表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
予定は確定ースケジュール管理は基本ー  作者: 秋海棠
第七章 対立

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

130/133

写真一枚に言い値でと言う

お待たせ致しました。。



 「辺境伯とは結婚しない」と言うイユーさんの言葉を伝えて、固まったままの辺境伯を置いて私と副司令官は私の報酬の話に移る。

 勝手に話を進めて良いのかと聞いてみたが、今回の報酬の件は、事前に辺境伯と相談済みであり副司令官でも対応は問題なく、この状態の辺境伯はいつ復活するかわからないから、放っておいて良いそうだ。

 

 ちなみにこの副司令官のお名前はブラッハムさんと言うそうだ。

 勝手に鑑定させてもらったところ、この方もレベル91とお強かった。

 前線で副司令官を務める方なんだから、そりゃ強いよね。

 勝手な鑑定結果的には、辺境伯はHPの方が多く、ブラッハムさんはMPの総量が多いので、バランスが取れているのかもしれない。

 って、私が軍の何を知っているんだって話だけど。

 

「では、回復魔法に関しては相場の通りとしてお支払い致します。ですが、重篤者にお使い頂いたポーションに関しては、特級の範囲を超えている為図りかねます。本当に特級だったのでしょうか?」

「と、特級中の特級なので、あの効果みたいで……私もあそこまで効果が高いとは知らなくて……友人から頂いたものなので、相場通りで構いません!」


 誤魔化すのが下手すぎて泣ける。

 なんだ、特級中の特級って。

 そりゃ怪しげな目で見られるよ。


「……その説明に納得は出来ませんが、治癒師様も頂いたものと言うことですか。承知致しました」

「ふぅ……良かった。ありがとうございます」

「しかし、あの特級ポーションをどなたがお作りになられたかお聞きする事は叶いませんか? 若しくはご紹介頂ければと」

「……ごめんなさい。言わないでくれと言われてまして。それに、ここぞと言うときに使えと頂いたものなので、恐らく数は作れないんだと……」

「(作った者は知らないと仰れば良いものを)そのような貴重なものを我が兵にお使いくださり、お礼の申し上げようも御座いません」

「ん? あ、いや、あの時がここぞって時だったので良いんです! お役に立てて良かった」


 小声の部分は聞こえなかったけど、何とか誤魔化せたっぽい!

 

「……それでは、用意致しますので少し席を外します」


 何か言いたげな間があったものの、用意すると言ってブラッハム副司令官は総司令官室から出て行った。

 私と固まったままの辺境伯を置いて。


 おい、この状況どうしてくれよう。

 目をおっ広げたままの辺境伯の眼前で手を振っても一切反応なし。

 うーん、どうしたもんか。

 放っておいても良いけど、あ、そうだ!


「これなら、どうだ! 辺境伯様、イユーさんですよ」

「はっ!?」


 あ、反応した。

 さっき私がスマホで撮らせてもらったイユーさんとオリちゃんの二人の写真を、辺境伯の眼前に映し出したのだ。

 イユーさんは私が何してるのか分かってなかったけど、笑ってと言うと笑顔をむけてくれたので、可愛いオリちゃんとパシャリしたもの。


「イ、イユイ、イユーチェ、おう、じょ」

「あ、本人じゃないですよ?」

「何故、こんなに小さくなられ……絵?」

「そうです」

「何と、精巧な……いくらだ?」

「いや、売り物ではありませんよ! 正気を取り戻して欲しくて見せただけですから!」

「言い値で買おう」

「言い値!? いやいや、違くて、話聞いてます? イユーさんは修道院に行くって!」

「!?……そうであった……考えを改めてもらうにはどうしたら……」

「え、諦めないんですか?」

「婚姻の申込みを断られる度、諦めようと思ったが、この気持ちは変えられなかった。もう一度想いを!」

「待て待て待て! 今行っても怖がられるだけだから!」


 また暴走しそうな辺境伯に、つい待て待てとタメ語で言ってしまったのは私のせいではない!


