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第八章第八話

2015年、春。ついに迎えた「J2リーグ」開幕のシーズン。


「プリズンガーディアン島根」のミーティングルームには、J3時代とは一線を画す引き締まった緊張感が漂っていた。


スーツ姿の門倉GMが、熱のこもった声で切り出す。

「みんな、苦しい資金調達を乗り越え、俺たちはついにJ2の舞台へ辿り着いた。だが、J2は元日本代表や超強力な外国人助っ人を擁するプロの猛者たちがひしめく戦場だ。今日ここで、J2を戦い抜くためのさらなる補強と新体制を発表する!」


門倉の合図とともに、前へ進み出たのは弁護士である法条監督と、開業医である神田コーチだった。


「法条監督、J2仕様の戦術について説明をお願いします」


法条監督はホワイトボードに、島根の代名詞となった【3-4-2-1】の陣形を描き、ペンを走らせる。


「J2のクラブは、J3以上に前線からのプレス速度と個のフィジカル能力が圧倒的だ。そのため、従来の3-4-2-1を『可変型3-4-2-1』へとアップデートする。守備時には左WBの早坂と右WBの藤井が素早く落ちて5バックを形成し、奪った瞬間にはボランチと2シャドーが高速で広大なバイタルエリアへなだれ込む。そして――1トップの響木が創り出す“エアポケット(死角)”の精度を、チーム全体で極限まで高める」


神田コーチも笑顔で補足する。

「全42試合という過酷な長距離移動と連戦に耐えうるよう、医学的アプローチに基づく最新のコンディショニングプログラムを用意しました。仕事上がりの疲労を短時間で除去するリカバリー法も導入します」


そして門倉GMが、新たに加入した2名の強力な新戦力を招き入れた。


「J2を制し、J1昇格を狙うために獲得した、大学サッカー界屈指の実力を持つ2名の大卒プロ契約選手だ!」


前へ進み出たのは、フレッシュさと確かな実力を漂わせる二人の若きディフェンダーだった。


一人目は、大学選手権を制した大型センターバック。

「大卒ルーキー、CBの神矢(かみや)です! 大学で培った高さと俊足、ハイライン統制を武器に、農協の大河原さんたちと共にJ2の強力な外国人FWを完封してみせます。3バックの中央はお任せください!」

圧倒的なカバーリング能力と鋭いフィード力を誇る俊足CB・神矢。


二人目は、大学リーグ屈指の危険察知能力を誇る右センターバック。

「同じく大卒ルーキー、CBの佐伯(さえき)です! 対人守備の強さはもちろん、右足からのフィードで一撃で前線へ展開するのが得意です。響木さん、噂に聞く異次元のポジショニング……僕のパスで、その足元に最高の空間(エアポケット)を供給させてください!」

戦況を冷徹に見極める実力派CB・佐伯。


大学サッカー界のトップでしのぎを削ってきた大卒プロCB2名の加入により、生え抜きの社会人メンバー(農協CB大河原、右WB信金藤井、体育教師CH石川)、前年加入のプロ3名(GK桐生、CH黒木、左WB早坂)、そしてエース響木蒼生との融合がより高度な次元へと進化を遂げた。


「神矢くん、佐伯くん、ようこそ島根へ」

響木が静かに手を差し伸べると、大卒ルーキーの二人は緊張しながらも力強くその手を握り返した。


「公務員として働きながら、ヘディング封印でここまでの結果を出してきた響木さんの美学……J2の舞台でも全力で後ろから支えます!」


「ええ。どんな強豪が相手だろうと、僕たちの戦術と『二足の草鞋』の絆でJ1昇格まで突き進みます」


可変型【3-4-2-1】へのアップデート、そして大卒ルーキーCB2名の融合。

鉄壁のバックラインを整えた「プリズンガーディアン島根」が、未知なるJ2の荒波へ向けて力強く船出した。

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