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予定は確定ースケジュール管理は基本ー  作者: 秋海棠
第七章 対立

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どいつもこいつも

恐ろしく遅くなりました…

内容がとっ散らかってるし、薄っぺらい感が否めませんが、宜しくお願いします!

ああ、難しい…



 辺境伯の求婚騒ぎから早くも一週間が過ぎた。

 この間に、ナージンさんだけ先に自身の職務もあるからと砦を離れている、私達に一言助言をしてから。


 そして、あの騒動から、私たちの部屋の前には毎日お花という名の草の束が届けられている。

 部屋を移動した初日の夜、部屋の扉がノックされたので誰かと問うたが返事がなく、私は恐る恐る扉を開けた。

 すると、ガザっと下から何かを潰す様な擦る様な音がして、扉の下に目を向けると、外開きの扉に潰されるような形で草が床に散らばっていた。

 しかも、申し訳程度についていたと思われる花は、花弁がバラバラ。


 思わず「え、イジメ?」と言ってしまったら、廊下の奥で「違う!」とうっすら聞こえたのでそちらに目を向けると、廊下の角からこちらを覗いている辺境伯を見つけた。

 ひとつため息をつき、辺境伯の元へ行き、あれはなんだと問えば。


「其方が花でも贈れと言ったのではないか!」

「いや、あれ草じゃないですか。しかも扉の構造考慮して置いてくださいよ! 草に罪はないのにボロボロにしちゃったじゃないですか! しかもなんで夜!?」


 「はっ!」と言って、今気付いたみたいな顔をした辺境伯だけど、普通置く前に気付くでしょ。

 本当に優秀なんだろうかこの方は、と思わざるを得ないよ。

 

 それから、毎夜扉をノックされて開けると、扉の横に花という名の草の束が置かれる様になった。

 ただ、夜に置かれるのも、直接渡さないのも変わらずだったけど。


 それでも、イユーさんに毎夜、草時々花の束を渡すと「まあ!」と言って、優しい笑顔で花瓶に生けてくれた。

 私がそれをもらったら、草じゃんいらんわって思っちゃうのに、王女様ともなるとそんな事は思わないのかな?

 いや、王女様って言うより、イユーさんの心が綺麗なだけか。


 そんなこんなで過ぎた一週間。

 イユーさんの食事量も増え、体力も普通に歩くまでには回復した。

 そして、今日砦を出発する日だ。


 結局、辺境伯は昨日までイユーさんに直接会わなかったし、イユーさんの修道院へ入る決意も変わらない。

 イユーさんの写真を辺境伯に渡すっていうのも、イユーさん本人が辺境伯の気持ちに応えられないし、なんなら自分の存在を忘れてほしいという願いで、渡す許可は降りなかった。


 砦を離れ、近くの街へ行くのに馬車を用意してくれたのはブラッハム副司令官。

 なんでも、今から向かう街にブラッハムさんの屋敷があり、そこで例の絵を描いて欲しいとお願いされた為、街まで同行するついでに私たちの馬車も手配してくれたって流れだ。

 

 既に砦でお世話になった兵士達には挨拶を済ませてあるから、あとは馬車に乗り込むだけ。

 そんな時に。


「イユーチェ王女! やはり修道院へ行かれるのですか? 私とのこん」

「シュトライダー辺境伯様。大変お世話になりました。この御恩を生涯忘れる事はございません。遠くの地にて辺境伯様のさらなるご繁栄を心よりお祈りいたします」

「……」


 と、綺麗な礼をして突き放すイユーさん。

 最後まで言わせてすらもらえなかったし。

 がっくりと項垂れたままの辺境伯に、私はフォローする事なく「お世話になりました」と声を掛ける。

 そもそもフォローする程の仲じゃないし、恋愛は自分で何とかしろと思う。

 草の束を渡してあげてたのはせめてもの情けだ。

 なので、項垂れた辺境伯を気にすることなく、私達は出発した。

 

