↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
51/112

第三章第十七話

カンプ・ノウの夜空に響き渡るクラブ讃歌「Cant del Barça」。9万人を超えるクレが掲げる青と臙脂のバナータペストリーがスタンド一面を染め上げ、独特の重圧と熱気がピッチを包み込んでいた。


ラ・リーガ開幕戦。

「オランダ化」への批判や新体制への疑念を打ち払うため、何よりも圧倒的な「勝利」が求められる一戦。


背番号9の青と臙脂のユニフォームを身に纏い、先発出場を果たした響木蒼生。その前線には、最前線にどっしりと鎮座する大型オランダ人FW、左サイドに爆発的な推進力を誇る快速ウインガー、そして右ウイングには強靭な体躯から鋭いクロスを配球するオランダ人サイドアタッカーが陣取っていた。


主審の笛とともに始まったデビュー戦。


序盤、相手チームはブラウグラナの「オランダライン」のパスワークを警戒し、ペナルティエリア前に強固なブロックを形成する。しかし、ブラウグラナの誇る両翼の圧倒的な破壊力が、その警戒を力づくで打ち破った。


前半18分。

左サイドでボールを受けた快速ウインガーが、代名詞である爆発的な一瞬の加速で相手右サイドバックを瞬く間に置き去りにする。電光石火のスピードで深く抉り、鋭いグラウンダーのクロスをペナルティエリア内へ供給。


中央で構える大型FWが巨躯を活かして相手CBを引きつけ、完璧なポストプレイで前線に「陰」を作り出す。


その死角――。

ボールの軌道上へ、影のように滑り込んだのは響木だった。


相手CBが大型FWへの警戒でコンマ数秒後手になったその隙を見逃さず、響木は右足のワンタッチでキーパーの足元を抜く冷酷なシュートを流し込む。


ドスッ――!


『1 - 0』!


「ゴーッッール!! 響木蒼生!! カンプ・ノウでのデビュー戦で電光石火の先制ゴール!! 快速ウインガーの爆速の仕掛けと大型FWのポストプレイから、冷酷にネットを揺らしました!!」


カンプ・ノウが大歓声に揺れる。響木はアシストを供給した快速ウインガー、そして見事なポストプレイを見せた大型FWと笑顔でハイタッチを交わした。


さらに後半22分。今度は右サイドから圧巻の連携が生まれる。


中盤の要であるオランダ人司令塔から右サイドへ展開。ボールを受けた右ウイングのサイドアタッカーが、強烈なフィジカルで相手DFの寄せを跳ね返し、ピンポイントのアーリークロスを配球する。


ペナルティエリア中央、大型FWがハイボールに飛躍し、相手CBと激しく競り合う。

競り合いのこぼれ球が、ペナルティエリア内のわずかな隙間へとポツリとこぼれた。


狂気すら感じる反応速度。

誰よりも早くボールの落下点に到達したのは、まさに「ペナルティエリアの密猟者(BOX THE POACHER)」響木蒼生だった。


右足を極限まで鋭く振り抜き、叩きつけるようなダイレクトボレー!


ドカン―――!!


弾丸のような一撃がゴール天井へと突き刺さり、相手キーパーは一歩も動くことができなかった。


『2 - 0』!!


「ゴーッッール!! 響木蒼生、圧巻の2ゴール!! これぞ“BOX THE POACHER”!! 一瞬のこぼれ球を逃さず叩き込みました!!」


試合はそのまま『3 - 0』でタイムアップ。


オランダラインの圧倒的な個と戦術的連携、そして「密猟者」としての冷酷な決定力が見事に融合し、批判を吹き飛ばす快勝で開幕戦を飾ったのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。