わせて戦って、ソラとカスガの元へ帰りましょう。」
そう言われて、少し肩の力を抜き、息を吐く。彼女の声は穏やかで、不思議と体内に浸透していく感覚だ。
「うん、ありがとう。行こう。」
その後も、僕を抉るような声は止まない。しかし、切り替えるのだ。振り払うのだ。僕は決して器用ではないが、決めた道をひたすらに進む意志には自信がある。後ろを歩くユフィとマキの存在が、今は頼もしい。
階段を上がり切ると、旧教会跡があった。夜なのでよくは見えないが、おそらく観光資材として、昼は人々が見物に訪れているのだろう。管理された花壇が建物を囲んでいる。
「開いているね。」
僕は扉に鍵がかけられていないのを確認し、体重をかけて扉を開けた。扉は重く、大きな音を立てる。
「ようこそ、おいでくださいました。」
教会に踏み入ると、二人の人影が見えた。屋根が崩れており、月明かりが十字架に降る。その光を背に、セーラとフロレットが立っていた。
「二人か?」
ユフィが問うと、フロレットはセーラの後ろに隠れ、代わりにセーラが一歩前に出て言う。
「ええ。ちょうどよろしい戦力かと。」
「女性二人なんて、少し気が引けるけれどね。」
僕がセーラの挑発的な言葉を受け剣を抜くと、フロレットが怯えたような顔で、さらにセーラの後ろに隠れる。これにはさすがに、少しの後ろめたさに侵される。
「よくあんなにも苦しい階段を越えましたね。」
セーラが微笑みながら言う。
「あなたのせいだったか。なかなか趣味の悪い道中だったよ。」
剣の切先を彼女たちに向けて言う。ユフィとマキは、セーラと僕の会話に戸惑いながら、本と笛を構える。
「悪いけれど、僕は腕力に自信があってね。両腕であなたたち二人を組み伏せることぐらい出来るよ。」
僕はわざとらしく両腕を広げて、セーラたちに宣言する。ただ、それはハッタリではなく本当だ。細身の女性と少女の二人ならば、それぞれを片腕で抑えることは出来るはずだ。
「まあ、頼もしい。」
セーラは手で口元を覆い言う。
「ですが、魔道はどんなにか弱い者でも、大きな獣を抑えられる可能性を持っておりますのよ。」
獣。先ほどの階段から、まるで見透かすかのように、僕の内面を抉る言葉が向けられる。
すると、セーラがカツカツと靴音を立てて、こちらへ近づいて来た。僕たちは迎え撃つ準備をする。セーラが細い指を目線の高さに上げ、魔力を集中させるので、マキが結界魔道を展開する。しかし。
「え…?」
マキが笛を口から離し、驚いている。
セーラが指先から放った血の針は、結界にも何にも阻まれることなく、僕の頬に傷をつけた。
「ま、魔道が使えない。」
ユフィが本をめくり、彼らしくない慌てる様子を見せる。
「この香りは、何…?」
マキの言う通り、嗅覚を働かせる。潮風よりも近いところに、優しいほどに良い匂いを感じる。
「ラベンダー…。」
沈黙を貫いていたフロレットが、小さく呟く。
「花言葉は、沈黙…。」
「花言葉?」
ユフィが問うと、セーラがふふっと笑い答える。
「ええ、フロレットは花の形代。花の精霊の力を借り、特定の花の恩恵を受けるのです。」
ユフィとマキが、焦りや不安を通り越して、絶望にも似た表情を浮かべる。詠唱と音、二つを封じられては、彼らになす術は無いのだ。
「優しい匂いの下で、眠って…。」
フロレットが、素朴な見た目に似合わない宣告を口にする。こうなったら、戦えるのは僕だけだ。剣を構え、一歩踏み出す。
「カイさん、私、なかなか苦労しましたよ。」
セーラが僕に、指を伸ばしてくる。
「苦労?」
「ええ、私これでも、自分の容姿への自負がありまして。少し微笑んだり指をツンと指したりするだけで、男性に恋をさせてしまうのです。」
言葉通り、セーラは美しい女性だと、客観的には思う。だが僕は特に、気持ちが揺らぐ瞬間は無い。
