6. 試行錯誤
模擬トーナメントを終えて、約二週間。
折角の土曜日であるというのに暇そうなやつが2人いた。
その二人は寮のベッドで横たって各々のことをしていた。
「なぁ、パンジー。」
「...んぁ?なんだよ。」
「俺、さ。気づいちまったんだよ。」
「おぉ、なんだ。」
「あぁー。マジやべぇ~。」
「早く言えよ。」
無駄にもったいぶるカージナルにイライラしていた。
「気づいちまったんだよ。俺たちさぁ、
女子との関りがねぇ。」
パンジーはハッとした。
日々辛い訓練に隠れて、自身の大いなる目的であった「恋愛」に花を咲かせるどころか、フラグすら立てることができていなかった。
それもそうだ。
寮は男子寮、女子寮と分かれており、男子と女子と共有する場所は用意されていない。
つまり異性交流は皆無なのである。
これは深刻な問題だ。
「おいおい!どうするよ!パンジー!!」
しかし、パンジーは冷静だった。
「まぁ落ち着けよ。ないんなら俺たちで作ればいいんだ。」
「な、なるほど...」
まだ重大な問題が残されている。
二人が急に女子を誘うとなると魂胆が見え見えなのである。
それは避けたいお調子者二人、渋々ふどう組全員でショッピングモールに行くことにした。
決戦の日は日曜日に決まった。
「でもよぉ。流石にライバル5人ってやばくないか?」
「よく考えるのだ、カージナル君。他三人の特性を。
シアンは恋愛、いや女に興味がない。
ムロンも同様だ。」
「おぉ、確かに。
...お前、クトルを忘れてないか?」
「クトルはなぁ。
ピュアすぎるから恋愛など考えていない!!」
パンジーは今日一胸を張って言った。
「なんならクトルは馬鹿だ!
馬鹿を好きになるような女はいないだろう!!」
「て、てことは...
俺たちで女子を独占??」
「...俺を天才と呼べ。」
「天才だぁ!!!!」
完璧なシナリオが完成した。
その夜、ぶどう組の女子寮に一つの紙屑が投げ込まれた。
アイビーがその紙を広げると、明日の早朝、校舎の入り口に集まるよう招待された。
概要が分からないことに加えてあの男子たちのことだから色々悩んだが、2年間お世話になるメンバーで早々関係を悪くさせるのは避けたい。
1時間かけた緊急の結果、渋々行くことにした。
「最悪女子が来なかったらどうするつもりだ?」
カージナルは不安になっていた。
「そうなったら...男だけで楽しむか。
まぁ大丈夫だ!きっと来てくれる。それよりもだ。シアン、ムロンをどうにか誘う文言を考えなければ。」
あの二人がこんなお遊びに付き合ってくれるとは考えずらい。第二の関門である。
突発的にパンジーが呟いた。
「シアンは戦闘狂だから、「オーシン」が居るって嘘つくか。」
「え?」
シアンのIQが著しく下がる瞬間がある。
それは「強者がいる」という誘惑だ。
どんな手を使っても強者と戦おうとする。
戦うといっても「試合」を考えており、命の取り合いをしないという考えはこの世界においては少し甘いのかもしれない。
本人がいいと言うならそれでいいのだろう。
それと先ほど出た人物の名「オーシン」とは、一言でいえば「最強」。
この世界で彼より強い者を知らない。
そんな彼がこんなチンケな惑星のショッピングモールにいると?
そんなはずがない。
ただシアンを誘導するための口実としては十分だった。
カージナルは頭を使いすぎて既にパンクしていたためパンジーに全て任せていた。
「...ということで、来るか?シアン。」
「勿論行くさ。
嘘だったら覚悟しとけよ、二人共。」
カージナルは既にオーシンが居ない適当な嘘を考えていた。
「さてと。あとはムロンだけだ。」
パンジーが作戦を考えている中、思考することが面倒になったカージナルはベッドで本を読んでいるムロンに喋りかけた。
「ムロン、明日ぶどう組の皆でショッピングモール行かないか?」
「ちょ、おい!」
パンジーが止める前に話が進んでいた。
「...ん?皆か。それは女子もいるのか?」
予想外の返答にカージナルは戸惑った。
(どっちだ!?女子が居たら来ないのか...。それとも来るのか。
あーもう!めんどくせぇ!!)
「あ、あぁ。当然だ。ぶどう組は9人で皆だからな!!」
パンジーは手で顔を覆った。それは諦めによるものだった。
「分かった。行こう。」
「!!?」
まさかの回答に2人は固まった。
(ライバルはここにもいたのか!?)
まさかの花咲く恋愛のライバル、ムロンの登場に驚きを隠せない2人に明日のお出かけ計画は上手くいくのだろうか。




