第五章第七話
セリエA第11節。クラブが迎えたのは、皇帝と呼ばれた絶対的司令塔や爆発的な破壊力を誇るストライカー陣を擁し、セリエA屈指の攻撃力を誇る強豪・ローマとの一戦だった。
舞台は熱気溢れるサン・シーロ。
超攻撃的フットボールを掲げるローマに対し、ミラノの中盤と防衛線も一歩も引かない緊迫した空気に包まれていた。
「相手の攻撃陣はセリエA屈指だ。だが、中盤のデュエルで勝てば僕らのペースになる」
「国防大臣」が静かな眼光で守備陣を締め直し、中盤の底では「闘犬」ボランチが荒い息を吐きながら相手の司令塔に睨みをきかせる。
試合は序盤から激しいノーガードの打ち合いとなった。
前半19分、ローマの絶対的司令塔の芸術的なスルーパスから鮮やかな連携で先制ゴールを許してしまう。
『0 - 1』。
しかし、サン・シーロの静寂を打ち破ったのは、2002年バロンドーラー・響木蒼生だった。
前半31分。
中盤で闘犬が泥臭く奪い取ったボールを、若きレジスタへ。若きレジスタは相手の激しい寄せを優雅にいなすと、前線へ地を這うような鋭い縦パスを通す。
トップ下のマエストロがワンタッチで相手DFのタイミングを外すスルーパスを供給。
その瞬間、響木は相手CB陣の目線をあえて引きつけ、バックステップを踏んで絶妙な「エアポケット」へと空間を作り出した。
「……捕まえた」
バウンドするボールに対し、響木は一切のタメを作らず右足の一閃!
ドスッ――!
濡れた芝を滑るボールが、相手守護神の横跳びをあざ笑うかのようにゴール左隅へ吸い込まれた!
『1 - 1』!
「ゴーッッール!! 響木蒼生!! マエストロとレジスタが奏でるハーモニーから、“BOX THE POACHER”が同点ゴールを叩き込みました!!」
さらに後半23分。
勢いに乗るミランは、右サイドからのクロスに飛び込んだ響木が、相手の屈強なCBと激しく身体をぶつけ合いながらも潰れ役となり、背後に走り込んだ味方MFの勝ち越しゴールをダミーランで演出。
そして試合終了間際の後半40分。
ローマの猛攻を「国防大臣」が完璧なインターセプトで摘み取ると、即座にロングカウンターへ。
若きレジスタのロングフィードに抜け出した響木が、ペナルティエリア手前で相手GKの頭上をふわりと越す冷酷なループシュートを沈めて『3 - 1』!
『ピーーーッ! ピーーーッ! ピーーーッ!』
強豪ローマとの打ち合いを制し、サン・シーロで圧巻の2ゴール1アシストの大活躍を見せた響木蒼生。
強烈なライバルたちを次々と破り、クラブはスクデット獲得に向けて首位の座を揺るぎないものにしていった。




