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79話『ニアフォレスト防衛戦』




「行くぜっ!」



ハルが言うと、ミナの獅子乙女(ラナ)は雄叫びをあげ、走り出す。



加速した獅子乙女(ラナ)が魔物の群れへ突っ込む。



魔物の群れに突撃したにも関わらず獅子乙女(ラナ)の勢いは衰えず、そのまま走り続ける。



魔獣の爪が横薙ぎに迫るが、直角に近い角度で方向転換をして回避する獅子乙女(ラナ)



さらに続いて眼前に迫るしっぽでの攻撃を、棒高跳びのように飛び越える。



次は氷魔法の(つぶて)が放たれる。



「まかせろ!」



ハルが言うと、炎迅は炎の剣を前に突き出す。



剣から吹き出した炎が、走る獅子乙女(ラナ)ごと包むように広がる。



炎に包まれた二人は氷魔法の弾幕を走り抜けて突破する。



その勢いのまま魔獣へ向かい、獅子乙女(ラナ)は跳ぶ。



すり抜けるように走り、隙を見逃さずにハルは剣を振る。



魔獣が大きな音を立てて崩れ落ちる。



「次来たわよ!」



息つく暇もなく、攻撃魔法が空から降り注ぎ獅子乙女(ラナ)はふたたび駆け出す。



「空はズルい!嫌い!降りてきなさい!」



ミナは巧みに空からの魔法攻撃を回避しながら走る。



雷神の鉄槌(グラン・レイ)!」



雷神の籠手が輝くと、紫電が走り抜ける。



同時に天より巨大な竜のような稲妻が降り注ぎ、空を飛んでいた魔物が光に呑まれる。



消し炭のようになった魔物達が地上へ落ちていく。



その間にも獅子乙女(ラナ)は手当たり次第にそこかしこの魔物に噛みついては噛みちぎり、噛み砕き、爪で裂いてと大暴れしていた。



まさに人馬一体、といえる。馬ではないが。




そうして縦横無尽に走り回り、魔物のや魔獣を減らしていくハルとミナ。






「ほぇ~…炎迅がまともに戦ってるの初めて見るが凄まじいな…」



「雷神の弟子ってのも納得だわ」



「さっきの亀!見た?真っ二つだぜ?『断陣剣』の本領発揮ってとこだな」



「つかアイツ、エルフの国に行ったんじゃなかったっけ?」



「たしかにたしかに、俺も聞いた。早すぎるよな?引き返したのかな?」



「さあな…ギルドマスターに聞いてみようぜ」



治療を受け、軽く食事をとって束の間の休憩をしていた冒険者達(バスターズ)はさっそく動き始めた。





「ロカビリーさん!聞こえますか!?」



ハルが言う。



さっきはギルドマスターの声が聞こえた。音魔法の使い手がいるはずだ。おそらくロカビリーさんだろう。



【聞こえてるよ!どうしたの?てか喋ってて大丈夫?】



返事をしたロカビリーだが、心配されてしまったようだ。



「いえ!何があったのかなと思いまして」



【それは私から話そう。その前にとにかく来てくれて助かった、ありがとう。】



クライヴが答える。



「いえいえ、大きな被害か出る前でよかったです」



【本当に直前だったがな。別に何があったわけでもない。1ヶ月ほど前から大森林に魔物や魔獣がさっぱり現れなくなってな。数日前に調査隊をだしたらこの大群の存在が発覚し、現在防衛中ってところだ。】




「俺とミナがエルフの国に出発した後だね。森の奥は普通だったけどなぁ」



ハルが呟くと、



「普通?エルフの国に何十年に一体の魔物が現れて、さらにそいつが魔法無効なんて馬鹿げた能力持ちだったのに?」



ミナが言う。



「……たしかに。そう言われると、普通じゃないかも」



ハルは思わず納得してしまう。



【やはり何かがあるようだな…】



クライヴが考え込むように言うと、次の瞬間。



【炎迅!よく帰ってきたなこのやろう!タイミング見計らってただろお前!?】【つかエルフの国行ったんじゃなかったのか?引き返したのか?】【やっぱめちゃくちゃな強さだな!つか下の魔身機はこないだの、猫の嫁さんか?昼も夜も乗ってんのか!ぎゃははは】



ギルドマスターとロカビリーさんが要る場所に誰か来たのだろうか。一気に聞こえてくる声が数人分増える。



「うるっさいのよあんた達!!こっちは必死で戦ってるんだから静かにしてなさい!てかそんだけ元気なら早く戻ってきなさいよ!!私はハルと違って()()なんだから長い時間もたないわよ!」



ハルが聞こえてきた声に答えようとした瞬間、ミナの怒声が響く。



それに合わせて獅子乙女(ラナ)が雄叫びをあげる。



あまりの気迫に、周りの魔物や魔獣の動きが止まる。



【【【すんませんっした!!】】】



一斉に謝罪の言葉が聞こえてくる。人間とはここまで完璧に声を揃えることができるのか。



【…とにかく。補給や応急処置も直に終わる。もうすこしだけ頼む。そのあとは二人もローテーションに入ってくれ】



クライヴは努めて真面目に言う。



「了解!」


ハルが答える。



「行くわよハル!」



鬱憤をぶつけるように、獅子乙女(ラナ)は牙を向き魔物に襲いかかっていくのだった。










明日は…10時!

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