「舞踏会で指を止められたとき、手強い殿方だなと…。ですが、男性を崩すのは恋心だけでは無いのですよ。」
〈金ネズミ。〉
「なぜっ…。」
セーラの言葉に、敵意が込められた言葉が混ざる。僕は思わず剣を下ろし、一歩下がる。
「か、カイ?」
マキが驚いて、ユフィとともに僕を支えようと、二人が僕の両側に立つ。
「カイさん、あなたの内側には、寂しく震える少年がいましたよ。私はその少年を、少し優しく撫でてあげただけです。」
〈生意気な異国人がっ。〉
「やめてくれ…っ。」
剣を支えに、膝をついて崩れてしまう。同時に、両脇を支えるユフィとマキも膝をつく。
頭の内側からガンガンと、僕を崖の端へと追いやるような言葉が鳴り響いて痛む。
〈しょせん、養子のくせに。〉
〈騎士の血を汚す者よ。〉
そして、養父が僕に向かって怒鳴る。
〈クアロラルシュを継ぐ人間がそんなことで泣くな。〉
頭を振り、自身を取り戻そうともがく。ユフィとマキが僕を呼ぶ声がする。
しかし、ふと知っている声が混ざる。
〈ねえ、なんで、剣の道を選んだの?〉
それは、まだレシオに暮らす、八歳の僕だった。
少しの間、暗闇を彷徨う。音もなく、風もない。
やがて、温かい空気を感じて目を覚ますと、あまり馴染みの無い少女が目の前にいた。
セシルだ。十六歳のセシルが、テーブル越しにニコニコと笑っている。
「ねえ、お兄ちゃん聞いてる?」
「え…。」
セシルは年頃の女の子らしく、コロコロと表情を変える。
「セシル、お兄さんは疲れているのよ。今日だって、剣の稽古に励んだのですから。」
声のほうを向くと、お母さんがいた。目を閉じていない。しばらく、お母さんを見つめてしまう。
「どうしたのです?カイ。」
「いや…。」
お母さんの目に、光がある。視力を失っていない。思ってもいないもしもの話に、動揺してしまう。
「ただいま。」
「アストールさん、おかえりなさい。」
お母さんが玄関へ歩み寄ると、お父さんがいた。写真で見た若いお父さんと違い、年相応に年齢を重ねたお父さんだ。お母さんと仲睦まじく、軽く体を抱き寄せている。
「カイ、今日の剣の稽古はどうだったんだい?」
「え…。」
槍を下ろしながら、あまりに自然と声をかけてくるお父さんに、僕は大きく戸惑う。僕が持つ最初の記憶は、三歳か四歳くらいだろうか。僕とセシルが寝た後に、家族写真を見て泣くお母さんの記憶だ。
しかし、僕はそんな憂鬱な気持ちに惑わされない。
「寂しく震える少年か…。セーラ、こんな夢のような光景を見せるなんて、本当にあなたは悪趣味だね。しかも、セオドアの二番煎じだ。」
僕がそう言うと、途端に目の前の家族が泥人形のように溶けた。
また、暗闇に包まれる。
そして、重い足音がしてそちらを見ると、目の前に見上げるほど大きな獅子が現れた。それは白黒の世界で、しかし、立派な立髪をなびかせている。
「ルークさん…、では無さそうだね。」
獅子のけたたましい咆哮で、僕は吹き飛ばされる。
潮風の匂いがして、僕は目を覚ます。
「おい、小僧。サボるなよ。」
大人に小突かれて、僕は手に持った荷物の重さを感じる。レシオの市場、僕はそこで、日雇いの荷運びをしている。六歳か、七歳の頃だ。
仕事を終え、何枚かのコインを受け取り家へ帰る。
「ただいま帰りました。」
「ええ、カイ。おかえりなさい。」
お母さんが目を瞑って座っている。もうほとんど、視力を失った頃だ。
「怪我はしていない?不親切な人には会わなかった?」
「はい、大丈夫です。」
心配するお母さんの手を取って、僕はそう答えるのが日常だった。
「セシル、帰ったよ。」
セシルはこの頃、お母さんの失明を受け止められず、布団にこもって泣いていた。そして、泣き止んで夕飯の食卓に出て来るまで、話しかけるのが僕の日課だった。
