33 決意と変化
おさらい。ファミレスに来た。
「何、頼むんだ?」
「うーんと、じゃあ...」
「...奢らせてくれ」
詩織のメニューを持っていた手が、重力を失ったかのように机にポトリと落ちた。メニューは開いたまま上を向いている。
「いや...あんた――」
「見栄を...張りたいんだ」
詩織の言葉を遮るように言った。
少しでも、役に立ちたい。こんなちっぽけな事でも動けるのなら、動きたい。守られる側はもう辞めたい。自分は出来るんだと言いたい。前に見せてしまった醜い姿を、もう晒したくない。
上辺だけのような言葉が、ずらりと出てくる。だけど...その言葉たちを具現化出来るのなら、俺はこの日から胸に秘めようと思う。
決意したから———変わりたいと。
「...わかったわ」
俺の気持ちを理解したかのように、詩織は悲しいような嬉しいような、そんな笑顔を俺に向けた。
まるで子が成長し、自立して実家を離れて行く様子を見ている、親のような笑顔だった。
「デザート、良い?」
「ああ、いいよ」
詩織が店員にメニューを見せながら注文しているのを横目に、俺もデザートを頼もうと思ったが、別にそんな気分じゃなかったので止めにした。
「詩織って、結構食べるんだな...?」
「まあ...そんなとこ」
「美味しそうに食べてたもんな...」
「なっ...見ないでよ」
詩織は別の物へと、視線を逸らした。視線を逸らされたのかも分からないまま、困惑しながらも「何か酷い事言ってしまったかな...」と少しだけ、罪悪感に浸った。




