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予定は確定ースケジュール管理は基本ー  作者: 秋海棠
第七章 対立

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移動手段の問題は深刻だ

大変遅くなりました。。



 イユーさんを奪還し、モジンバル帝国帝都からグンちゃんに乗りメージー砦に向かっていると、森の何箇所かから煙が上がっているのが見えた。

 煙が上がっている所はメージー砦から離れている場所だけど、戦いが始まってしまったのだろうか?

 と思っていたら、ドォーン!と大きな音がして、また煙が上がった。


「オリちゃんごめん! グンちゃんに今煙が上がった近くに行ってもらえるかな!?」

「グンちゃんおねがーい!」

「グォッ!」


 煙が上がった近くにすぐ着くことが出来たが、今いる上空からは私の目では煙しか認識出来ない。


「煙で見えない……降りて大丈夫かな……」

「グンちゃん、もうちょっとだけ下に降りてー」

「グォ」

「あ、おじさんが逃げる兵隊さんを追いかけてるみたいだよー」

「え?」


 グンちゃんに指示を出して少し高度を下げてもらうと、オリちゃんは下の様子が見えたようだ。

 高度を下げてもらっても私は全然見えないけどね。


 しかし、おじさんが逃げる兵隊を追いかけてる?


「オリちゃんおじさんって知ってる人? ナージンさん?」

「ううん、違うよ。昨日ボロボロだったおじさん!」

「カジさんか! って事は隷属紋が解除されてモジンバル兵を追い詰めてるって事!?」

「わかんないけど、兵隊さんの服はご飯くれた人のと違うよ」

「やっぱりそうか! 解放されて怒りが爆発してるのかも!! 止めなきゃ!」


 グンちゃんに今戦いが起きている場所とは反対側の少し離れた所で降ろしてもらう。

 グンちゃんと籠の周囲に“予定”スキルで結界を張って、私とオリちゃん以外は出入り出来ないようにしてあるからイユーさんとグンちゃんは大丈夫だろう。

 

 その後オリちゃんに先導してもらい、今戦いが起きている場所に向かったんだけど、一瞬でオリちゃんに置いて行かれて、「えへへ、ごめんなさい」と苦笑いしながら戻ってきたオリちゃんにごめんねと言って私の速度に合わせてもらいまた走り始めた。

 はずだったが。


「トコ様ごめんなさい! どんどん離されて行くからおんぶしちゃうね!」


 やはり私の速度では全く追い付かないみたいだ。

 なので、私は今七歳の女の子におぶってもらい進んでいる。

 いやはや申し訳ない。


 しかし、私をおぶっているのにオリちゃんのスピードと言ったら早いのなんの。

 木をスイスイ避けながらどんどん進む進む。

 そしてあっという間に人影が見えるところまで近づいた。

 

「トコ様そろそろ下ろすね!」

「う、うん。ここまでありがとう」


 私を下ろしたオリちゃんは息すら切れてない。

 私はおぶってもらってただけなのに疲れてしまったのは何故だろうか。

 全くわからない。

 まあ、今はそれよりもカジさんだ。


「オリちゃん、昨日のおじさんはどこかわかる?」

「うーん、奥の方でドンドン音がするけど……あ、ヒース様!」

「えっ!? どこどこ?」

「トコ様こっち!」


 オリちゃんがヒースさんを見つけたみたいで、私の手を引いて走り出した。

 ……オリちゃん、ちょっと速いよ。

 足が絡まりそうだよ。


「ヒースさまー!」

「? オリか」

「はぁ、はぁ、はぁ、ヒ、ヒースさん」

「……大丈夫か?」

「はぁ、はぁ、すみません。ナージンさんは?」

「ナージン殿はメージー砦に向かっている」

「そ、そうで、すか。はぁ、ちょっと水を……」


 ストレージから水袋を取り出し飲む。

 息切れが半端ない。

 水を飲んで少し落ち着いたけど、しんどい!

