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【完結】検察審査会の人々  作者: 鈴音あき


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検察審査会の人々32

さっさとご飯のシーンに行ってしまってます。

「では、開票の結果、本件は不起訴相当と議決されました。事務局は議決書の草案を作成してください。よろしくお願いします」


「はい、分かりました」


ここでみんな緊張から解放されてため息をついた。


「では皆さんはお昼休みにしてください。続きは一時半からにしましょう」


波野さんが再開の時間を決めて解散を促す。


「では一時半に集合でよろしくお願いします」


向井さんも同意して休憩に入るために立ち上がる。


向井さんに続いて他のメンバーも貴重品を持って出かける準備を始めた。


準備のできた人から会議室を出ていく。


「今日はどうしょうか?」


「先週は天ぷらやったから……」


「今日の高山君はどこに行くんかなぁ」


俺の行こうとしている飲食店に皆さん興味津々だ。


ふふふ。


「先週のようなことになると俺が慌てるので、先にリサーチしておきました! 今日は北浜に行きますよ~」


俺はいつも出席している皆が入れそうな場所をいくつか探しておいた。


ピックアップしている店を紹介する。


エレベーターホールで皆さんが集まって来たので聞いてみた。


「オムライス・パスタ・揚げ物どれにします?」


「揚げ物はパスしても? 先週天ぷら食べたし。皆さんどうですか?」


向井さんが全員に同意を促す。


「そうやな」


「じゃぁ、パスタとオムライスの二択。どっちがええんかな?」


「オムライスの方がサラダバー。パスタの方はデザートのプリンが美味しいらしいです」


俺は店の選択がしやすいように他のメニューを教えた。


「う……。両方とも捨て難い!」


「両方とも1200円です」


「それやったら、私はサラダバーがええなぁ。お昼にも野菜がいっぱい食べられるやん」


主婦目線で北口さんが意見を出す。


「そんなに安いの大丈夫なん? その店?」


「オムライスやからできるみたいで、他のハンバーグランチとかのメニューやとちょっと高いです。あと、オーナーの知り合いの畑から分けてもらっている物なのでその日によって野菜が変るらしいです」


「オムライス限定でこの値段にサラダバーがつくんか。凄いええやん。僕はオムライス皆で食べに行きたくなってきた」


「私も!」


「私も高山君チョイスやったら何でも信頼できるで! 次回にもう片方に行こ!」


「じゃぁ、決まりですね。電話して席の確保しておきます」


やってきたエレベーターに乗って降りていく。


全員は乗り切れないので二手に分かれて一階でまた集合。


北浜は裁判所の南側に位置しているので中之島公園を縦断する。


鉾流し橋(ほこながしばし)を渡って整えられた遊歩道を、公会堂の美しさを眺めながら南に歩く。


青空がよく映える。


スマホで写真をいくつか取って歩く。


栴檀の木橋(せんだんのきばし)の向こう側が北浜で、ブロック一つ過ぎた白いタイル貼りのビルにオムライスの店が入っている。


「すいませーん、さっき電話した高山ですー」


「はい、13名のご連絡をくださった高山様ですね。席は奥に用意できてますので、こちらにどうぞ」


スタッフのお姉さんが笑顔で案内してくれる。


まだ正午になっていないのにお客さんはかなり入っている。


俺たちが入るとギリギリの席数だ。


事前に席の確保ができて良かったとホッとする。


「ご注文がお決まりでしたらお伺いしますが」


「みんなオムライスとサラダバーのセットでええんやな?」


「はい! 13人分お願いします!」


俺はスマホで検索していた店の情報をメンバーに拡散してオムライス以外のメニューを見てもらっていたのだけど、結局全員がオムライスにしていたようで、望月さんが代表してオーダーが出された。


検察審査会に参加する人は食いしん坊なのかな?


食に関してどん欲にも思えるくらいに食べたいものを決めるのが早い。


一度だけの信号待ちの隙間時間でもう決めてしまっているのだから。


おかげで入店直後にオーダーできてしまう。


「畏まりました。少々お待ちください」


そう言ってスタッフのお姉さんはキッチンへ戻っていった。


今回の食事会のお店は明るい店内にオーク材のテーブルと椅子が整然と設置され、俺の好きなカウンターは無いけど大勢でワイワイと集まって食事をするならこんな感じかな、と思って候補に挙げてみた。


肝心の味は食べてみないと分からないけど、大阪で何年も店を続けていられるならば、大丈夫だろうと信じている。


「お待たせしましたー。オムライスです!」


スタッフが持ってきてくれたオムライスの皿は直径30センチくらいの大皿。


サラダバーで時間をつぶしながら暫く待って、出てきた黄色い塊に驚いた。


でかい……。


男性メンバーは平気で完食するとは思うけど……、女性たちは大丈夫かな?


「けっこうおっきいなぁ」


平野さんが感想第1号を放つ。


表情を見れば、ドンと置かれた目の前のオムライスを凝視して、少しにやけている。


「何とも挑発的なボリューム……」


望月さんも瞳の輝きが戦闘モードに移行していく。


「お先にどうぞ?」


そのうち全員のソレが時間もかからずにやって来るのだし、待ってもらっていれば冷めてしまう。


「完食頑張ろ!」


「お先にいただきます」


2人とも鼻息荒く、大きめのスプーンをつかんで大きなオムライスに突撃した。


「んんっ?」


「んー!」


身体が小刻みに揺れている。


急いで租借しているのが可愛らしい。


まるで腹ぺこリスの食事シーンを目撃した感じ?