本当は本を読み聞かせてやれれば良かったのだろうけれど、字の読み書きを習っている途中でお母さんが失明してしまったので、僕の識字力は半端なものとなっていた。おじいちゃんとおばあちゃんは、貴族の家で働いたことがないので、読み書きが出来ない。
少ししておじいちゃんが帰って来て、おじいちゃんと僕の稼ぎで食材を買い、おばあちゃんがささやかな夕飯を作る。ただ、食べて生き繋ぐための生活だった。
しかし、おばあちゃんはこの冬の寒さを越えられず、亡くなってしまった。
家には死と病の影が満ちていて、セシルは泣くばかりだった。僕は毎朝、お父さんとおばあちゃんの墓にセシルを連れて行き、家族の幸せを願った。でも、幸せなんて、僕には形が分からなかった。
ある日の仕事帰り、人だかりが盛り上がっているのを見かけた。
「勝ち抜きおめでとうっ。賞金五千ルピーだよ。」
五千ルピー。それは僕の数週間分の稼ぎだった。僕はその人だかりを分け入って進んだ。
「お?新たな挑戦者かい?」
「え?挑戦者?」
気づいたら僕は木剣を持ち、がむしゃらに剣を振っていた。ただ、剣なんてろくに握ったこともないので、一回り大きな少年にボコボコにやり返されてしまい、額にタンコブが出来た。
惨めな思いで家に帰ると、お母さんがおかえり、と言う。しかし、お母さんは目が見えないので、僕のタンコブに気づかない。
そして僕はいつも通り、大丈夫です、と答えるのだ。
しかし、この日以来、僕のなかに暗い火が点いた。仕事の合間に木の棒を振り、目の前に敵を想像する。周りの大人は子どものチャンバラ遊びとからかうが、僕は本気だった。
力を得れば、剣で敵を負かせば、貧しい思いや惨めな思いをすることはない。
僕は何度も武闘大会に参加し、ボコボコにされながら勘を得て、やがて常勝選手となった。少し年上の少年にも勝ったので、僕は天才少年だと褒められることもあった。
しかし、観客のなかには、僕を下層のネズミと揶揄する者もいた。
僕は傷ついていた。しかし、そんな傷を無視して、次の仕事、次の武闘大会へと参加した。悪口に慣れてくると、むしろ、下層の子どもと貶されることで、僕のなかの暗い火は強く燃えた。
そんなとき見かけたのが、下層出身の武闘家が叫ぶ言葉だった。
「レシオの黎明に栄光あれっ。」
人々はその言葉に一層の歓声を沸かせ、コインを次々と投げ入れた。これだ。僕は、同じ手段を選んだ。
ある日の武闘大会でも、僕は年上の少年たちを負かし、勝利した。そして、荒い呼吸のなか叫ぶ。
「レシオの黎明に、栄光あれっ。」
すると予想通り、コインの雨が降り注ぐ。
「下層の希望だわっ。」
「頑張れよ、カイ。」
僕はおそらく、生まれて初めての達成感でいっぱいだった。今度は喜びで叫びそうだ。
しかし、家に帰ると。
「馬鹿野郎っ。」
僕はおじいちゃんに思い切り頬を叩かれた。せっかくの紙幣やコインが床に散らばる。
「そんな危険なことをしていたなんて、神海に行ったばあさんとアストールに顔向け出来ねえよ。」
「お父さん、やめてください…。」
お母さんが、手探りでおじいちゃんを探す。
僕のなかの、暗い火がカッと燃える。
「僕は、僕の力で勝ち取ったんだっ。お金があれば、お母さんの目だって治せたし、僕たちだって学校に通えるじゃないかっ。」
それを言って、僕は床に伏せて泣いてしまった。おじいちゃんもお母さんも、言葉を失って座り込んでしまった。僕は、とんでもない親不孝者だった。
そして、ほんの数日のうちに、セシルに奉公に出る話が出た。元上層の貴婦人の世話係だという。しかし気性が荒く、何人もの少女が怪我をして帰ってきたと言う。
「僕が、僕が代わりに行きます。」
「それは…。ご婦人の世話係ですから、女の子を希望していらっしゃるの。」
