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第三章第十九話

カンプ・ノウでの勢いをそのままに、ブラウグラナはラ・リーガの過酷な連戦へと突入していた。


オランダ人指揮官が仕込んできた両翼の圧倒的なサイドアタック――左の快速ウインガーと右の強靱なサイドアタッカーの推進力、そして中央で圧倒的な存在感を放つ大型オランダ人FWのポストプレイ。


その強力な機構の「影」に潜み、相手の息の根を止め続ける響木蒼生の猛威は、国内の強豪たちを次々と恐怖に陥れていった。


アトレティコ戦 ―― カルデロンの狂犬を黙らせる冷酷な回答

敵地ビセンテ・カルデロン。激しい爆竹の音と罵声が飛び交う異様な雰囲気の中、アトレティコは序盤から狂犬のようなフィジカルコンタクトでブラウグラナの「オランダライン」を力づくで潰しにかかってきた。さらに前線に君臨する18歳の「神の子」に電光石火の先制点を許し、1点を追う苦しい展開。


だが、響木だけは冷徹だった。激しく当たってくれば来るほど、相手CBの踏み込みは深くなる。


後半15分、右サイドの強靱なサイドアタッカーからのアーリークロスに対し、中央で大型FWが相手CBを強烈な体格で釘付けにする。その背後、一瞬生まれた死角へ影のように潜り込んだ響木は、激しいタックルで滑り込んでくるCBのコンマ数秒手前でボールを足裏で一瞬止め、冷酷なトゥーキックでゴール左隅を撃ち抜く。


さらに後半32分、左の快速ウインガーが爆発的な加速で敵陣を切り裂いて放ったシュートの弾き球に、誰よりも早く反応した響木がワンタッチで押し込み逆転。


狂乱のカルデロンを『2 - 1』の静寂へと突き落とし、敵地のブーイングを完全に沈黙させた。


バレンシア戦 ―― メスタージャの鉄壁を解体する「エアポケット」

欧州屈指の堅守速攻を誇るバレンシア。鋼のアルゼンチン人主将が統率する最終ラインと強固なダブルボランチは、ペナルティエリア内を完全に埋め尽くし、前節までブラウグラナの猛攻を無得点に抑えていた。


0-0のまま迎えた後半20分。力押しでは崩せないと察した響木は、相手のブロックがわずかにスライドしたコンマ数秒の隙を見逃さなかった。


中央の大型FWとスイッチするようにペナルティエリア手前へ落ちた響木は、中盤の要であるオランダ人司令塔からの縦パスをダイレクトで右足のアウトフロントで浮かせる。


ふわりと舞い上がったボールは、鋼のCBの頭上を越えてペナルティエリア内にポツリと開いた「エアポケット」へ。そこへ猛スピードで飛び込んだ右のサイドアタッカーが叩き込み、ついに堅守を瓦解させた。


終盤には、焦って前傾姿勢になったバレンシアの隙を突き、左の快速ウインガーのグラウンダークロスを響木がニアサイドで合わせ、1ゴール1アシストの『2 - 0』で難所メスタージャを攻略した。


ベティス戦 ―― 熱狂のビジャマリンを制する「影の動き」

アンダルシアの情熱が吹き荒れるエスタディオ・ベニート・ビジャマリン。右サイドの爆発的ドリブラーを擁するベティスは、華やかなサイドアタックでブラウグラナと激しい殴り合いを演じる。


前半に先制を許す展開となったが、前傾姿勢を強めるベティスの「サイドバックの裏」を響木と両ウイングが冷酷に突き続けた。


後半10分、カンテラ育ちの若き闘将CBが魂のタックルでボールを奪い取ると、素早く右ウイングへ預ける。右のサイドアタッカーが鋭いライナー性のクロスを供給すると、大型FWがニアで相手DFを引きつける。その「影」の領域へ走り込んだ響木が、相手キーパーの立ち位置を一瞬で見極め、流れるようなインサイドのシュートで同点弾。


さらに後半38分、左の快速ウインガーとの美しいワンツーから響木がペナルティエリア内で粘り、相手CBを引きつけてからラストパス。中央に走り込んだオランダ人司令塔が突き刺して『2 - 1』の劇的な逆転勝利。ベティスの熱狂を冷徹な戦術眼でねじ伏せてみせた。


スーペル・デポル戦 ―― リアソルの嵐を切り裂く劇的弾

雨のリアソル。南米の至宝(ジャウミーニャモチーフ)やオランダ人ストライカー(マカーイモチーフ)を擁するスーペル・デポルとの一戦は、お互いの攻撃力が極限までぶつかり合う凄絶な乱打戦となった。


デポルの変幻自在な攻勢に対し、一時は2-3とリードを許す絶体絶命の展開。ピッチは雨で重く、グラウンダーのパスが水たまりで止まる悪コンディション。


しかし、響木の「捕食者」としての直感は雨の中でこそ冴え渡る。


後半35分、左の快速ウインガーが上げたクロスが水たまりでストップした瞬間、誰よりも早く泥に塗れながら滑り込んだ響木が執念の同点ゴールを押し込む。


そして『3 - 3』で迎えたアディショナルタイム。

右のサイドアタッカーが蹴り込んだFKの混戦から、大型FWが頭でそらしたボールが相手GKの手前でバウンド。


全員の動きが一瞬止まったその「静寂」の瞬間、影のように抜け出した響木が右足を一閃!


ドカン――――!!


水飛沫とともに突き刺さった劇的な勝ち越しゴール!

ハットトリックを達成した響木の咆哮とともにタイムアップの笛が鳴り響き、『4 - 3』という伝説的な死闘に終止符を打った。


こうしてアトレティコ、バレンシア、ベティス、デポルティボというラ・リーガの誇る難敵たちを次々と叩きのめしたブラウグラナ。オランダ化への批判や疑念の声は、響木蒼生という「BOX THE POACHER」が叩き出す圧巻の結果の前に、完全に消し去られようとしていた。

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