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第四章第六話

大分スポーツ公園総合競技場を包み込む、今までとは一線を画す異様な熱気と緊張感。


2002年FIFAワールドカップ、準々決勝(ベスト8)。

ベスト8進出を果たした日本代表の前に立ちはだかったのは、今大会最大のサプライズであり、グループリーグ初戦で前回王者フランス代表を破る金星を挙げ、勢いそのままに勝ち上がってきたアフリカの雄・セネガル代表だった。


セネガルは破格の身体能力を誇る巨漢ボランチを中心とした堅固なブロックと、圧倒的な爆発力を持つエースFWによる鋭い高速カウンターを武器に、幾多の強豪を沈めてきた。


「相手の身体能力と推進力は本物だ。だが、我々の組織力と、前線の勝負強さは世界一であることを証明してこい!」


フランス人監督の熱い激に、日本のイレブンは静かに胸のエンブレムを握りしめた。


日本のピッチには、日本の絶対的エース・響木蒼生と、最前線で肉弾戦を挑み続けるフィジカルコンタクトの強いFWのツートップ。中盤には赤い髪をなびかせる対人守備の強いボランチと黄金世代の大型ボランチ、右に守備の鉄人、左にユーティリティープレイヤーが顔を揃える。


主審のホイッスルとともに始まった運命の一戦。


序盤からセネガルの身体能力は猛威を振るった。セネガルのエースFWが圧倒的なスピードで裏へ抜け出し、巨漢ボランチが中盤のセカンドボールを広大なリーチで次々と回収していく。


前半22分、セネガルの高速カウンターから、エースFWの鋭い突破を許し、ペナルティエリア手前から放たれた強烈なミドルシュートがゴールネットを揺らす。


『0 - 1』。


先制を許し、大分スポーツ公園総合競技場がどよめく。しかし、ピッチ上の日本の選手たちに焦りはなかった。


「ラインを下げ過ぎるな! 相手のボランチの脇に必ずスペースができる!」


絶対的エースの冷徹な声がピッチを締める。対人守備の強いボランチが鬼気迫るタックルでセネガルのエースFWの自由を奪い、右の守備の鉄人と左のユーティリティープレイヤーが極限の連動でサイドの突破口を塞ぎ始める。


そして前半41分、日本の反撃が実を結ぶ。


中央の絶対的エースが相手巨漢ボランチの強烈なコンタクトに倒れず耐え抜くと、前線へ地を這う鋭い縦パスを配球。


ペナルティエリア手前、フィジカルコンタクトの強いFWがセネガルの身体能力抜群のCB陣と激しくぶつかり合い、泥臭く体を張りながら右足で前線へフリック!


セネガルCB陣が相方の泥臭い身体張りに引き寄せられたコンマ数秒――その死角から、影のように滑り込んでいたのは響木だった。


「……捉えた」


響木はバウンドするボールに対し、一切のタメを作らず右足のトゥーキックを放つ!


ドスッ――!


ノーモーションから放たれた弾丸ライナーが、相手守護神の脇下を抜け、ゴール左隅へと突き刺さった!


『1 - 1』!


「ゴーッッール!! 響木蒼生!! 同点ゴール!! 相方の泥臭いポストプレイから、“BOX THE POACHER”が冷酷に叩き込みました!!」


歓喜の咆哮をあげる響木と、泥まみれになりながら駆け寄る相方。1-1の同点で前半を折り返した。


後半に入ると、両チームの誇りがぶつかり合う一進一退の激闘となった。セネガルがアフリカ屈指の爆発力で怒涛の攻撃を仕掛けるが、日本の【フラットスリー】と強固なダブルボランチが体を張ってこれを阻止する。


そして試合が決したのは、後半39分。


自陣深くで対人守備の強いボランチが魂のスライディングでボールを奪取。素早く交代出場の天才レフティーへ繋ぐ。


天才レフティーは優雅なタッチで相手のプレスをかわすと、前線のスペースへ雨上がりの芝を切り裂く極上のアーリークロスを配球。


ペナルティエリア内、フィジカルコンタクトの強いFWがニアサイドへ猛然と飛び込み、相手CBふたりを引き連れて潰れ役となる。


ぽっかりと空いた中央の「エアポケット」。


そこへ誰よりも早く滑り込んでいた響木が、落下してくるボールに合わせて右足を一閃!


ドカン――――――!!


叩きつけるようなダイレクトボレーが、セネガルゴール天井へと突き刺さった!!


『2 - 1』!!


「入ったアアアッ!! 響木蒼生!! 劇的な勝ち越しゴール!! 本日2ゴール目!! 日本を導く一撃―――ッ!!」


狂喜乱舞するベンチから選手たちが飛び出し、響木へと雪崩れ込む。


そのままタイムアップの長笛が大分の空に響き渡った!


『ピーーーッ! ピーーーッ! ピーーーッ!』


「試合終了!! 『2 - 1』!! 日本代表、アフリカの雄セネガルを破り、ワールドカップ『ベスト4(準決勝)』進出決定―――ッ!!」


ピッチ上で抱き合い、涙を流しながら歓喜を爆発させる日本のイレブン。


世界の強豪を退け続けたサムライブルーと、冷酷な決定力でゴールを奪い続ける日本の絶対的エース・響木蒼生は、ついに世界最高の頂を決める「準決勝」の舞台へと進出するのだった。

実際には準々決勝、トルコ対セネガルは長居で行われました。

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