お母さんは頭を抱えて言う。セシルはますます布団にこもった。
おじいちゃんには否定されてしまったが、僕は変わらずに、日雇いの仕事の後、武闘大会に参加した。もはや、自棄だった。
そして八歳のとき、セシルが奉公に出る三日前、転機が訪れた。
それはよく参加する、武器屋主催の大会だった。いつも通り、勝てる戦いだった。
しかし、足に激痛が走る。もうボロボロになった靴の底がはがれ、足裏で釘を踏んでしまったのだ。でも、負けるわけにはいかない。僕は靴を脱ぎ捨て、歯を食いしばって、剣を振る。
僕は勝ちに貪欲だった。
結果、相手を舞台際へ追いやり、僕は勝利した。けれど、足が痛くて、何も言えない。
僕はどうしてこんなに戦って、勝とうとしているんだろう。もちろん賞金のためはあるけれど、なんだか形の無い水や影を斬っているような、手応えのない虚しさが、賞金とともに手元に残った。
「なあ、君。」
大会を終えて、家へ下りる階段へ向かおうとすると、身なりの良い老夫婦に声をかけられた。
「君は、剣をどこかで習っているのかい?」
「えっと…。」
「ああ、急にすまない。私はジュード=クアロラルシュ。妻はマーテル。私はグランディエ国で、騎士をしていたんだ。」
その老人は帽子を取り、上品に挨拶をする。
「騎士…。」
「君の名前は?」
「カイ=エルキエフです。」
「良い名前だ。それで、剣の師匠はどなただい?」
「いません。」
僕がそう答えると、老夫婦は驚いた。
「誰にも教えられずに、あの剣筋を?」
「はい。」
老夫婦は顔を合わせて、この子だ、と言った。
「実は私たちは旅行がてら、養子を探しているんだ。将来、騎士になり、クアロラルシュ家を継ぐ男子をね。カイ君、興味はあるかい?」
「養子…。」
僕は俯いて考えた。グランディエだなんて、お母さんが失明する前に地図を見せてもらったけれど、海を遠く越えたところの国だ。
けれど、この老夫婦の身なりを見る限り、僕も、もしかしたら下層に暮らす家族も、貧しい思いをしなくて済むかもしれない。
「あります。騎士にも、興味があります。」
これは半分、本当だ。亡くなったお父さんが騎士だったと聞いていたからだ。
「それならば、君の家族に話しに行こう。案内してくれるかい。」
ジュード氏が言う。
「あなた、少し待ってくださいな。」
マーテル婦人が、僕をベンチに座らせる。すると、懐から見たことのない細かな刺繍のされたハンカチを出して、僕の血まみれの足に巻いた。
「そんな、高そうなハンカチ…。」
「いいのよ。こんなに痛そうにして、頑張ったのね。」
このとき僕は、ぐちゃぐちゃになっていた感情のうちの一つ、傷ついてボロボロになっていた糸がプツンと切れて、泣いてしまった。
優しくされたのは、いつ以来だろう。自分がまだ八歳だったことを思い出し、張り詰めたものが緩んでしまった。
その日のうちに、クアロラルシュ夫妻は、僕のお母さんとおじいちゃんに話をした。夫妻の資産は僕たちの想像以上で、僕を不自由なく養育することはもちろん、エルキエフ家への支援、さらにはセシルの学費まで支援してくれるという。
突然の話に、お母さんもおじいちゃんも戸惑っていた。特におじいちゃんは、職人として孫を養えないことに、少し悔しさを見せていた。しかし、僕はこの機会を逃したくなかった。
「お母さん、おじいちゃん、僕は剣で身を立てたいです。僕はクアロラルシュさんのお世話になりたいです。」
僕は、揺るぎない僕を演じた。本音のもう半分は、この貧しく、下層だと貶される暮らしから脱したいという思いだった。
ただ、このときの、お母さんの静かに泣く姿が忘れられない。
そして僕は、カイ=クアロラルシュとなった。初めて乗る船は大きく、海は雄大で心が躍った。
僕は、今よりも良い未来を信じて疑わなかった。




