31 考えと謝り
おさらい。デートを誘われた。
「...突然すぎないか?」
太陽が真上から7月の街を照りつける。日焼け止めを塗ってくれば良かったなと後悔した。いや、まず外に出る予定は無かったが...。
俺は、そんな暑さに負けずと光を防ぐように手の甲を額に当て、詩織に恐る恐る質問した。
「っるっさい...」
詩織はそう言って顔を背けてしまった。何か悪かったのかと思い、詩織の表情を伺おうとしたが太陽の光に遮られ上手く見ることができない。
それにしても突然のデート誘いで、詩織に何があったのか聞きたいのだが...。
「あ」
「え、急になに」
「いや、何でもない...」
思わず声が出てしまい、口元を手で隠す。振り返った詩織がこちらに視線を向け、首をかしげたが何とかやり過ごした。
記憶を探ってみた所、心当たりがあった。おそらく、綾香のせいだろう。昨日、手を繋いだとかキスしたとか、綾香に直接言われた詩織は、我慢できず行動に移した?なんだか思い出すと熱くなってき―――
「あんた今、別の女のこと考えてるでしょ」
「え」
右肩に重さを感じ、息を呑んで詩織を見るとものすごく笑っていた。だが、目の奥が笑っていなかった。
...やらかした。別のことを考えてしまった。クズだ。最低だ。自分を責める言葉が次々と浮かび上がる。
「考えっ...いや...」
口を何度も開いたが、言葉が続かない。否定するのも良くないだろうと、全てを諦め地面に頭をつけた。地面が熱いが、気にしなかった。
「え、ちょ、ちょっと!?」
「すいませんでした」
「わ、分かったから顔上げなさい!!」
詩織は焦ったようにその場にしゃがみ込んで顔を上げさせ、視線を合わせた。
「まったく...簡単に人に土下座するのやめなさい?」
そして俺の額についた小石などを払い除け、一息ついた。
「じゃあ...」
そして、詩織はニヤリと口角を上げて言った。
「エスコートしてね?」
「...はい」
主な登場人物
住田竜司:主人公。紫陽花高校1年1組。
福留結希:紫陽花高校1年2組。
水月心寧:紫陽花高校1年2組。
一ノ瀬綾香:紫陽花高校1年2組。
桃瀬詩織:紫陽花高校1年2組。




