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88話『爪痕』





ハルが特大の魔獣を倒したあと、しばらく待機していた兵達だったが、魔物や魔獣の姿は確認されなかった。



街へ戻る冒険者達(バスターズ)



大森林への警戒も必要だが、それは騎士団と守備兵団の方で交代で対応してくれるらしい。



「とにかく戦い続けだった冒険者達(バスターズ)は休め」との計らいに、大いに感謝する冒険者達(バスターズ)



まずは休むのかと思いきや、早速宴会が始まってしまう。



「生き残ったぞ!!飲むしかねぇ!!」



「ありがとう!みんな頑張った!!」






「ハル~どうするの??」



一緒に居るミナがハルに尋ねる。



「とりあえずギルドに行こう、みんなそこだろうし、アリスやフィーダさんにもそこに居れば会えるだろうから」



戦いが終わり、ひとまず街へ戻ったハル。



フィーダやアリスと話したかったが、守備兵団や騎士団の事でギルドマスターと話すことがあるそうで、まだ会えていない。



ここに居れば会えるだろうかと、何気なくギルドへ顔を出すと、すでに宴会が始まっていた。



「あっ!炎迅!!」



入り口を開けると、誰かが叫ぶ。



「来たか!!おせぇぞ!!!」



「酒だ!酒の追加だっ!!」



冒険者達が一気に騒がしくなる。



「えっ、ちょっ待っ」



あっと、言う間に中央へ引っ張り込まれるハル。



中央では、ダリルとジョンが酒を片手に準備万端であった。



「あたしの分も!」



ミナが嬉しそうに言うと、誰かが手渡す。



「全員持ったかー?」



ジョンが言うと、準備万端だ、とでも言うかのようにグラスを上げる冒険者達。



「よし、ギルドマスターがいないから俺が音頭をとるぞ。お前らよくやった!怪我人は出たが命に関わるほどじゃねぇ。はっきり言って奇跡だな。」



ダリルが言うと、



「ダリルも頑張ってたぞ!」「よっ!男前!」



誰かが野次をとばす。



「わかってる、わかってるぞ。ありがとう」



ヤジに気をよくしたダリルはドヤ顔で手を振る。



「だがまぁ今回の功労者はやはり、こいつだろう。炎迅、ハルだ!『雷神』の弟子らしい、凄まじい活躍だった!こいつに礼が言いたかった!ありがとう!たぶんみんな同じ気持ちだろう。とりあえず大いに飲もう!乾杯!!!」