 怖がられると言う単語にビクッとした辺境伯は、勢い良く上げた腰をまた落とした。


「はぁ……そうであったな。昨夜もそれで怖がらせてしまった。私はどうしたら良いのだ……」

「そうですね……多分イユーさんの修道院に入るって気持ちはちょっとやそっとじゃ動きませんよ? 取り敢えず怖がらせた事に変わりはないので、少し近付くのはよした方が良いと思います。でも、イユーさんの体力が回復するまでは少し時間がかかるかもしれないので、その間お花とか……あ、この近くにはないか」

「花か……」

「まあ、暫くそっとしておいてあげてください。って、もう少しここに私達も滞在して良いですか? すみません、厚かましくて」

「いや、構わない。その代わりと言っては何だが、怪我した者の治療を頼めるだろうか。それと、たまにで良い、その、王女のその絵を見せてはもらえないだろうか」

「……」

「その様な目つきで見るな」


 私がこの人大丈夫か?と言う目をしたら、ちょっと睨まれながら窘められてしまった。

 あまりに辺境伯が私の物言いに何も言わないから、調子に乗りました、ごめんなさい。


「おや、もうレオラ様が回復されている。治癒師様は何をされたのですか?」

「いえ、何も?」


 そう言って部屋に戻ってきたブラッハム副司令官。

 その手の上にあるトレーにはキラキラした物が沢山積まれているんだが……

 

「素晴らしい絵を見ていた」

「絵ですか? どちらに?」

「あ、いや、それは……」


 ヤバイ。

 混乱してた辺境伯なら何とか誤魔化せそうな気がしたんだけど、ブラッハムさんには何となく見せたらヤバイ気がするんだよね……


「治癒師殿、勿体ぶらずあの素晴らしい絵をブラッハムにも披露してはどうだ!」


 うるせー、ポンコツ!って言ってやりたかったのをグッと堪えた。


「あ、いや……はい、これ、で、す」

「っ!? 先程とは違う絵ではないか! 同じキャンバスで、どのような魔法を使ったのだ!?」

「あ、、」


 うっかり手が震えて、スマホの画面をスライドしちゃったもんだから、イユーさんの写っていない写真が出てしまった。

 慌てて戻して、ブラッハムさんに見せるも。


「一瞬魔力を感じましたが、その小さな板は何です?」


 メガネがギラって光ったように思えるくらい眼光鋭く言われてしまった。

 これはまた、どうやって誤魔化せば良いのか……


「え、え、あー、秘密です! これは私にしか使えないもので、秘密です!」


 もう、誤魔化さない、秘密で通す!

 それにしても、何で私はこうも迂闊なんだ!

 前にもこんな事あって、反省してたじゃないか!

 全然学習してない自分が情けない!!


「はぁ……貴女は秘密が多い……しかし、とても精巧に描かれた絵ですね。実物と遜色ないほどに。これ程までの絵を私は見た事がありません」

「ハ、ハハハ……」


 ブラッハムさんの眼力が一層強くなり、背中に寒気を感じたのは気のせいじゃない。


「王女の……体力が回復するまで、治癒師殿も滞在を延長だ。その間、負傷兵の治療と、その、絵を披露すると言う条件でな」

「左様で、かしこまりました。他の兵にも滞在期間の延長は知らせましょう。しかし、貴女は絵の才能までもお有りなのですね。滞在期間中は他も描かれますか? 宜しければ購入したい」

「待て! それは私が先だ!」


 何だかおかしな方向に話が向いてしまった。

 これ、私が描いた絵じゃない。

 まあ、描いたって事にして用紙にプリントして渡すのはアリかもしれないけど、いや、描いたものとしたら詐欺か?

 でも、私が撮った物を渡すのは私が作ったのと一緒だから詐欺ではないか?

 うーん、言い値でとかさっき言われたけど、流石にボッタくる程良心が無いわけじゃないから、用紙代だけ貰えば良いかな?

 ってか、今後セージュさんの存在を布教する為の写真を見せる時、写真を知らない人の反応はこうなるって事だよね?

 

 オリちゃん達ハン族の皆さんに見せた時も、勿論ビックリはしてたけど、凄いものがあるんだなあ位の反応だったと思う。

 それはロッテントーク大陸という隔離された世界と言うことも大きいのかもしれないが。

 それにしても、私の比じゃないくらいプロレベルのヒースさんの写真を見たら、ヒューマニア大陸の皆さんはいくら位の値を付けるのだろうか。

 ちょっと怖くなってきたな……

 勿論お金を取るつもりはないけど、渡す人は慎重に考え直すべきだと強く思った。


「あ、あの! この絵をお渡しする事は出来ますが、絵のモデルの許可は必要なので、もし、辺境伯様がイユーさんの絵を欲しいなら、本人に許可を取る必要があります! それと、ブラッハム副司令官にもお渡ししますが、どこの景色かとか指定があれば教えて下さい」