♢♢♢


 砦に一番近い街「ラズー」に到着し、今日の宿を確保して、馬車移動で疲れているだろうイユーさんには宿で待機してもらう事に。

 もちろんイユーさんに何かあっては困るから“予定”スキルで部屋に結界を張ってある。


 私達はと言うと、ブラッハムさんに依頼された例の絵の件でお屋敷に招待されていた。

 ブラッハムさんは家族写真をご希望で、案内された応接室には事前に聞かされていたのか、奥様と小さいお子さんが男女一人ずつ待機していた。

 ブラッハム一家が全員揃い、天気も良かったので、綺麗な庭で早速家族写真をパシャリ。

 写真は勿論私がスマホで撮った。

 デジカメとか一眼で、ましてやヒース巨匠に撮らせたら事件の匂いしかしないから、そこは学習してます。

 まあ、今のスマホはデジカメ並みの解像度だから、綺麗なのに変わりはないんだけどね。


 しかし、流石に印刷工程を見られるわけにはいかないから、私達三人だけにして欲しいとお願いし、応接室でプリンターを出し、A3サイズで写真を印刷した。

 ここでも私たちの周りにだけ中が見えない様な結界を張る。

 何故そうしたのかと言うと、オリちゃんに小声で、部屋の中に知らない人の気配があるって言われたから。

 私には、私達以外の人がいる様には思えず、ましてや気配なんて全く感じない。

 それでもヒースさんもオリちゃんの言葉に同意する様に頷いていたから、二人にはバレバレらしい。

 うーん、全然分からない。


 それから、さっさと印刷を終え、プリンターをストレージにしまい、結界を解除した後に、終わったら廊下の使用人に声をかけてと言われていたから廊下に向かって準備が出来たと声を掛けると、扉の外から「お伝え致します。暫くお待ち下さいませ」と声が返ってきた。

 

 暫くして、ブラッハムさんが応接室に戻ってきた。

 共に、屋敷到着時に紹介してもらった老齢の執事長も入室したが、ご家族の姿は見えない。

 写真は皆んなで見ないのだろうか?

 まあ、良いんだけどね。


 そんな疑問を思っていると、屋敷のメイドさんが人数分の新しいお茶を用意して部屋を出て行った。

 

「準備が出来たとの事でしたが、画材などはどちらにあるのでしょうか? どの程度で完成予定かお伺いできますか? 一日二日では難しいでしょう。部屋を用意してあるので」

「? もう出来てますよ? これです」


 そう言って私がA3サイズのフルカラー写真を差し出すと、それを目にしたブラッハムさんは、目が飛び出しそうな勢いで開いたまま固まってしまった。


「ブラッハムさ」

「ま、ま、まっ!? この短時間に仕上がるわけがないでしょう! しかし、この構図、先程庭での一幕……それに描かれているこれは紙? これ程薄いと言うのに裏に色が付いていない? もはや理解の範疇を超えている……」

「……ちょっと裏技みたいなもので……如何ですか? 問題ないです?」

「問題など……いや、これだけのものを一瞬で……問題か……いえ、何の問題もございません」

「……良かった。でも、これを私が渡した、作ったなど広めないでもらえますか? それが今回お渡しする条件です」

「心得ております。まさかこの場で頂けると思っておりませんでした。サム、あれを」

「かしこまりました。失礼致します」

「ん? あれって?」

「勿論報酬です」

「あ、そうか。でも、初めにお伝えした通り、銀貨一枚で良いですからね。それ以上は受け取りません」


 銀貨一枚。

 およそ日本円で一万円。

 ヒース巨匠の一枚なら安いかもしれないけど、素人の私の写真で一万円もらうのは忍びない。

 だけど、あまり安いのもきっと納得しないだろうと銀貨一枚にした。

 しかし、この写真にブラッハムさんは大金貨一枚払うと言い出したから困った。

 以前見せてもらった物は小さな板だったのに、これ程の大きさだとは思ってなかっただとか、こんなにも薄く光沢があるつるりとした素材は見た事がないだとか、興奮しながら百万円程の金額を提示してくるんだから。

 そりゃ、この世界の技術ではないから百万と言われても本来安いのかもしれないが、私が作り出した機械や素材ではないから、それに大金をもらうのがどうも気が引ける。

 

 それでも素人のもので、銀貨一枚でないと渡さないと言って何とか説得した。

 ああ、この説得が一番疲れた。



 そして、報酬ももらい、さあ宿に帰ろうと、広いエントランスの中央に出たところで、私の前を歩くブラッハムさんが振り返った。


 それと同時にブラッハムさんに手を引かれ、胸に抱かれる前にくるっと反対を向かされ、いつの間にか背後から抱き込まれる形になり、ヒースさんとオリちゃんと向かい合わせの体勢に。


「はっ?」

「治癒師様、申し訳ございません。やはり、貴女程の力を他国に渡す訳には参りません」

「はっ?」

「この国、引いてはレオラ様に支えて頂きます。ジェス元近衛隊長、オリさん、武器を置いてください」


 気付けば、わたしたちを囲む様に鎧を着た兵士達がエントランスを埋め尽くしていた。

 きっと予め待機させていたんだろう。

 そして、私を背後から押さえているブラッハムさんは、私の喉に何かを当てている。

 見えないけど、恐らく短剣だ。

 

 絶体絶命のこの状況で、ヒースさんとオリちゃんは慌てた様子もなく、静かに武器を下ろす。


「貴女達を手荒に扱いたくはありません。素直に従って頂きありがとうございます」


 ガチャガチャっと鎧が擦れる音を立てながら、ヒースさんとオリちゃんの置いた武器を回収し、それぞれの後ろに兵が付き二人の腕を後ろで拘束した。

 

