74話『襲撃』
あけましておめでとうございますm(_ _)m今年もよろしくお願いいたしますm(_ _)m
ニアフォレスト・ギルド内
「大変だ!!ギルドマスターを!!」
大の大人がドタバタと大きな音を立ててギルドへ飛び込んできた。
「なにごとですか~??」
受付嬢は飛び込んできた声の主の顔を見て表情が変わる。
「……何がありましたか」
もう一度問う受付嬢。
大森林の調査を依頼した3人が、この様子で飛び込んできたのならば、何かがあったのだろう。
「魔物と魔獣の群れだ!最低でも500以上、下手すればもっと……」
息も絶え絶えにジョンが言う。
「今の速さなら下手すれば半日後にはニアフォレストに来るぞ!」
ロカビリーが必死に訴える。
一気にギルド内の空気が変わる。
「魔物の群れ…!?」「なんて数だ…」「ギルドマスターは!?」
突如もたらされた凶報に騒がしくなる。
(まさかここまで大きな事態になるなんて…)
「三人とも無事に帰ってきてくれてありがとう。不休で走ったのでしょう?少し休んでください」
受付嬢がジョンとダリル、ロカビリーに告げる。
「いや、まだやるべき事がある!住民を避難させ、防衛戦の準備をしないと!」
ロカビリーが反論する。
たしかに体はつらい。不眠不休でほぼ丸1日走り続けてきたのだから。
だがそんな事を言っている場合ではない。一刻も早く備えなければならないのだ。
「そんなことはわかっている、詳しい話を聞かせてもらう。終わったら少し休め。起きたら戦の始まりだぞ」
階段を降りてきたのはニアフォレストのギルドマスター、クライヴ・イーグルベルである。
「「「「ギルドマスター!!!」」」」
一斉にギルド内から声があがる。
「ロカビリー、報告してくれ」
クライヴはロカビリーを指名する。
「はい。大森林調査の為に森へ入り、約1日半の辺りで遭遇、音魔法と肉眼での確認で、確定している数だけで500程です。さらに後ろにいるとすれば数はまだまだ増える可能性があります。魔獣の姿もかなりの数を確認しました。進んでいるスピードを考えると、早ければ半日後にはここに襲いかかってくるかと思われます」
ロカビリーは一息に言う。
クライヴは少し考えた後、全員に聞こえるように大きな声で言う。
「住民の避難が先決だ、北の街に受け入れ要請連絡と、王都に緊急救援要請だ。それとBランク以上の冒険者は第2種戦闘配置だ!」
「「「「「はい!!」」」」」
クライヴの命令に、一斉に動き出す冒険者達。
彼らは軍ではないが、ギルドでの低ランク時にこういった事態の行動についても学ぶ。
それは、この街が作られた理由にもなっている。
地形のせいか、魔力場のせいか、なぜか大森林から出てくる魔物や魔獣はこの辺りに現れる。
北のファムノースや南のサウスワークも森に近いが、ニアフォレストでの魔物の出現率が断トツに高い。
それを水際で撃破し、王国内部深くに行かせないために、防衛の為にこの街が作られたのだ。
街の住民もほとんどが冒険者の家族や、元冒険者なので、普通の町民等に比べれば行動も早い。
住民を避難させ、冒険者全員で防衛・撃破にあたる。
王都からの援軍が来るまでが厳しい戦いになるが、多少の無茶は承知の上だ。
「せっかくここまで作り上げた冒険者達と街だ、やらせはせんぞ」
クライヴは何十年も前からこの街を作ってきた。
冒険者の育成システムを作り、街を発展させてきた。
かわいい我が子と我が家のようなものだ。魔物なんぞにくれてやる訳にはいかない。
人間の底力を見せてやろうじゃないか。
厳しい目をするクライヴに、受付嬢が呼び掛ける。
「ギルドマスター」
「イア、すまん。頼むぞ」
イアは何も言わずに深くお辞儀をするのだった。
風雲急を告げ、街全体が慌ただしく動き出していた。
◇◇
ギルドマスターへの報告を終わらせたジョン、ダリル、ロカビリーはギルドマスター命令により休まされる事になった。
ダリルが最後まで抵抗しようとしていたが、受付嬢の魔法で強制的に眠らされ、それを見たジョンとロカビリーは抵抗をやめすぐに休むことにした。
その後少しして目を覚ました3人はそれぞれの配置へ向かう。
「ダンナ、俺達は前線だ。短いパーティだったが楽しかったぜ」
ダリルがロカビリーに言う。
「そんな最後の別れみたいな言葉はやめてくれ」
苦笑いでロカビリーは答える。
「あんたの魔法はこーゆー時にこそ活きる。頼んだぜ」
ジョンが言う。
「必要があれば私も降りる。必ずまた生きて会おう」
ロカビリーはそう言い、3人は無言で拳を突き合わせる。
戦場では何が起きてもおかしくない。
今生の別れにならないことを祈るばかりだった。
◇
大森林を正面に望む、ニアフォレスト西門。
ニアフォレストは砦になっており、防壁が街を覆っている。
「ギルドマスター、戻りました。ありがとうございました。もう大丈夫です!」
ギルドマスターの姿を見つけたロカビリーは挨拶をし、頭を下げる。
「ロカビリーか、よかった。君の魔法、頼らせてもらうぞ」
クライヴが言うと、ロカビリーは頭を下げる。
「準備の方は?」
「避難民は全員街を出た。今できる万全だ。早速だが頼む」
ロカビリーの問いに、クライヴは答える。
「はい。…では」
ロカビリーは音魔法を使い、森の方を探る。
「おぉ…これはこれは…」
ロカビリーの額に、一筋の汗が流れる。
「どうだ?」
「もうすぐそこまで来てますね…と言うより、何かを待ってる??」
と、ロカビリーが言った次の瞬間。
「!来ました!小型の魔物が来ます!」
ロカビリーか叫ぶ。
「全員に伝えてくれ」
クライヴはロカビリーに言う。
「は!」
【全員第一種戦闘配置!森より小型の魔物が来るぞ!】
クライヴの声が音魔法で街全体に響き渡る。
「ついに来たか…」「やってやるぜ」「まずは小手調べだな」「一月見なかったからな、稼がせてもらうぜ」
冒険者それぞれが気合いを入れる。
さらにクライヴは言葉を続ける。
【魔物が何百とやってくる…だがまぁ、やることはいつもと一緒だ。バスターズの意味を身体に教えてやれ!しっかり稼げよ!行くぞ!!!】
「「「「「「おう!!!!!」」」」」」
こうして史上初の、大規模な魔物集団との戦い。
その火蓋が切って落とされたのだった。
明日は13時に更新します!




