↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
76/105

第五章第十一話

トレブル(三冠)達成に向けた第一の扉が開く、コッパ・イタリア決勝。


超満員のスタディオ・オリンピコ。国内カップ戦の頂点と最初のタイトルを賭けた決戦のピッチに、クラブのイレブンが足を踏み入れる。相手は今シーズン、ミラノを猛追し続けたセリエA屈指の強豪クラブ。並々ならぬ執念でミラノのタイトル獲得を阻止せんと、立ち上がりから殺気立った激しいプレッシングを仕掛けてきた。


「ヒビキ、まずは一つ目だ。カップをミラノへ持ち帰るぞ!」


「闘犬」ボランチが血気盛んに叫び、相手の中盤と激しい肉弾戦を繰り広げる。


「ええ、一つ目も、その後のタイトルも、すべて僕たちが掴み取ります」


2002年バロンドーラー・響木蒼生は、静かな冷徹さを湛えた瞳で相手の堅牢なバックラインを見据えた。


主審の長笛とともに、タイトルを巡る死闘の火ぶたが切って落とされた。


一発勝負の決勝戦特有の重圧が漂う中、相手守備陣は響木に対して複数人で激しい肉弾戦を挑み、前線での自由を極限まで奪いに走る。前半、激しい攻防が続きスコアレスのまま時が流れるが、ミラノの「黄金の中盤」は冷徹に相手のスタミナと集中力が削れる瞬間を待っていた。


後半12分、試合が動く。


自陣深くで「国防大臣」が圧倒的なインターセプトでボールを奪い取ると、即座に若きレジスタへ預ける。ピルロは相手のプレスを優雅にいなし、地を這うような鋭い縦パスを通す。


中央でボールを受けたマエストロ(ルイ・コスタモチーフ)が、芸術的なキャンバスを描くように相手CBを引きつけ、ペナルティエリアの「エアポケット」へと極上のスルーパスを刺し込む。


相手DFラインが一瞬だけボールに気を取られたそのコンマ数秒――。


響木は相手の死角から影のように抜け出し、完璧なタイミングで進入していた。


「……捕まえた」


バウンドするボールに対し、響木は右足のアウトフロントで極上のトラップ。飛び出してきた相手守護神の頭上を越える、冷酷極まりないループシュートを放つ!


ふわりと浮いたボールが綺麗に弧を描き、吸い込まれるようにゴールネットへ収まった!


『1 - 0』!


「ゴーッッール!! 響木蒼生!! コッパ・イタリア決勝、試合を動かしたのはこの男!!“BOX THE POACHER”の冷酷な一撃がミランに先制点をもたらしました!!」


サン・シーロから駆けつけたミランサポーターの大歓声がオリンピコに響き渡る。


さらに後半38分、焦る相手の隙を突いてミラノが猛攻を仕掛ける。ピルロの精緻なロングフィードに抜け出した響木がペナルティエリア手前で相手CBを背負いながらタメを作り、走り込んできた味方MFへ絶妙なラストパス。追加点となる2点目をアシストし、勝負を決定づけた。


『2 - 0』!


『ピーーーッ! ピーーーッ! ピーーーッ!』


試合終了の長笛が夜空に轟く。


「試合終了!! 『2 - 0』!! ロッソネロ、コッパ・イタリア優勝―――ッ!! トレブル達成に向け、まずは第一のタイトルを獲得しました!!」


歓喜に沸くピッチの中央で、仲間たちと抱き合う響木。主将とともに掲げた金色のカップが、オリンピコのナイター照明に強く輝いていた。


国内カップ戦を制し、セリエA得点王・CL得点王、そして前人未到の「トレブル(三冠)」達成へ向けて、響木蒼生とミラノの伝説はついに第一章を完成させたのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。