第55章:教皇庁・全館床暖房化計画と、聖職者の「堕落」
教皇の寝室の雨漏りを「邪神のカビ取り」として解決した盆ちゃん。次は、広大な教皇庁を「全館床暖房」にするという、中世風の世界では考えられない大規模な空調設備更新に挑みます。
第55章を執筆します。(AI談
第55章:教皇庁・全館床暖房化計画と、聖職者の「堕落」
「……おい、カイルさん。この石造りの床を裸足で歩かせるなんて、高齢者虐待だぞ。ヒートショックで倒れたらどうするんだ。現場の安全管理以前に、住環境の欠陥だ」
盆山茂(盆ちゃん)は、教皇庁の冷え切った大理石の廊下を安全靴でコツコツと叩きながら、特使カイルに小言を飛ばしていた。
聖都ルミナスの冬は厳しい。聖なる結界で守られているとはいえ、石の建物は芯まで冷え込み、高齢の教皇や司祭たちは何枚も法衣を重ね着して震えていた。
「し、しかし盆山殿。この冷気は『信仰心を研ぎ澄ますための試練』とされておりまして……」
「試練で風邪引いてりゃ世話ねえよ。レルちゃん! 例の**『神域・高気密高断熱パネル(床下用)』と、『耐熱魔導配管』**をトラック一台分用意しろ!」
「了解です、親方! 『一度温めたら千年冷めない・断熱の神域』、荷下ろし準備完了しましたっ!」
レルちゃんがパチンと指を鳴らすと、廊下に黄金色に輝く断熱材が山積みされた。
盆ちゃんは、かつて洗浄して絶好調になった地下の「聖なるボイラー」を熱源として活用する計画を立てた。
「いいか、これは単なる暖房じゃない。**『熱交換型・神域セントラルヒーティング』**だ。タマの吐息(火)で温めた不凍液を、この配管で全館に巡らせる。アルフレッド、床を剥がすぞ! 養生をしっかりやれ!」
「了解です! 聖職者の皆さんは、作業半径から退避してください!」
アルフレッドたちが手際よく大理石の床板を浮かせ、その下にレルちゃん特製の断熱材と、血管のように複雑に張り巡らされた魔導配管を設置していく。
仕上げに、タマが地下のボイラー室で「キュイッ!」と一声鳴き、熱を送り込んだ。
数時間後。
教皇庁を包んでいた、あの刺すような冷気が霧散した。
足元からじんわりと伝わってくる、陽だまりのような温かさ。それは「輻射熱」という、物理学に基づいた究極の快適さだった。
「お、おおお……。なんだ、この足元から湧き上がる慈悲深き温もりは……。まるで神の懐に抱かれているようだ……」
教皇が、震える足で温かくなった床に触れる。
あまりの心地よさに、彼はそれまで握りしめていた「聖なる毛布」をポロリと落とし、そのまま廊下にペタンと座り込んでしまった。
「教皇様!? 行儀が……あ、ああ、私も……これは抗えません……」
カイルや司祭たちも、次々と温かい床の虜になっていく。
盆ちゃんがさらに、余った木材で作った**『神域・掘りごたつ(タマ熱源式)』**を教皇の私室に設置すると、事態は決定的なものとなった。
「……盆山殿。私はもう、ここから一歩も動きたくない。今日の定例会見は中止だ。この『コタツ』という名の聖域で、余は世界の平和を祈ることにする……」
「おい、教皇さん。仕事(祈祷)をサボるなよ。これはあくまで『作業効率を上げるための設備投資』なんだからな」
盆ちゃんは、コタツの中で完全に溶けている教皇を呆れ顔で見下ろした。
だが、その快適さは瞬く間に教国中に噂として広まった。「盆山工務店が、教皇庁を天国に変えた」と。
「親方! 教皇庁の次は、聖都の騎士団詰所からも『冷え性で剣が握れないから床暖房にしてくれ』って要望書が殺到してますっ!」
「……やれやれ。今度は『防衛力の維持』が名目か。レルちゃん、配管が足りねえぞ。発注だ!」
「はーい、親方! 追加オーダー、神域商店に入れときました!」
聖都の冬は、盆山工務店の手によって、かつてない「ポカポカ」な季節へと塗り替えられていった。




