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斬撃の竜巻

ソムは、グリフォンに乗りながら、バイズ川でブルーランドに見つかってしまったこと。なんとか命だけは助かったことをライエンとコリンに話す。

グリフォンは、2人乗せているせいで移動速度が遅い。

 「そういえば、」

ソムはふと気が付いて、ライエンに話しかける。

「なんだ?」

「どうしてお前たちはここにきたんだ?」

「ああそれは・・・。」

 コリンが話に割って入る。

 コリンが言うからには、ソムとアスマスを乗せていないグリフォンがコリンの方に慌ててやってきたらしい。グリフォンは狂ったようにピャーピャー鳴いたらしい。嘴で服を引っ張って見せたりして、とにかくコリンはグリフォンの様子にただならぬものを感じて、ソムとアスマスに何かあったのではないかと心配になったらしい。そこでグリフォンに乗って、移動したライエンとエーヴァを見つけ、2人のグリフォンのいる、ユス湖と水路の合流地点まで戻り、エーヴァはデオンがデンゼルさんを連れてきたときに事情を説明するために残ってもらい、ライエンとコリンの2人でグリフォンに乗って、水路をたどったらしい。そうしたらでかいモンスターが倒れているそばのソムとアスマスを見つけたらしい。

 「けど助かったよ。あれから走るってのは結構苦労するだろうからな。」

 ソムは後ろを見ながら言う。自分の後ろにはアスマスが乗っている。そしてその後ろには、こちらを見つめているブルーランドがいる。

 「・・・え?」

 ソムは間の抜けた声を出す。

 「どうしたんですか?ソ─」

 「グリフォン!スピードアップだ!あいつが追ってきているぞ!」

 アスマスの声を遮って、ソムは大声を出す。

 アスマスもライエンもコリンも2頭のグリフォンも遠い後ろを見る。

 慌てて羽を素早く動かすグリフォンたち。ブルーランドは光線を─自分たちのところには当たらないが、撃っている。

「もうすぐ着くぞ!」

 ライエンは皆が後ろを向く中、前を見て言う。


「デンゼルさん、何とか着きましたね。」

「ああ、悪いね。まさかバイズ川とユス湖が繋がっていたなんて、思いもしなかったよ。」

「え?」

 デオンとデンゼルは例の水路があるところに到着するところだった。

 デオンがグリフォンに乗って、デンゼルを見つけたとき、ものすごいものを見せられてしまった。湖の中央に舟を出して、周囲360°から畳みかけてくるピランの群れを一匹残らず剣で素早く切り裂いているところを。

 それからデオンはデンゼルに水路のことを伝えると、そこまで行くことを了承した。しかしそこからが大変だった。デンゼルはピランに襲い掛かられながら、 舟を漕いで進まなければならなかったのだ。なかなか先へは進まず、デオンが自分が乗っているグリフォンを下まで行かせて乗せようかと提案したら、ピランがグリフォンに怪我をさせてしまったら、デオンもグリフォンも大変なことになると言って、その提案を断った。

「大変だよ!ソムとアスマスがやばいそうなんだ!」

 例の場所に着いていきなりエーヴァが大声を出す。

「これは・・・、ブルーランドのものか?」

「「ブルーランド?」」

 デンゼルの言葉にデオンとソムがオウム返しする。二人は顔を合わせるが、またデンゼルさんの方へ向く。

「おい!」

 水路の先の方から声がした。

 そこにはグリフォン2頭とソム、ライエン、コリン、アスマスの4人。

・・・と、でかい何か。

「おい、そこの4人!魔法を発動させるから、ブルーランドから離れるんだ!」

 デンゼルが叫ぶ。

 グリフォン2頭はそれを聞いて、図ったように左右に分かれて、ブルーランドから離れる。

 デンゼルは水色の横5本縦1本を書く。それをみてデオンもエーヴァもギョッとする。

 レベル5。最高レベルの魔法が放たれる。

 ブルーランドを囲むように大きな竜巻が出来上がっていく。ゴォォォと大きな 音が鳴りだすと、斬撃の嵐がブルーランドを襲う。

 ブルーランドの痛々しい悲鳴が響く。

 しばらくすると、竜巻に赤いものが混じりだす。体を覆っていた鱗がはがれ、直に体に斬撃をくらっているのだ。

 竜巻が収まると、ブルーランドは見るも無残な姿をしていた。青色だった鱗はすべてはがれ、その下に隠れていた皮膚は緑色だろうか。深い切り傷が数多にあり、体のほとんどが赤に染まっている。

 あっという間だった。

 チーム「カラフル」はランクSの実力を思い知ることになった。

 2頭のグリフォンがデオン、エーヴァ、デンゼルの3人のところに着地すると、

「みんな無事でよかった・・・。」

デンゼルは呟いた。


 結局依頼は中止することになった。ユス湖がバイズ川と繋がっていることにより、ピランがユス湖に来ることが分かったからである。

まず水路を埋め立ててから、それからまたピラン狩りを依頼するとのことであった。


「ソムさんすごかったんですよ。こう口に剣をグサッと!」

「へえー。」

「ふーん。」

 コリンとエーヴァはアスマスの話に適当に相槌をうつ。かれこれもう3回話している。

 ロンドに戻ったチーム「カラフル」は、デンゼルさんの配慮があったからか、予定の報酬金全額とまではいかなかったが、半分は貰った。

「もうわかったからアスマス、俺まで恥ずかしくなる。」

 デンゼルさんのあの魔法を見てからでは、ソムの武勇伝も見劣りしてしまう。

「だから言ったろ。俺たちはもっと強くならなけれなならないって。」

 ライエンはソムに言う。

「それとこれとは話は別だ。強いだけじゃ、何の意味もない。デンゼルさんは他に何かを持っている。」

「その『他の何か』は強くなってからしか持てないんじゃないのか?」

「弱くたって、人助けはできる。弱い者は弱い者なりの助け方があるんだ。デンゼルさんみたいな人にはデンゼルさんなりの人の助け方があるように・・・。」

「よっしゃあ!それじゃあ強くなるために今から腕立て500回、腹筋500回、スクワット500回、ランニング500kmだー!」

「「やるかよ。」」

 デオンの提案は二人に即却下される。

 あとランニング500kmってなんだよと、加えてツッコまれる。

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