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81話『蟻』





「はっ!」



気合い一閃、炎迅(ハル)は炎の大剣で魔獣の体を真っ二つに斬る。



「跳ぶわよっ!」



唐突にミナから声がかかる。



「えっわっ!」



獅子乙女(ラナ)が跳び、がくんと揺れる。



跳んだ獅子乙女(ラナ)の足の下寸前を魔獣の刃が通り抜ける。



「ごめん、ギリギリだったから」



ミナが言うと、



「ありがとう、全然気づかなかったよ」



ハルは言いながら、獅子乙女(ラナ)が飛び越えた刃の持ち主、魔獣に(いかづち)をおみまいした上で頭に剣を突き立てる。



「次は?」



ミナが言いながら、辺りを見回す。



目を向けた先では、ちょうど冒険者の魔身機が魔獣に斧を叩きつけている所だった。



魔獣は倒れ、動かなくなる。



「あっちは大丈夫そうね」



「んじゃ反対に行こう」



ミナにハルが答え、獅子乙女(ラナ)は走り出す。



走りながら、獅子乙女(ラナ)は道中の敵を襲う。



噛みつき、爪で引き裂き、蹴りあげる。



ハルは距離のある敵に向かって炎の矢を飛ばしている。



【ハル君、手伝って!11時の方向!】



ロカビリーから連絡が入る。



「了解!行こう!」



「ええ!」



ミナが答え、獅子乙女(ラナ)は一層スピードに乗って走り出す。





冒険者の魔身機が魔獣に剣で斬りかかる。



魔獣の反撃が来るが、味方がさらに攻撃をしてくれたおかげでなんとか回避する。



さらに流れるように連続で斬りつける魔身機。



と、魔獣は力が抜けたように崩れ落ちる。



「…よし」



そう言って冒険者の魔身機は大きくふりかぶり、魔獣の頭に剣を突き立てる。



「よっしゃ、次だ」「損傷は?」「問題ない」



冒険者パーティは互いに声を掛け合い、次の相手を探しはじめる。



「来てるぞ!コイツらだ!」



彼らの前に現れたのは、(あり)の魔獣だった。



「蟻か…低位だったよな?赤いのは初めて見るな」



蟻の魔獣は魔獣としてはサイズは小さめなため、一体であれば問題はない。



外皮が硬く物理防御が高いので魔法攻撃があると楽だ。魔身機さえあればBランク数人でも倒せる。



「蟻とはいえ、甘く見るなよ。特殊個体かもしれん」



「わかってるって。とりあえず様子見しよう」



冒険者達は普段とは違う赤い蟻の魔獣に警戒し、戦闘体勢を整える。



「いけっ!」



冒険者達の魔身機から一斉に攻撃魔法が放たれる。



放たれた炎の弾や土の矢は蟻に直撃し、大きな音を立てる。



「なんと!?」



思わず冒険者は声をあげる。



なんと蟻は無傷だったのだ。



「せいゃっ!」



すかさず他の冒険者が斬りかかる。



が、硬い外皮に剣は歯が立たずに弾かれてしまう。



蟻はギチギチと顎を鳴らすと、魔身機に噛みつく。



「ぐっ!くっそ!外れねぇ!」



肩を噛まれた魔身機はなんとか脱出しようと何度も剣を打ち付ける。



「ちくしょう!離しやがれ!!」



冒険者達も慌てて蟻を引き剥がそうと攻撃をしかけるが、全く効いている様子がない。



四方八方から攻撃された蟻は、魔身機に噛みついたまま暴れるように動き、魔身機は振り回される。



バギッ!!




魔身機の左肩は大きな音を立ててひしゃげ、腕が落ちる。



不幸にも腕を無くした事で脱出できた魔身機はすぐさま後退する。



「大丈夫か!?」



「大丈夫じゃねぇけど大丈夫だよ!しかしどうする!?蟻とは思えねぇ強さだぞ!」



「防御が固すぎる…あと顎に捕まったら終わりだな」



冒険者達は戦いながら話し合う。



「大丈夫、もうすぐ…」



冒険者の1人が言いかけると。



「大丈夫か!?」



魔身機が2体現れた。



「ダリルさんにジョンさん!」



腕のない魔身機の冒険者が言う。



「Bランクの俺達だけじゃキツそうだからな、応援要請しといたんだ」



「やられてんじゃねぇか!あの蟻か」



「特殊個体か…厄介だな」



ダリルとジョンが赤い蟻を見据えて言う。



「ジョン、指示は任せるぞ」



ダリルに合わせ、全員の魔身機が一斉に武器を構える。



「おうよ。さて、蟻退治だ」





「かわせっ!!」



蟻が吐いた液体を回避するジョン。



後衛にいた冒険者もなんとか回避する。



蟻の吐いた液体が地面に触れると、激しい音と白煙が上がる。



「酸か…厄介だな…」



蟻の噛みつく攻撃をしゃがんで回避し、懐に潜り込むダリルの魔身機。



「でぃやっ!」



思い切り下から突き上げるが、刺さらず弾き返される。



「下側もだめか…」



脚も関節も、腹の下側もダメだった。



どこを攻撃しても金属のように強固な外骨格に歯が立たない。



「よし、考え方を変えよう。刃物ではなく鈍器だ」



ジョンがそう言うと、冒険者の1人が氷のハンマーを作り出す。



「どっせい!!」



氷のハンマーを持った魔身機は飛び込む勢いのまま蟻の体に武器を叩きつける。



攻撃を受けた蟻は身動ぎするが、傷やひびは見当たらなかった。



「ばかやろう!頭狙え!脳震盪させろ!」



ダリルが叫ぶ。が、



「虫は脳が小さいから脳震盪しねぇって聞いたぞ」



ジョンが反論する。



「魔獣だから脳が大きいかもしれねぇだろ?貸せっ!」



そう言ってダリルは氷のハンマーを受けとると、一機で駆け出す。



蟻の攻撃を二度、三度と回避し、接近し思い切り横殴りに頭を叩く。



「どうだっ!?」



が、蟻は躊躇なくダリルの魔身機に噛みつこうと攻撃を仕掛けてくる。



「だあぁ~ダメだったー!!」



言いながらダリルはなんとか蟻の攻撃を回避する。



「どうする…なにか方法はないか!?」


冒険者が言う。



「そうだ、聞いてみよう。ダリル!時間稼いどけ!」



「はぁやくしろよぉ!!」



ジョンが手を叩く。



「俺達だけで戦ってるんじゃねぇんだ。ギルドマスター!聞こえてるか!蟻の魔獣、特殊個体だ!硬くて歯が立たん。なんかいい方法を知らないか?」



ジョンは大きな声で言う。




ギルドマスターの答えは……??




明日は…10時!

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