 でも頑張ったおかげでヒースさんとも合流できたし、少し離れた所にカジさんがいるのもわかった。

 今カジさんは、体を左右にゆらゆら揺らしながらゆっくり前に進んでいる。

 こっちに背中を向けているから表情はわからないけど、歩き方だけで何だか怖い。

 

 怖いけど、まずは状況の確認を。

 水を飲みながらヒースさんに聞くと、夜が明ける少し前に野営テントの一部がいきなりふきとんだそうだ。

 その吹き飛んだテントと言うのは、カジさんがいたテント。

 ヒースさんとナージンさんはカジさんを見張る為、近くにいたからわかった事らしい。

 恐らく私がカジさんの隷属紋を解除した頃だろう。

 カジさんが隷属紋から解き放たれた事で、モジンバル兵に攻撃をし始めたと二人はすぐに察した。

 見張りで起きていた兵ではなす術なく、音を聞きつけて起きてきた兵士達が続々と集まってきて立ち向かうが、賢者の力は伊達ではない。

 カジさんの行使する魔法の威力が高過ぎて、歩兵も騎兵も近寄ることすら出来ない。

 モジンバル帝国でエリートと言われる魔術師軍団でもカジさんには歯が立たなくて、エリート集団の中でも力の強い五人で張った結界も今は破られ、兵士達は散り散りに逃げているそうだ。 

 ヒースさんも迂闊に近づく事は出来ないから、カジさんに危険が迫った時に出られる様見張り、ナージンさんは「戦争の終わりが見えた」と言ってこの場をヒースさんに託しメージー砦へ向かったんだと。

 

 ナージンさんは、既にどこまで察しているんだろうか?

 きっと、モジンバル皇帝に誓約書を書かせたって予測してそうだなぁ。

 しかも、予測だけじゃなくその裏どりとかもしっかり部下に指示だししてそうだし。

 と、いけない。

 今はナージンさんの有能ぶりを考えるよりも、目の前のカジさんを何とかしなければ。


「しかし、そろそろカジ殿の魔力も尽きるだろう」

「歩き方からして大丈夫じゃなさそうですね。あ!」


 そう話していると、カジさんの片膝がガクッと折れ、地に膝をついてしまった。

 それを見て逃げていたモジンバル兵達が今かと、カジさんに向かい走り始めた。


「オリちゃん、ヒースさんお願いです、カジさんを助けに行ってもらえますか!? 私は結界を張ります!」

「心得た」

「はーい!」


 カジさんを救出しに行ってくれなんて軽々しく言ったけど、嫌な顔せず直ぐに二人は向かってくれた。

 その間に急いで私は“予定”スキルでカジさんの周りに結界を張る。

 もちろん結界にはオリちゃんとヒースさんを入れるようにして。

 そしてあっという間に二人はカジさんの元に着き、何か伝えてヒースさんがカジさんをおぶって走り出した。

 オリちゃんはヒースさん達を守るように後ろを走る。

 モジンバル兵とはまだ離れているけど、オリちゃんは閃光のような魔法を後方に放ち、それを見たモジンバル兵達は歩を止めざるを得ず、三人とモジンバル兵との距離が離れる。


 三人が私の元に着き、そこへ近寄るとキンッと変な音がして、私は後方に転がった。


「あ、自分を結界に入れるようにしてなかったわ……」


 初歩的なミス。

 もちろん“予定”スキルで怪我をしないと設定しているから無傷ではあるが、自分で張った結界に弾かれて転がるなんてなんとも情けない。


 慌てて予定内容を修正し、またまたオリちゃんにおぶってもらいグンちゃんが待っている場所へ向かった。

 しかし、私の移動手段をなんとかしないとと、オリちゃんにおぶられながら深刻なこの問題に頭を悩ませる。


 

「おーい! グンちゃんお待たせー」

「グルゥゥ!」


 グンちゃん達と別れた場所へ戻ってきた。

 私を下ろしたオリちゃんが元気よくグンちゃんに声を掛ける。

 グンちゃんも嬉しそうな顔をしていて癒されるけど、私は移動手段問題の答えが出ないままで精神的に疲労困憊。

 いや、まずは自分の事よりカジさんとイユーさんだ。

 

