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第五章 もう一度、四人で

 再会は冒険者ギルドだった。


 依頼を終えて受付へ向かっていたアルトの前へ、赤い髪の少女が立つ。


「……久しぶり」


 リーナだった。


 その後ろにセシリアとミレイユもいる。


 三人とも二年前より美しく、大人びていた。


「久しぶり」


 アルトはそれだけ答えた。


 気まずい沈黙が流れた。


 最初に頭を下げたのはセシリアだった。


「あのときは、ごめんなさい」


「別に。言われたことは間違ってなかったし」


「間違ってたわよ」


 ミレイユが言う。


「あなたのスキルについて、私たちは何も分かっていなかった」


「俺自身が分かってなかったんだから仕方ない」


 リーナが唇を噛んだ。


「それでも、追い出したのは私たちだから」


 アルトは三人を見た。


 腹が立っていないと言えば嘘になる。


 だが二年前の自分を思い返せば、三人の判断も理解できた。


「今さら何?」


 少し意地悪く聞く。


「もう一回、組まない?」


 リーナが答えた。


「ずいぶん都合がいいな」


「分かってる」


 リーナは目を逸らさなかった。


「だから嫌なら諦める。でも一度だけ、一緒に依頼を受けてほしい」


 結局アルトは受けた。


 昔から、三人に甘い。


 討伐対象はAランク魔物、双頭巨猿。


「右の頭は火に弱い。左は雷。脚の付け根に古傷がある」


 アルトが検索結果を伝える。


「そこまで分かるの?」


「今のググルはな」


 戦闘は驚くほど簡単だった。


 ミレイユの火魔法が右の頭を焼き、雷魔法が左を怯ませる。体勢を崩したところへリーナが入り、古傷のある脚を斬った。


 巨猿の反撃が来る直前、アルトが叫ぶ。


「リーナ、左!」


 何も考えず飛んだリーナの脇を、巨大な拳が通過した。


 セシリアの治癒も最低限で済む。


 討伐にかかった時間は十分。


「……強すぎるわね、これ」


 ミレイユが呆れていた。


「私たち三人で倒したとき、一時間かかった相手よ」


 リーナは剣を鞘に収めながら、アルトを見る。


「もう一回、一緒にやろう」


 今度はアルトも断らなかった。


「条件がある」


「何?」


「もう勝手に追放するな」


 リーナが一瞬黙った後、吹き出した。


「分かった」


 セシリアも笑い、ミレイユは呆れたように肩を竦めた。


 四人は再びパーティを組んだ。


 冒険だけではない。


 失った二年間を取り戻すように、一緒に食事をし、買い物をし、休日には街へ出掛ける。


 やがて、三人の態度は幼馴染という言葉だけでは説明できなくなった。


 最初に告白したのはリーナだった。


 その翌日にセシリア。


 三日後にはミレイユまで。


 アルトは困った。


 三人とも大切だった。


 そこで、最もしてはいけないことをした。


「俺は誰と付き合うべき?」


《条件を入力してください》


「四人が一番幸せになる方法」


 しばらくして回答。


《三名すべてとの交際を推奨します》


「……本気か?」


《期待幸福度が最大となります》


 夕食の席で恐る恐る提案すると、三人は長時間揉めた末、なぜか最終的に受け入れた。


「ググルが一番いいって言ってるなら……」


 リーナがそう言ったのが決め手だった。


 アルトはそのとき、少しだけ引っかかった。


 だが三人に囲まれた生活は幸せだったので、すぐに忘れた。


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