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雨降る心の滞り  作者: Ry77


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32 空回りと付添人

おさらい。エスコートしろと頼まれた。

「すいません、今満席でして予約はこちらに...」

「そ、そんな...」


内装がお洒落なカフェに立ち寄り店に入ってみたところ、満席状態。とても有名なのか、予約表はたくさんの名前で埋まっていた。


「つ、次...行こう」


(デートだからお洒落な場所じゃないと行けない。デートだから...)


心の中で何度も唱え、店を探した。

でも、別の店に行っても、また別の店に行っても結果は同じだった。頭を抱えて詩織を見た。せっかくのデートでエスコートを任されたのに、何も出来ていない。


「...ごめん」

「別に良いわよ...突然だった私も悪いし...」


気まずい雰囲気が漂った。詩織はその雰囲気に合わせて声が小さくなり、俺は焦るようにスマホを取り出して周りの店を調べ始めた。


「...ねえ」

「ん?」


唐突の呼びかけに、スマホから詩織へと視線を移した。詩織は俺の服の袖を摘むと、軽く引っ張って向こうのファミレスを指差した。


「...あそこでいいよ」

「え?」




「いらっしゃいませー何名様ですか?」

「2名です」


手をピースのような形にして店員に見せたのち、空いている席に向かった。俺は納得がいかないような表情を浮かべながら座った。


「何そんな浮かない顔してるのよ」


向かい側に座った詩織が、頬杖をつきながら俺を真っ直ぐ見つめて言った。


「ここからがあんたでしょ?」

「えっ」


沈みかけていた顔を起こし、詩織を見つめた。


「気を取り直して、続けよっか?」

「...わかった」


内心で気を落ち着かせた後、俺は決意した。

主な登場人物

住田竜司(すみだたつじ):主人公。紫陽花高校1年1組。

福留結希(ふくどめゆき):紫陽花高校1年2組。

水月心寧(みずきここね):紫陽花高校1年2組。

一ノ瀬綾香(いちのせあやか):紫陽花高校1年2組。

桃瀬詩織(ももせしおり):紫陽花高校1年2組。

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