「王女の許可……怖がらせてしまった私では不可能、ではないか……」

「そうですね、どんな物でも?」

「私が目で認識できる物なら?」


 辺境伯は許可が降りないと思っているのか、絶望した表情に。

 ブラッハムさんは少し時間が欲しいって事で後日になった。



「では、こちらが今回の報酬です。内訳は、」

「いやいやいや、明らかに多いですって!」

「いえ、適正額です。ご提供頂いたポーションは、通常のものよりは非常に効果が高いものです。自ずと相場より高くなるのは当然です」

「でも、それにしても……」


 さっきから、横目で気にはなってたけど、ブラッハムさんが持ってきたトレーに乗ったキラキラしい金貨の山は、やはり私への報酬だった。

 それにしても明らかに多い気がする。

 

 そもそも特級ポーション自体時価と言われるぐらいのものだけど、だからと言って一つ金貨百枚まではいかないはず。

 上級ポーションで確か金貨一枚、凡そ日本円で十万くらいだったから、高く見積もっても特級と言えど金貨十枚から十五枚くらいなんじゃないの?

 しかし、今私の目の前には金貨が十枚単位で積まれた山が十以上、おそらく二十くらいはあるように見えるんだけど。

 ありすぎじゃ無い?


「流石に欠損した部位まで修復したと聞いて、通常の特級ポーションの額で支払う事は出来ないだろう」


 絶望からいつの間にか立ち直った辺境伯がそう言ってきた。


「……でも、」

「今回の戦で私が保有していた特級ポーションも放出している。それと比べても効果は異常であると聞いているが? あれは特級では無いのではないか? もし我らが想像しているものならば、大金貨十枚はくだらな」

「いえ、特級です! この報酬頂きます!」

「……そうか」


 やはり、エリクサーと疑われてるっぽいな。

 流石に二人とも伝説と言われているエリクサーを見た事はないだろうし、既に手元にはないから断定は出来ずこの金貨の量って事なのかな?

 しかし、エリクサーは大金貨十枚以上……日本円にして大凡一億……一瓶で一億って。

 でも、思えば、欠損した部分も含め、健康な体に戻す薬なんて普通に考えて一億なら安いもんか。

 魔法のある世界だから麻痺してたけど、とんでもない薬だよね。

 まあ、それなにり材料や環境を整えないと作るのも大変な薬だから、簡単には作れないものではあるけど、それを自分が作れると知れたら身の危険は感じるな。

 ああ、ヤヴォン国の国王カールさんに渡したの今更だけど、早まったかな……いや、もう渡しちゃったもんはしょうがない。


 それにしても、ここ最近、身の丈に合わない金貨や宝石を貰いすぎて、もうよくわからなくなってきている。

 使い切れてない金貨がストレージに沢山入ってるし。

 それでも、大量に積まれた金貨を見て、あわあわしている自分はやはり庶民なんだなと実感する。

 ちまちまストレージに金貨をしまっていると。


「治癒師様は、アイテムボックスまでお持ちで……差し出がましいですが、今後のご予定は? 辺境の街で我が軍に仕える気はございませんか? 勿論給金は弾みます」

「おお、良いな! どうだ!?」

「えっ!? 辺境伯様に許可取る前に副司令官が勝手に決めるものです? あ、いえ、ありがたいお誘いですが……行きたいところがありますし、連れもいますし……」

「左様か……其方がいれば王女も」

「レオラ様、漏れております」

「……」

「っ!? ゴホンッ。いや、失礼した。其方を手放すのは実に惜しいな」

「……」


 私ってより王女をって副音声で聞こえてるよ。

 慌てて取り繕ってもだだ漏れですね、本当に有能なのかこの人は?って目で訴えておいた。

 「だから、事イユーチェ王女に関しては無能なんですよ」とブラッハムさんがそう言ってそうな目つきだった。



 その後、イユーさんが回復するまで私がお世話しますって話したら、今の充てがってもらってる部屋では狭いだろうとのことで、今の部屋の数倍広い部屋を用意してくれた。

 ベッド三つは平気で並べられる広さ。

 こんな部屋がこの砦にあったのかとビックリした。


 そして、部屋の移動により、ヒースさんとナージンさんとは部屋が離れることになった。




ここまでお読みくださりありがとうございます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