黙々と口の中に入れていく二人の気分はフードファイターなのか?


爛々とした瞳になにも言えない。


次々にやって来る大きなソレが食時間メンバーの目の前に置かれていく。


サーブされた人から食べていくのだが、望月さん平野さんと同じ反応をして、それからは黙ってスプーンを口に運ぶのに忙しくなる。


俺の前にも黄色いヤツが置かれた。


皆の反応で美味しい事は分かっている。


覚悟を決めて取り掛かろうではないか!


「いただきます」


オムライスの卵はとろとろたまごではない、しっかりと中のご飯を包み込んでいるオーソドックスなオムライスで、デミグラスソースをベースにした特製ソースは下に、主役のオムライスが浮島のように真ん中にドンと鎮座していて存在感がある。


まずスマホで写真を撮る。


それからスプーンを取って一口頬張ると、チキンライスと卵のコンビネーションが絶妙だった。


「う。……美味いなぁ。さすが、高山君や。美味しい物見つけるのが上手い」


同時にサーブされた山城さんも同じタイミングで一口目を堪能しての感想だ。


「山城さん。ありがとうございます。ええ店見つけられて良かったです」


俺は山城さんの言葉に嬉しくなった。


「そのスマホで撮った写真くれる? 私、忘れててもう食べてしまったんよ」


小林さんが一つ挟んだテーブルの向こう側から俺が写真を撮っていることに気づいて声をかけてきた。


「構いませんよ。今送ります」


そう言って、データを送信する。


「ありがとー。今日来られへんかった一条さんに『こんなん食べたでー』って送ったろと思ってな」


「えと、……悔しがりませんか?」


北口さんが心配して声をかけた。


「かもしれんけど、昨日緊急入院したお子さんの付き添いで今日はおらんのやけどな、娘さんの退院お祝いに外食するから、ええとこあったら紹介してって」


「え? 緊急入院?」


一条さんの欠席理由がここで判明する。


「そう」


「それ聞いてもオッケーなん? プライベートの暴露にならへん?」


「もちろん本人が話してもええ言うてたから大丈夫。一条さん今ウチの病院にいてるんよ。昨日小学生のお子さんが通ってる学校から救急車で運ばれてきてな。病院に駆けつけてきた一条さんにばったり会うたんやけどビックリしたわ~」


「聞いてもええんやったら、急病?怪我?」


「左足骨折。階段から落ちたらしいわ」


「骨折!?」


「骨が安定するまで入院してもらって経過観察。初めての入院やしお子さんも心細くなるやろし、ウチの病院は基本的に保護者がつき添って一緒に寝泊りしてもらうことになってる。

子供にとっては親を独占出来てうれしいみたいや。明るい顔でそんなこと言うてて、一条さん呆れてたわ」


「ははは……元気やと思えばええんかな」


「どうやろな。お母さんを心配させたくないんかもしれんし、痛いの我慢して強がってるんかもしれんし、学校休むのがイヤやけど皆に迷惑かけて辛いんかもしれんし、いろいろ考えられるで」


「可愛いなぁ」


「てことで、来週…再来週までは一条さん来られへんやろうし、いろいろとお薦めの外食リスト送ってあげようと思ってんねん 」


「退院祝いか。俺もリストアップしてみよかな…」


「高山くんが探したらどうなるやろ?」


「皆で一条さんのお子さんの退院祝いのコーディネートして、お子さんに選んでもらうのどう?」


望月さんが半分減ったオムライスから一度顔を上げて提案してくる。


「面白そう」


「一条さんに連絡してみるわ。オッケーやったらスマホで皆で繋がってるんやしプレゼン大会しよ!」


「了解~」


さて、食べよう、どんどん食べよう、みんな完食できるかな……。


「こんなにおっきなオムライスなんやったらサラダバーで調子に乗ってモリモリに食べへんようにしといたらよかったなぁ……」


「でも野菜も美味しかったしな。新鮮なサラダに特製のオーロラソースの組合わせが悪いねん。マヨとケチャップ混ぜただけちゃうの? なにこの美味しいさ。ズルいわ~。オムライス食べる余地がなくなってるやん。オムライス残したくない~。完食したら間違いなくダイエットせなあかん~!」


平野さんと小林さんが美味しすぎて文句を言っている。


文句を言いながら、それでもしっかりとスプーンをせっせと動かして完食を目指しているのだろう。


男性陣はオムライスを食べきって、野菜を取りにサラダバーに行こうとしている。


「小林さん、オーロラソースそんなに旨いの? 僕は胡麻ドレで食べてみたけど、そっちも気になるわ」


「滅茶苦茶美味しいですよ! 後で試してみてください! 病みつきになりそう」


「分かりました、行ってきます」


そう言って、向井さんはサラダバーに行ってしまった。


サラダのドレッシングに食いついた皆さんはオムライス完食後にも拘わらず楽しそうに突撃していく。


俺はまだオムライス攻略中。


小林さん絶賛のオーロラソース、俺も気になるぞ。


























大きな大きなオムライス。

例によって実在しないお店の中で、審査会の皆さんが貪り食べてます。

どんなに美味しいのな。


ただ、ふわとろたまごではない、らしい。

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