「お二方とも無抵抗で助かります。悪い様にはしませんのでご安心下さい」

「あの、二人を人質に取って私を従わせるって事ですか?」

「ええ、それにイユーチェ王女も。まあ、こちらはレオラ様に配慮したところも大きいですが、それでも貴女には効くのではと」

「はぁ……そうですね、はぁ……ナージンさんの言った通りか。どいつもこいつも……考える事は一緒かよ」


 そう、ナージンさんが砦を去る前に助言して行ったのはブラッハムさんの事だ。

 恐らく私たちの素性はバレているだろうから、最悪隷属の魔道具を使われる可能性があるので気をつけよと。

 でも、砦内にいる時にそんな兆候はなかったから、拘束するつもりはないのかなと思って屋敷まで来て写真をあげたのに、結局これですよ。

 辺境伯には無断で行動してるのか、辺境伯も関与してるのかわからないけど、この間まで人質だったイユーさんをまた同じ目に合わせようとしてるとかタチが悪い。

 それに、


「ヒースさんとオリちゃんの力量が分からない程愚かだったんですね」

「……ジェス殿の武勇は存じ上げております。ですので、この人数で取り囲む他ありませんでした。それに子供を傷付けるつもりはありません」

「やっぱりわかってない。この中で一番強いのはオリちゃんですよ?」

「はは、恐怖のあまり混乱しておられるのか」

「混乱、混乱ねぇ……」


 混乱する要素が見当たらない。

 ナージンさんからの助言があったから、この国を出るまでは私以外の三人にも「怪我をしない」の“予定”を組んであるから、何の心配もいらない。

 その代わり、毎日大量の魔力を深夜に持ってかれてるのは、地味にしんどいけど。


 勝手に私が混乱してると思ってるブラッハムさんは無視し、私はヒースさんとオリちゃんと目を合わせ、頷いた。

 そして、私の喉元に当てられている短剣に手を伸ばし、力一杯握り押し返す。


「んなっ、何を!?」

「全く痛くありません」

「ば、バカなっ」


 後ろから驚いた声が聞こえたが、その声は途中で消え、ドンっという音と共にブラッハムさんの体が揺れ、私を押さえていた腕が離れた。


 後ろを振り向くと、そこにはオリちゃんに片腕を取られ、膝をつかされたブラッハムさんの姿が。

 オリちゃんが私を解放してくれたのはわかったけど、その動きは全くと言って良いほど追えなかった。

 一瞬の内に拘束していた兵を倒し、逆にブラッハムさんを押さえ込むなんて、知ってたけど強すぎるよオリちゃん。


「「っ!?」」

「だ、旦那様から離れろ!!」

「うっ、」


 子供に見えるオリちゃんにブラッハムさんが拘束された事により、兵士達が狼狽えているけど、そんな事は気にせず、ヒースさんも自分を拘束していた兵をあっさり倒し、回収された自分の武器を持つ兵も倒して武器を奪い返し、スタスタとこちらに寄ってくる。

 

 何だその涼しい顔、改めてカッコイイな、おい。

 って、今はそれどころじゃない。


「……ブラッハムさん、さっき言いましたよね? オリちゃんが一番強いって。そもそも二人を拘束するなんて無理なんですよ。オリちゃんもう良いよ、離して」

「はーい」

「まさか、私がこんな子供に」

「あ、イユーさんも拘束するのは不可能ですから」

「何故……」

「無理なものは無理なんですよ。じゃ、もう会うことは無いでしょうから、さようなら」

「オリ、これ」

「ヒース様ありがとー!」

「ちょ、オリちゃん……あ、寧ろありがとうか……」

 

 ヒースさんが奪い返したオリちゃんの槍を渡すと、勢いよくブンブンと振り回し始めた。

 その動作が美しい且つ高速で、周りの兵達は萎縮し後退って、出口までの道を開けてくれた。

 そんな意図がオリちゃんにあったかはわからないけど、ありがとうと言っておこう。

 ブラッハムさんの言葉を待つ義理もないからさっさと歩き始める。


 そして、未だ膝を着いて唖然としているブラッハムさんの横を通り過ぎ、屋敷から出ていった。

 ブラッハムさんが兵達に指示を出さなかったから、兵達はただただ私達が通り過ぎるのを見ているばかり。

 何人かは動こうとしてたけど、ヒースさんの一睨みで動きが止まってた。

 何かしたのかな?

 まあ、動いて攻撃されたとしても、ざっと鑑定した兵たちの力量から、二人に束でかかっても敵う気はしないけどね。

 

 イユーさんの方はきっと大丈夫。

 でも早く宿に戻らなきゃ。





ここまでお読みくださりありがとうございます!

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なのに更新が遅く申し訳ないです。


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