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71話『別れ』




その後、戻ってくると、せっかくなので食事会を、との流れになった。



主賓なので断れる訳もなく、断る理由もないのでありがたく、参加させてもらうことにした。



「いや本当にハル殿の力には驚かされましたよ!」



王子が興奮した様子で喋る。



どうもこの人は、兄であるアルフレッド(師匠)への憧れが強く、また、そのために強い者への興味が尽きないようだ。



「いやー、まぁそれなりに…。師匠が師匠ですからね。僕が泥を塗るわけにもいきませんから」



「兄さんは強かったからな!」



そこから話が弾み、ハルの出会いから師匠の最期までを話すことになった。



さまざまな魔獣との戦いの話や、師匠の生きざまを刻み込むように、一言一句逃さず聞いていた王子であった。






「あらこの料理おいしい」



ミナが今しがた運ばれてきた料理に舌鼓をうつ。



「雉のパテでございます」



給仕のエルフが答える。



「へぇ~…手が込んでるわね…おいしい」



「肉料理は歴史が浅いのでな、各国から文献等を取り寄せて日々、研鑽させている」



ダリウスがミナに答える。



エルフは肉食の歴が浅いと言ったが、1000年以上経ってりゃ十分に追い付くどころか追い越しててもおかしくないだろう。



実際にこの料理はとても美味だ。



「なんでその情熱を他の事に回さないのよ…」



若干呆れた顔でミナは言う。



話してみてわかったが、エルフは変化を嫌ったり、森が絶対!!なんて事はないようだ。



ただ、一人一人の寿命が長すぎるせいで、変化していくのに時間がかかるらしい。



冒険者(バスター)とか獣人を住ませるのもいいけど、罠とか、からくりなんかも有効よ。ドワーフが得意ねそういうのは。」



「ううむ、調べる事が多いな」



ミナの提案に、ダリウスは答える。



知識としてそういった物があるのは知っているが、必要になるとは思っていなかった。



対魔獣のために、大きな街などには罠や撃退用のからくり等が用意されている場合がある。



橋が落ちたり、巨大な槍が飛び出したり、だ。



こうしたものは、相手との距離が近くないと使えなかったり、メンテナンスやコストの問題等もあるが、うまくはまればやはり効果は大きい。



忌避の結界があり、さらに全員が強力な魔法を連発できるエルフだからこそ、無くてもなんとでもなっていたのだろう。



今回の襲撃はエルフにとってはいいきっかけになる。



来たときの雰囲気とは打って変わり、和やかで、実りのある会話だ。



国王は、それを運んできたハルとミナに、そしてそのきっかけをくれたアルフレッドに感謝していた。








食事会も終わり、ハルとミナはセリスの家に来ていた。



結局、謁見中に魔獣の襲撃があり、そのまま撃退に行ったのでセリスは家に帰らされたらしい。



「セリスさーん!!」



ハルが声をかけると、美人エルフが顔をだした。



「二人とも!よかった無事で!聞いたわよ、ハル君が魔獣を倒したんだって~?」



二人を見たセリスは笑顔で出てくる。



「本当にありがとう!助かりました」



ミナが言い、二人は丁寧に頭を下げる。



「いやいや、円満に終わってよかったよ~もう帰っちゃうの??」



「そうですね…目的は果たせましたので。」



ハルは答える。



「あら残念ね~もっと話を聞きたかったのに」



やはりちょっと娯楽に飢えてる感があるなこの人は。



「これ、御礼です」



そう言ってハルは小袋を手渡す。



セリスは小袋を持ち、重さと金属音、形からお金であると察する。



「ちょっと!もらえないよ!一泊にしちゃ高すぎる」



慌ててセリスは袋を返そうとするが、ハルが遮る。



「撃退の礼に国王から頂いたものです。セリスさんとミナと僕とで三等分にしましょう。正式な報酬ですから。」



にっこりとハルは笑う。



「もう……こんなにもらったら家から出なくなっちゃうよ」



……それはまずかったかもしれない。



「…わかった、ありがとう。またエルフの国に来たときは寄ってね!」



明るく笑って、二人はセリスと握手をした。



「はい!ありがとうございました!」



二人は礼を言い、手を振ってセリスと別れた。



「いい人だったね、ハル」



「そうだね、本当に助かったよ。さて、じゃあ国王に顔だしに行こうか」



食事会の後、冒険に必要な物を買い、出発の準備をしてからセリスさんに別れを言いに行ったのだ。



そのあと、国を出る前にもう一度寄ってくれと言われていたので、国王の元へ再び向かう。





「よく来た、準備と挨拶は終わったのだな?」



国王が二人に尋ねる。



「大丈夫です」



「よし、ならば手を出しなさい」



そう言われ、ハルとミナは手を出す。



国王が手を握ると、手がぼんやりと暖かい。



「よし、君たちに加護を与えた。これで魔法転移門(ゲート)を通れる。いつでも使っていいぞ」



通常は通行証となる魔道具があり、それを持っていないと通れないのだが、エルフの加護を持っている者は自由に通れるそうだ。ダリウスさんが教えてくれた。これは助かる。



「ありがとうございます!」



ハルとミナは頭を下げる。



「いつでも来てくれ、歓迎する」



「本当にありがとう、兄さんの分もがんばるよ」



「本当にすまなかったな。ありがとう」



それぞれ国王、王子、ダリウスさんの言葉だ。



そうして見おくりの皆に手を振り、ハルとミナは魔法転移門(ゲート)に入るのだった。



「なんだかんだ、楽しかったわね」



ミナがハルに言う。



「師匠の事、受けいれてもらえてよかった。んじゃ、帰ろっか」



そう言って二人はエルフの国を後にするのであった。





明日は朝9時です!評価ありがとうございます!めっちゃ嬉しいです!

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