「「「「乾杯!!!」」」」



全員が声を合わせ、グラスを上げる。



そこからはもう、飲めや騒げやのドンチャン騒ぎだ。



と、すこしした所でギルドマスターが2階から降りてくる。



後ろにはフィーダやアリス、騎士団の副長やエイギス守備兵団の兵長もいる。



必要な話も終わった、という所だろうか。



「ギルドマスター!!!」



冒険者の誰かが叫ぶ。



「うるさいからまさかと思えば、もう始めてたのか…休まなくて大丈夫かお前ら…」



ギルドマスターは苦笑いで階段を降りてくる。



「休んでる場合じゃないですよ!!お前ら!騎士団の方と守備兵団の方にも礼だ!ありがとう!!!」



「ありがとうございましたぁっ!!!」



酔っ払ったジョンが言うと、冒険者達は一斉に礼をする。



「私は嬉しいぞ。犠牲も出さずに守りきれたのは奇跡に等しい」



クライヴが言う。



「もうそれ俺が言いましたよ~」



酔っぱらったダリルが言う。



「今日は無礼講だっ!酒代は俺が出す!好きなだけ飲め!」



クライヴが高らかに宣言する。



「「「「うぉぁぉおお!!ギルドマスター万歳!!」」」」



「王国一!!」「太っ腹!!」「器がでかい!!」



怒号のような歓声と共に一斉に声があがる。



「すまない、君たちも交代にはなるが、大いに楽しんでくれ。本当に感謝する」



クライヴはフィーダやアリス達、救援に来てくれた面々に頭を下げる。



「顔馴染みも居ますので、そうさせて頂きますね」



そう言ってアリスとフィーダは頭を下げ、騒ぎに混じっていく。



二人とも、同じ場所を目指していた。







階段を降りてきた時からずっと視界に収めていた人物が、こちらに近づいてくる。



ハルは思わず立ち上がって待つ。




目が離せない、彼女…。




彼女が近づいて来る。




人混みを抜け、視線が触れ合う。




まるで女神を象った絵画か彫刻のような美しさか。




ガラス細工のような、儚さか。




想いが、込み上げてくる。




「……アリス。久しぶり」




様々なものを心の奥に押し込め、……押し込めきれず、なんとか声をしぼり出す。




「ひさしぶり、ハル君」




アリスは一言、そう言って満面の笑みを浮かべる。




あどけなさもあり、少女とも女性ともいえる、美しすぎる眩しい笑顔。




思わず照れくさそうに笑うハル。



話したい事はたくさんあるはずなのに。




なぜか言葉にできなくて。




ただただ二人で、笑いあう。




それがなぜか、心地よかった。








「……とりあえず座ったら?二人とも」



見かねたミナがハルとアリスに言うと、顔を赤くして二人も座る。



「さて、積もる話もあるが…とりあえず私達も乾杯しよう。無事、街を守りきることができた」



フィーダが言う。



「再会にもね♪」



ミナが言いながらウインクする。



「その通り!では…乾杯!」



「「「「乾杯!!」」」」



フィーダの掛け声と共にグラスを傾ける四人。



「ふぅ…まさか二人が来てくれるなんて思わなかったよ」



ハルが言う。



救援を王都に要請したのは聞いていたが、まさか顔見知り二人が兵を率いてやってくるとは思わなかった。




「たまたま王都に居たの。エイギスの兵がすぐ動ける状態だったから立候補したんだけど…」



アリスは言いながら、フィーダの方を見る。



『万全を期して騎士団も連れてけ、君なら大丈夫だ元団長。いや、団長代理!』



「と国王に直接言われてしまってな。いくら古巣とはいえ…」



やれやれ、と頭を振りながらフィーダが言う。



ちなみに現職の騎士団長は近衛兵と共に城の警護にあたっている。



最低限度、必要な人員は残してきたようだ。




「なるほど…でも本当に助かったよ」



「ほんとにね、いつまで続くかって辟易(へきえき)してたもんねぇ」



ハルの言葉に、うなだれたミナが同意する。



「ハルも相変わらず、デタラメな強さじゃないか。なんだ最後のアレは。騎士団の連中も開いた口が塞がらなかったぞ」



フィーダが笑いながら言う。慣れたものだが、久々に見るとやはり思うところはある。



初めて見た人達には衝撃だろう。



「そういえばハル、なんで最初からアレやらなかったの?」



(プラズマ)化のこと?あれ解除したあと眠くなるんだよね…襲撃がいつまで続くかわかんないから使えなかったよ」



ミナの質問にハルが答える。



「あ、そういえばなんでミナが同行してるの?」



アリスがミナに問う。



「あぁ、ハルの強さを聞いたうちのパパが一緒に行けって。あわよくば一戦まじえようとしてるっぽい」



ミナは真実の半分だけ話す。



もうひとつの理由は、わざわざ話す事ではない。



し、わざわざ波風をたてるつもりもない。



「いやいやマジで無理だって獣神(お父さん)の攻撃くらったら一撃でオーバーキルだから……」



がっくりとうなだれたハルが言う。



「ははは!それは見てみたいな!」



大笑いしながらフィーダが言う。



あの人(獣神)なら本当に来かねないのが怖いわね…」



アリスが苦笑いで答える。



「ちょっとーなんなのよもー。さすがに来ることはないと思うけどねー」



と、ミナが言いながらも、自信はなさげだ。



彼女自身もないとは言い切れないのだろう。




そうして思い出話に花咲かせ、会っていない時間を埋める四人であった。




ちと中途半端ですがここで。もう少し

事後処理が続きます。そのあとは新しいこと始めますかね!

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