【絢音】勝利と次の挑戦【異星食堂】
探索が進むにつれ、絢音はある料理素材を集める中で、星野光が物語序盤であのような扱いを受けていた理由に気づく。。
「トカゲ肉?」
絢音は見つけられる限りの異獣を倒し、首をかしげた。
「おかしいな、トカゲが見つからないよ?」
:トカゲ系、見たことないよね
:異獣以外の敵を倒してみたら?
「うーん……異獣以外の敵?」
どうしても見つからず、絢音はひとまず視聴者の提案を試してみることにした。
傭兵の一団を倒した後、絢音はその中にリザードマンが混じっていることに気づく。
「いやいや……まさか、ね?」
試しにタップしてみると、素材を入手できてしまった。
「……あ、見つけた」
:マジで?
:それって人食いじゃない?
「少なくとも人型じゃない部分だし……種族も違うし、たぶんセーフ?」
少し迷った末、絢音はそれ以上考えるのをやめた。
「よし!セーフにする!」
これこそが、ゲームの主人公が故郷で忌避されていた理由だった。
人であろうと異形であろうと、彼女は「料理できるかどうか」でしか見ていなかったのだ。
星野光は“料理にできるあらゆる可能性”を追い求めていたが、それを受け入れられない人も多かった。
だからこそ彼女は異星へと旅立ち、さらなる可能性を求めたのだ。
大量のステータス強化を得た後、絢音は時間を夜に調整し、再び赤目の騎士に挑む準備を整える。
時間調整は、初めて死亡した後に解放された新機能らしく、冒険する時間帯を自由に選べるようになっていた。
「よろしくお願いします!」
暗灰色の甲冑をまとった騎士を前に、絢音は興奮した様子で声をかけ、突進した。
何度目になるかわからない再戦。
絢音は慣れた動きで、赤目の騎士の大きな横薙ぎをかわす。
一見すると隙だらけに見える大技にも引っかからず、すぐさまローリングで距離を取る。
――バンッ!
予想どおり、赤目の騎士はショットガンを取り出し、引き金を引いた。
「よし」
絢音は集中を切らさず、無理に攻めない。
チャンスがあれば一発撃ち、なければ距離を取り直して態勢を立て直す。
絢音にとって赤目の騎士が最も厄介なのは、回復薬を使おうとした瞬間、入力を読んで突進攻撃を仕掛けてくる点だった。
距離を誤れば回復できないどころか、そのまま即死することすらある。
激戦の末、赤目の騎士は高く跳躍し、長槍を突き出す。
絢音はローリングでかわし、そのまま射撃。
この一撃が、ついに赤目の騎士のHPをゼロにした。
赤目の騎士は動きを止め、星野光を見つめる。
何かを語ろうとしたのかもしれないが、朽ち果てた喉からはもはや声が出ない。
言葉にならない呻きとともに、瞳に宿っていた赤い光が消えていった。
【赤目の騎士 撃破】
【あなたは〈騎士の二刀流〉を習得した】
【夜の騎士甲冑×1 夜色のショットガン×1 黒夜の槍×1】
システムメッセージを見て、ようやく勝利の実感が湧く。
「勝った!? やった! やったぁ!」
絢音は興奮した様子で、立て続けに歓声を上げた。
:おめでとう!
:長かったなあ
「〈騎士の二刀流〉? セットするとSAN値の最大値が下がるの?」
絢音は少し驚いた。
SAN値は死亡すると減少し、一定以下になると幻覚や画面の歪み、各種デバフが発生する。
赤目の騎士を挑戦する最中に一回そうなったことがあった。
もっとも、作者もそこまで非情ではなく、消費したSAN値は休息や食事によって回復できる。
初期のSAN値は70だったが、特殊な料理を作ったり、特定の実績を達成したりすることで上限が上昇し、今では90まで増えている。
それにもかかわらず、SAN値を消費するスキルが存在するとは思ってもみなかった。
「でも、武器を二つ同時に使えるのは……さすがに強すぎるでしょ」
:チートじゃんw
:ちなみにSAN値が50以下になると、モンスターが特殊状態になって超強化されるよ
「なるほどね。あとで試してみようかな」
コメントを見て、絢音はそのうち挑戦してみることにした。
「じゃあ、次は別のボスに挑戦しよう」
絢音は期待に胸を膨らませながら廃都へと向かう。
決して森のクモが怖いからではない。あくまで、新人エリアから順番に攻略したいだけなのだ。
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