 ストレージからベッド二つを出し、一つにまだ眠っているイユーさん、もう一つにヒースさんの背中でいつの間にか眠っていたカジさんを寝かせた。


 そして、一旦グンちゃん達にかけていた結界と、カジさんにかけていた結界を解除し、新たに私たちの周りに阻害認識付きの結界を張り直した。

 すると、モジンバル帝都から“予定”スキルを行使し過ぎているのか体がダルく頭が痛む。

 自分に鑑定をかけると、魔力が残り二割まで減っていた。

 “予定”スキルを乱用し過ぎたな……


 頭がクラクラするけど、なんとかストレージからソファを出し座った。


「大丈夫か?」

「トコ様大丈夫?」

「うん、大丈夫。ちょっと魔力を使い過ぎたみたい。二人共ここまでありがとうございます」

「気にするな。魔力が無いならこれを飲むんだ」

「あ、MPポーション。ありがとうございます」


 ヒースさんから中級のMPポーションをもらい、飲むと一気に体が楽になった。

 何だろうね、いちいちスマートなのよ。

 押し付けがましく無い感じの声色でサラッと渡すんだから。

 もうだいぶこれにも慣れてきたけど、危うく惚れちゃいそうになるから無闇矢鱈にはやめて欲しいのが本音!

 天然でやってるだけだろうからと、惚れちゃわないように頑張る私を褒めたい!

 気を持ち直せ私!

 

「ふぅ、楽になりました! オリちゃんもおぶってくれてありがとう。今お茶と、遅いけど朝ご飯用意するね。ヒースさんは食べました?」

「わぁーい! お腹空いてたの!」

「そうだな、水分は摂取したが、食事は出来ていないから頂こう」


 まだ戦争も終わりを告げていないのに、ちょっとのんびりし過ぎかしらね?

 きっとカジさんを探しているモジンバル兵も近くにいるだろうけど。

 でも、結界はちゃんと張ったし、食事は大事だからね。


 今日は、簡単に目玉焼きと焼き鮭にしよう。

 今日はと言ったけど簡単なのはいつも一緒だったか。

 事前に炊いておいた白米もあるし、お味噌汁も作ってあるからストレージから出せばいい。

 焼くしかしてないけどまあ良いでしょう。

 ちゃっちゃと用意しましょう。


 ストレージからダイニングテーブルを出し、朝食を並べて行く。

 目玉焼きを焼き終え、丁度鮭が焼き上がった所で。


「うぅ……頭が……? 米の匂いか?」

「あ、カジさん起きました?」

「は? スズキ、さん?」

「あ、多分魔力が少ないから体調悪いのかな? はい、MPポーションどうぞ」

「ああ、ありがとう」

「イユーさんはまだ眠ってますよ。お腹空いてたらご飯食べます?」

「!? イユー? イユーなのかっ!? ああああ、イユー! イユーが……あぁぁあ……」


 隣のベッドに寝ているイユーさんに気付いたカジさんが、ベッドから勢いよく降りてイユーさんの元に行き泣き出してしまった。

 カジさんの号泣は昨日から二度目。

 しかし、なかなか大きな声だからイユーさん起きちゃわない?


「んっ……? ど、な、た?」

「イユー! 俺だ! ヒデオだ! ぶ、無事でよがっだぁぁぁ!!」


 思った側からイユーさん起きちゃいましたよ。

 ただ、まだ起き上がるまでには体力が回復していないイユーさんは、手を握るカジさんに「大丈夫ですわ」と菩薩的な笑顔で答えている。

 それを見たカジさんがこれまた大号泣。


 そんな感動の再会を他所に、ヒースさんとオリちゃんは朝食を食べすすめている。

 なんともシュールな画だ。

 まあ、昨日の流れからカジさんは三十分は泣きそうだもんね。

 水分全部なくなるんじゃ無いか?


 私も先に朝食を頂きますわ。




ここまでお読みくださりありがとうございます!

そして、なんとブックマークが100件超えました!

まさかと、嬉しさで涙が出そうでした。

ご評価下さりありがとうございます!!


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